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思考停止がぬりかべをつくる。

非常事態。
それは、予想もしないし、誰も経験したこともないもの。
想定はするけれども、起こるわけないとたかをくくっているもの。
そんな非常事態が、今目の前で繰り広げられています。

言ってしまえば、感染のアウトブレイクなのですが、連休後出勤したらあれよあれよという間に広がりを見せたアウトブレイク。
病院では感染管理が徹底していて、大きな組織だと感染のスペシャリストがいるのですぐに相談して広がることはあまりないし、そもそも、そういった広がりそうな組織内の感染、というものに遭遇したことがないのです。

だから今回は正直いってちょっとびっくりしています。

介護施設となると、看護職は管理職に近く、(立場が、ではなく、役割が、という意味です)現場で感染者の対応をするというよりも、感染者やそれが広がらないための感染管理、という対応が主な役割になってきます。

今回、これまでにあまり経験のないアウトブレイクが起きて、現場からの「これがあったらいいのに」という声があって、それの対応としてちょっとおもうことがあったので書いてみます。

嘔吐の対応をする現場の介護士さんから、「床などにシュッシュッとふりかけるアルコールのものがほしい」と言われたのです。

どういう意図でそう言われたのかを聞いてみると、仕上げとして消毒したい、感染部屋の中での消毒に使いたい、というような感じでした。

でもアルコールでは効かないことを伝えた上で、なにかないか探してみます、と伝えたのです。

現場の人たちがやりにくいと言っているのなら、方法なのか、物(ジェル状なのか、噴霧式なのか)で対応可能なのか、を知る必要があると思ったのです。

それに、それが改善できれば感染管理もやりやすくなり、徹底できるのであればその方がいいんじゃないか、と考えたんですね。

施設では、感染者用の検温備品がなく、その都度消毒液に浸したガーゼで消毒して対応しています。なので、その消毒液の噴霧式バージョンを作成したらどうだろう、と考えたのです。

その話を看護職のひとにもちかけようとしたところ、途中で、「マニュアルはこうなってるから」と話がそれ以上進まなくなってしまったのです。

マニュアルが大切なのは、わかります。誰もがおなじように対応できるようになるためのもので、それによって同じ結果が得られるものであることも十分わかっています。

だけど、今は非常事態。

非常事態だからこそ、マニュアルに従うべきなのか?
非常事態だからこそ、現場が動きやすくなるにはどうしたらいいのだろうか? とわたしは考えたのですが、マニュアルどおりにするようにとの話でそれ以上に話ができなくなったので、話を続けるのをやめました。

マニュアルだから、とか、○○だから、とか、それを盾にされるとそれがおおきなぬりかべのようになって、そのことばの裏側にどんな状況があるのか、どんな心境があるのか、を読み取れずにわかりあえないままになってしまいますよね。

ことばの裏側にどんな心理があるのか、会話してみないとわからないし、決めつけないで相手の想いを聞いてみないとわからない。

改めて《 対話 》の重要性を感じた1日でした。

いつもありがとうございます! いただいたお気持ちをパワーに変えて、どんどんまわしていきます!