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SLEのあたらしい治療とこれから。

今さらですが、2019年11月にSLE市民公開講座に参加してきたので、そこで学んできたことをシェアしたいとおもいます。
SLEとは全身性エリテマトーデスという自己免疫性疾患のことです。
参加してきた市民公開講座はこちら。

講師の田中先生は、2019年10月にあたらしくSLEの診療ガイドラインが発売されたのですが、その作成に携わられたいわばSLE治療の第一人者。

1.自己免疫性疾患とは?

「膠原病」とよくいわれますが、自分の免疫が自分を攻撃する病気であり正式には「自己免疫性疾患」といわれます。「膠原病」という呼び方を今でも使っているのは日本だけなのだそう。

全身性自己免疫疾患は3種類あって、
 (1)リウマチ系:関節リウマチなど、筋肉骨格系の痛みやこわばりなど
          を症状とする。
 (2)古典系:SLE、抗リン脂質抗体症候群など。
 (3)血管炎系:ベーチェット病など。

SLEというのはリンパ系の病気なのです。
リンパ系? というのは、免疫についてまずお伝えすると、

本来ならば、Tリンパ球というじぶんではない異物を攻撃する役割をもった細胞が、自己抗体を攻撃してしまうことで、全身のいたるところで炎症が起こり、その炎症が起こった臓器に応じた症状が出るものなんです。

2.SLEの症状は?

SLEの症状は、全身にあらわれるのでそれこそ多様ですが、顔に蝶のようなあかい紅斑が出ると言われています。

・・・が、わたしはもともとアトピー性皮膚炎もあり、これはわかりにくいんじゃないかなぁとおもいます。

①蝶形紅斑、円盤状紅斑、脱毛、光線過敏、口腔内潰瘍、レイノー現象(指先が真っ白になる)
②いろんな場所の関節が痛くなる(多発性関節炎、関節痛)
③ループス腎炎、ネフローゼ症候群(足がぱんぱんにむくみ、前側の骨の横を指でおさえるとふつうは戻るんですが、指の跡がついて戻りません)
④けいれん、意識障害、厳格。妄想、総うつ状態
⑤心膜炎、胸膜炎

ちなみに、わたしの場合は、まず両手に5ミリくらいの赤くてまるいつぶつぶのようなものができました。感染症だとまずいとおもって、皮膚科を受診したのですが、ステロイドを処方されて終了。

そして、食欲がなくなり、脱毛が出てきました。もともと薄毛のわたしは、入院前に、母にひたすらかつらをつくれと言われ、そんな元気もなかったのですが、反論する元気もなかったのでつくりました。結果、治療が始まってしばらくするまで、枕は抜けた髪の毛でいつもきたなくなるほどだったので、入院してすぐ検査も始まる前に当選していたライブにつけていったり、退院するときにつけていったりして、役立ちました。

3.治療は?

SLEの治療目標としては、まずはいま出ている症状を落ち着かせること、これを《 寛解 》といいます。
わたしの場合でいうと、ループス腎炎・ネフローゼでからだに水がぱんぱんに溜まった状態になっていたので、腎炎をおちつかせることでしっかり水をからだから出すことが、まず第一でした。
そのための治療として、ステロイドパルスが行われました。
このステロイドパルスは、症状を抑えるための治療、つまり対症療法であって、根本的な治療ではありません。
Tリンパ球が暴走して自分を攻撃してしまっている病気なので、免疫抑制剤をつかいます。

つまり、SLEの治療は、
ステロイドによる炎症を抑える。
免疫抑制剤によるTリンパ球の暴走を抑える。
の2本柱なのです。

4.抗マラリア薬の登場

抗マラリア薬は免疫調整作用があるということで、わたしも当初より使い始めたのでしらべてみたのですが、くわしい機序はよくわかりませんでした。でも、これを使うことで、再燃といって、症状が再発することがとても少なくなったそうなのです。

講座の後半では、患者さん2名と別の患者さんのお母さんが登壇し、先生に質問するというコーナーがあったのですが、なんども再燃していて怖いという患者さんに対して、「抗マラリア薬を使うと再燃しにくくなるから、あとは疲れすぎないように」とアドバイスされていました。
SLE歴の長い方はもしかしたら、抗マラリア薬を使われてないかたもいるかもしれないのですが、それがすべてではないけれど、希望の光になるのかもしれないなぁと感じました。

5.これからの治療目標

この先生のはなしを聞きに行こうとおもったのは、このはなしがあったから。それは、SLEの治療目標として、今後はすべての薬を中止にしていこうということが世界でも言われているとのことなんです。
SLEを知らないかたは、ピンとこないかもしれませんが、基本的に自己免疫性疾患って、「一生くすりを飲み続けなければならない病気」という印象がとても強いです。ステロイドを一生飲み続けるということは、骨はスカスカになって骨折しやすくなるし、感染もしやすくなる。ずっとそんな副作用の恐怖と生きていかなくてはいけないということなんですね。

それが、世界では、症状がおちついた《寛解状態》に入って、ステロイドを維持量にしてから3年、再燃がなければ、ステロイドが0にまることを目標にしよう、という流れに変わっているのだということなんです。

一生くすりを飲まなきゃいけないなんて、やっぱり嫌だし、正直身近な医療従事者に「一生飲み続けなきゃいけないんだから無理しないで」って「一生って・・・」励まされてるのだとはおもうけど、当事者にとっては「一生の薬」という呪いを植え付けられているようで複雑な気持ちになったのを覚えています。
だから、西洋医学のお医者さんが、くすりゼロを目指すんだ、って講演で言ってくれるのを聞いてとてもうれしかったんです。


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