聖なる復讐者(クリスマスキャロル) 鑑賞

日本で字幕で見てから感想を書こうと思って
大分たってしまいまった。
(ジニョンのソロコンの話も書いてないのに…)

韓国では2022年の12月に、舞台挨拶と一緒に観てきました。
直前であらすじと監督のインタビューを読んだくらいの予備知識があるくらいの状態でした。


※以下ネタバレがあります。

映画のジャンル的にも、監督的にも暴力表現が多いだろうとは思っていましたが
開始10分~15分くらいで、ジニョンの水死体の顔を画面いっぱいに見ることになったり…
思わず目を背けてしまうほどタコ殴りにされてる姿を
みさせられるとは思ってもみなかったです。

私は基本コメディかハートフルな感じの物しか見ないので
耐性がなさすぎて、もうどうしようかと思いました。(ちょっと帰りたくなった)

しかも日本の映画やTVの、直接的な暴力表現を避ける映像に慣れているので
殴る所をそのまま見せたり、音が・・・音がとにかくリアルで
殴る音にも重さがあるし、グチャグチャな音とかも出てホントにもう・・・トラウマ。
(映画館を出ても、劇中に出てきたようなスノードームとかロッテリアを見るたびに あああああ ってなった)

韓国語を勉強しているけれど、そんなに熱を入れてやってないので
5割分かっていればいいかなぁくらいの理解度で観ましたが、
あまりにも救いのない貧困と、きっと自分も一緒に壊してしまいたいんだろうなと思うようなイルの少年院での生活、暴力…
そしてラストの15分、どうしてこんな事になるのか…本当に辛いし悲しいし苦しくて

ベソべソ泣きながらラストまで見ました。

本当にトラウマなんですけど・・・
ヌンパルの時も思ったけど、ジニョンよ…ファンになんちゅー映画を見せるねん・・・

と文句はいいつも、印象に残ったことがいくつか

先生役のキムヨンミンさんの演技
先生がサンタであり貯水タンクに投げ入れた犯人だと気づいた途端
今までのイルへの態度とかいろんな事がばーーっとフラッシュバックして
鳥肌が止まらなかった。き、気持ち悪すぎる…
背筋が凍るってこういう事を言うんだなと。

舞台挨拶で見た、穏やかで可愛くてほんわかした雰囲気のご本人とあまりの違いにも
驚いたけど、本当に後半の薄ら寒い気持ち悪さのある演技が印象的でした。

イルとウォルの幼馴染役のキムドンフィ君
彼もすごい俳優さんでした。
原作者の先生のインタビューで ”子供は初めから悪者ではない
もっと悪い大人が、そうさてしまう” みたいな事を書いてらして
この文を読んだ時に、彼の演技が浮かびました。
イルとウォルの間にいるような少年。
同じような境遇の中で、流れに逆らえずに飲み込まれていく姿が
絶望感を誘っていたと思う。

ウォル
思っていた以上にちゃんと別人で、絶妙に表現されていて驚き
ジニョン本人は、特別な役作りはしていないと言っていたけど
すっと、ウォルという人物として見る事ができた。
ウォルがパニックになっちゃう所とか、苦痛を我慢する姿とか辛かったな・・・

韓国で鑑賞してから半年ほどたって、字幕付きで日本でも見る事ができました。
(内容分かってるから、胃が重かった…)

思った以上に中身は理解できていたようで
細かい文章や、演技の表情を注視して見る事ができたのだけれど
キムヨンミンさんの演技やっぱりすごい。

分かって見ていると、よりうすら寒さを感じるんだけど
先生はどんな気持ちでいたのか・・・
いや、自分は善良だと思い続けていたのか・・・
きっと何度見ても理解できないと思った。

字幕で観ていて改めて思ったのは、息遣いの演技がすごく印象的で
先生のいる場所の温度も感じるというか、心拍数も呼吸で伝わってくるような感じ。

全体を通しての感想は、韓国で観たときと変わらなかったな。
今目の前にある悪が、さらに大きな悪に飲み込まれていく連鎖。

疎ましく思う気持ちもあれど、家族として愛情もあったウォルを失って
イルは自分のこともめちゃめちゃにして壊してしまいたかったんだろうな…
観ていてあまりに全部が痛々しくて観ているほうがずっと泣きそうだった

韓国は、悪感情とか悪者とか怒りや絶望を
直接的にハッキリ描くんだなと改めて実感したんだけど
こういう題材の場合にほぼ救いはいれてくれない。
心が煮えたぎるような
後味どころか痛みしか残さない気持ちにさせるのって
韓国作品らしい気がする。

ネトフリで見た、人間レッスンとか
それこそジニョンが初主演したヌンパルとか
被害者がこのまま生きていくより、せめてどうか安らかな死が与えられますように
と祈ってしまう。死しか救いがないのではないかと感じる。

でも今回の映画は、少しだけ 生きてる人間への救いがあった。
(原作小説はまったく救いがないので監督が追加したそう)

いや~絶望にも容赦がないな 韓国作品
重すぎて、消化するのにだいぶ時間がかかった。

映画を見終わって、
身が爆発するような怒りと、暴力と、絶望。
そりゃ最近の線の細い俳優さんがやったら重みが出ないよなぁと
ジニョンにこの約のオファーが来た事に納得だったのだけれど

胆力というか、目の力というか…

一緒に観に行った映画好きの友達が、ジニョンが俳優として
すごく良い成長をしてるって思った と言っていて
私もそれは大いに賛同でしたし、嬉しかった。

暴力映画は観るのにだいぶ体力いるけど、ラブコメだけじゃなく
またこういう演技も見たい。
ジニョンの次回作が楽しみです。


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