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4月の活動報告

最近、うみラボ代表理事は忙しい毎日を送っています。充実しすぎてNoteを更新する暇もありませんでした…。ですが、後回しにしても仕方がないので、まとめてご報告。

1.本が出版されました
2.クラウドファンディングを実施中!
3.イベントいろいろ開催中!
4.みんなで海へ行こう!

1分で概説!

『水中考古学:地球最後の最後のフロンティア』が3月から絶賛発売中です。水中遺跡の魅力、そもそも水中考古学とは何か、世界と日本の水中遺跡...諸々書いています。

クラウドファンディング。丹後に住む高校生が水中考古学に目覚める。そして、自ら水中遺跡を探すプロジェクトを始動。うみラボは、彼女の夢を叶えるため全面協力中!4月30日までに300万円集めます!

うみラボのオンライン講演会を実施します!4月14日(木)。水中遺跡と法律について、などなど。

みんなで海へ行こう!
コチラもイベントです。4月22~30日の間、たくさんの人に海に行ってもらう!そんなイベントです。広く緩く、うみが好きな人のイベントにしたいです!

では、それぞれ詳細を見ていきましょう。

本が出版されました!

『水中考古学地球最後のフロンティア』

一般向けの本です。専門的なことは、あまり書いていませんが、水中遺跡のことを良く知っている人にも面白い・マニアックな情報を随所にちりばめております。水中遺跡・水中考古学を知って欲しい…その気持ちを詰め込んでいます。

前回書いた『沈没船が教える世界史』の続編ともいうべき内容ですが、前回に比べると、ダイブ厚い本になっています。私の生い立ち、水中遺跡調査の方法、日本の水中遺跡など詳しく書いています。

おっと、いくつか訂正が…数字を間違えてしまった場所があるのですが…52と58。全く私の確認ミスでございます。本当に申し訳ない。第2刷で修正します。

それともう一つ修正。巻末の付録として、「今後発見が期待されている沈没船」のコーナーがあります。残念ながら、一番上に書いたエンデュアランス号、発見されちゃいました。こちらは、「発見された」に修正してください。南極探検シャクルトン隊の船で、南極で発見されました。

さて、日経新聞に書評が掲載されています。沈没船の研究は、交易の木の幹に当たる研究であるという意見などを紹介しています。

そのほか、書評なども続々書いていただいてます。SNSなどで紹介しておりますので、追ってみてください。


本の出版を記念して、大阪・梅田のLateralさんでトークショーを開催しました。その様子が配信されています。期間限定ですので、お早めに。


クラウドファンディング

【高校生の挑戦】丹後の海で水中遺跡を見つけたい

丹後の高校生、あやさんが中心となり始めたプロジェクト。ある日、彼女は一冊の本と出合います。小江先生の『水中考古学入門』。この本では、世界各地の様々な水中遺跡を紹介し、そして、日本にも多くの可能性があるにも関わらず、ほとんど調査が進んでいないことを書いています。様々な分野と協力し、日本独自の水中遺跡保護体制を築くことが喫緊の課題であると。

この本、実は40年以上前に書かれたもの。そこで、彼女は、では、自分の住む地域の海にも遺跡があり多くの研究の成果が学べるはず、と地域の水中考古学の取り組みを調べたところ…40年前と状況が変わっていないことに気がつきます。

そこで、彼女は、専門家がいないなら、自分が遺跡を探せばよいではないか!という思い切った行動にでます。そして、SNSなどで専門家の協力を求めます。その呼びかけを、見逃さなかったのは、うみラボでした。

すぐさま支援を約束し、具体的にクラウドファンディングを始めることに。さらにメンバーを集めました。水中遺跡探査のスペシャリスト、ウィンディ―ネットワークさん、水中ドローンのトライワースさん(社長は20歳!)…。

さて、丹後地方ですが、水中遺跡のポテンシャルの比較的高い場所です。その理由は、期待される遺跡保存の良さ、が挙げられます。

水中遺跡、世界の例でみると、9割は水深50mよりも浅い場所、特に大きな都市や港のそばに多く存在しています。日本でいえば、博多湾、大阪湾、東京湾、名古屋、他、入り江や港がある場所です。そして、発見された遺跡の圧倒的大多数は、開発に先立って行われる遺跡の有無を確認する事前調査や漁師が遺物を引き揚げて報告した場所の確認調査により発見されています。

 開発に先立つ事前調査の体制
 漁師の引き揚げ遺物など報告を受けるシステム
 大きな町・都市へアクセスできる湾内

 さて、日本の場合…。

 事前調査の体制  なし・現状機能していない
 報告のシステム  なし・現状機能していない
 湾内   ほぼ埋め立てられている

 つまり、日本の場合、それらの場所ですでに多くの遺跡が破壊されています。一方、丹後地方は、開発がなかなか進んでいない地域になります。遺跡があれば残っている可能性が高いと言えます。そして、比較的台風や津波が少ない地域になります。遺跡を破棄する要因が少ないのです。

実は丹後は古代から続く交易の中心でありました。京都・若狭湾は、日本海の中心に当たります。弥生や古墳時代の遺跡から大陸との交流を示す遺物が多く発見されています。函石浜遺跡などは、その良い例です。中世には、久美浜などにラグーンがあり、貿易で栄えていました。日本海側には、中世にはいくつかラグーンが形成され、湊町を形成していました。その痕跡が残りかも。文献史料には、近世に多くの海難記録が残されています。

 丹後には、きっと何か大きな水中遺跡が残されている

 そして、このプロジェクトの目的はもう一つ。プロジェクトでは、何の遺跡を探すか明確にしていません。それはなぜか?自治体が遺跡を発見し、登録するプロセスを多くの人に知ってもらいたいからです。

水中遺跡を発見するには、地元漁師へのインタビュー、文献史料の調査、海域の開発の有無など様々な情報を調べます。そして、それらの中で最もポテンシャルが高いエリアを絞り込んでいきます。ターゲットは決まっていませんし、敢えて、決めていません。この地道な作業が水中遺跡発見の近道なのですが、多くの人は、これらのプロセスについて考えたこともありません。本来であれば、地元の自治体が、これらのデータを整理し、周知の遺跡がありそうな場所を絞っていくことになります。でも、方法がわからない…。

このプロジェクトでは、その方法を自治体の方々や多くの人に知ってもらいたい!という思いから、このプロセスを公開します。日本全国の自治体でこのプロセスを実施すれば、多くの水中遺跡の発見に繋がるはずです。

3月に、文化庁から『水中遺跡ハンドブック』が刊行されました。この中で、水柱遺跡を絞り込んでいく方法が若干記されています。でも、具体的に何をどうすれば良いのか…。そこで、この調査についての情報をオープンにし、知ってもらう。


さて、このハンドブック、文化庁の取り組みの10年の集大成になります。自治体に向けてわかりやすく、水柱遺跡野調査をどのように実施するか分かりやすく書いています。このハンドブックの内容を、全国の行政担当者が理解して実施すれば、日本の水中遺跡保護体制は一気に40~50年前進するはずです。

イベントのお知らせ

Noteは、あまりイベントの告知には、向いていないのですが、まあ、とりあえず、こんなことをしていますという程度に知ってもらえれば。

〇過去のイベント
大阪梅田Lateralでライブトーク開催!3月に実施しました。2時間ほど水中遺跡について話しています。当日の様子、期間限定ですが配信しています。(そろそろ配信期間終了)


〇定例イベント
頻繁にオンラインのイベントなどをしていますので、ツイッター、うみラボのホームページ、その他、Facebookなどで調べてみてください。最近は、毎週末にツイッターのスペースを開いています。

〇☆△これからのイベント(告知)△☆〇


4月14日うみラボオンライン講演会! 水中遺跡と法律について知ろう!神戸大学大学院の中田先生を招待して、水中遺跡と法律について考えていきます。


意外と、水中遺跡に関する法律って知らないことが多いんですよね。例えば…

日清戦争時の船やロシア帝国海軍の軍艦を発見したら?
所有権はどうなっているんですか?
縄文や弥生土器を発見したら報告しなくていいの?
排他的経済水域にある遺跡は、誰が管理するの?

などなど…

これらの疑問にお答えします!参加費無料ですが、事前登録をお願いしています。

うみラボのホームページから申し込みください!


4月16日頃?
まだまだ未定ですが、もしかしたら、クラウドファンディングの宣伝のためライブ配信を行うかもしれません。決まり次第ご連絡いたします!

こちら、以前のライブ配信の様子です!

インスタライブー見逃し配信はこちら(3月のモノです)

現在、準備中です。SNSなどでお知らせいたします。



さて、そして、最後のお知らせ


みんなで海へ行こう!

4月22日~30日 
ほぼ初告知になります。
『みんなで海へ行こうウィーク』を開催します!

海洋問題、SDGs、ブルーエコノミー、今、世界では海に対する関心が高まっています。多くの国に国立の海洋博物館があり、海が新しい経済や文化のフォーカスポイントになっています。しかし、日本はどうでしょう? 国立海洋博物館もありませんし、水中文化遺産に対する国の予算は、多くの内陸国よりも低いのが現実です。

識字率70%、海岸線60㎞の国が義務教育で水中文化遺産保護を教えているのに、海岸線1万キロ以上を水中遺跡調査なしに埋め立てた日本では、考古学を教えている大学でさえ水中遺跡についてほとんど話を聞く機会がありません。

最後に海をじっくり見たのはいつでしょうか?

海を見れば、きっと海に対する関心も芽生えるはず。

そこで、みんなでうみへいってみよう! そのキッカケとなるイベントを考えました。私は考古学・文化的関心で海に向かいます。しかし、海の魅力はそれだけではありません。ゴミ問題、豊かな海・SDGs…。

とりあえず、海を見て欲しい…。4月22日~30日の間に、海に行こう。特に目的はなくても構いません。多くの人に海に行く、海に対して考えて欲しいと思っています。海づりでも良し、海ゴミの掃除、ただ単に海を眺める、ダイビング、サーフィン…。なんでもOKです。

『みんなで海へ行こうウィーク』は、誰でも参加可能です。目的は、なんでもOK。また、たくさんの方々に「便乗」して欲しいです。ダイビングショップ、釣り船、海に関する活動をしている団体、積極的にこの期間に海に行くことを多くの人に勧めて欲しいです。

便乗したい団体・企業・個人は、どしどしご活用ください。

できるだけ、たくさんの人に海を見て欲しい。

便乗して欲しいプロジェクトは…いろいろあります。海・湖・河川、海事文化に関するイベントや団体で積極的に活用して欲しいです。
例えば...

  • ダイビングツアー

  • 海ゴミの収集

  • ビーチコーミング

  • 釣り

  • うみに関するイベント(写真などでも)

  • 水族館

  • 船や海事文化に関するイベント

  • 船舶関連など

  • 海洋教育に関わることならなんでも


みんなで海へ行こうウィーク参加方法!


参加方法は簡単。みんなで海へ行こうウィーク期間内にイベントを開催するだけ。SNSなどで拡散する際に、ハッシュタグやタグで『みんなで海へ行こう』をいれるだけ。うみラボへのご連絡の必要もありません。


うみラボイベントPDF

以上で、みんなで海へ行こうウィークについての説明です。次に、うみラボ独自のイベントの説明をします。混乱しそうなのですが、以下に書く内容は、『みんなで海へ行こうウィーク』の冠のもと、うみラボが実施するイベントです。それぞれ便乗していただく団体は、好きなイベント活動を展開していただければ嬉しいです。


さて、うみラボでは『みんなで海へ行こうウィーク』にイベントを考えています。コンセプトは、あなたも参加できる水中遺跡の調査です。誰でもどこからでも参加できます。

え、私泳げないよ…?と思われた方もいらっしゃることでしょう。

水中遺跡を探す際には、陸からできるだけ多くの情報を集めます。漁師などへのインタビューを通して海揚がり品の発見の状況をしらべること、また、実際に海岸を歩いてみて落ちている遺物を調べてみます。いわゆる漂着物を調べることですが、趣味で行なっている方々はビーチコーミングと呼ばれ、全世界に愛好者がいます。調べてみると、たくさんの陶磁器などが拾える海岸がありまう。おそらく、その沖には沈没船がある…。瀬戸内海には唐荷島と呼ばれる島があり、文献史料にもその名前が登場します。外国からの船の積み荷が流れ着いたと言われています。また、元寇の船が発見された松浦市鷹島でも、たくさんの遺物を拾うことが出来ます。「てつはう」も数件、海岸で拾われています。

と言うわけで、みなさんには、海へ行って遺物をさがしてもらいます。

仕組みは簡単。任意で好きな海岸に行って、歩く。見つけた遺物をSNSなどにアップする。ただ、それだけ。海に行く時間がない人は、アップされてくる写真を見て、コメントします。例えば、「それは○○時代の××という陶器ですね」のように。つまり、実際に海に行く人と発見されたものの解釈、二つの役割があります。最終的に、こちらで上がってきた写真などを集約し、まとめ・報告をします。一応、丹後のクラウドファンディングイベントの一環として行ってますが、日本全国どこでも構いません。

作業内容

ビーチコーミング参加者
 〇参加者は、それぞれ好きな時間で任意の海岸を歩く。
 〇陶磁器や遺物など昔のモノを見つけたらスマホなどで写真を撮る。
 〇発見した場所も可能であればGPSなどで記録を残す。
 〇写真や場所の記録を、随時、SNSで共有する。
 〇公表したくない人はDM等で送信、こちらで情報を伝える

リモート参加者
 〇ハッシュタグをたよりに遺物を観察
 〇時代・発見の意義などを自由に発信
  
必ずハッシュタグをつける #水中考古学 #みんなで海へ行こう

*詳しいイベント内容は、うみラボのホームページなどで公表しますので、ご確認下さい。

と、以上になります。多くの人に参加してもらえれば、海への関心が高められるのかと。ちなみに、海とかいていますが、うみ(湖や河川)でもOKです。

みなさんは、最後に、「うみ」に行ったのはいつですか?あたたかくなってきましたので、これを機会にうみをみつめなおしてみてはいかがでしょうか?最近は、海洋問題、海ゴミ、いろいろと海にまつわるニュースをよく聞きます。うみを見ないと、海の状況はわかりません。

みんなで海へ行こう!

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