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或る友人の霊へ


或る友人の霊へ


          

照れ隠しの童子の如き笑み

その笑みにどれだけの苦悩懊悩が

底知れぬ悲哀が秘められていたか

初対面から溢れていた

空間が軋む如き哀しみが

己を貶め 自虐的な詩に

その痛みは胸中にて増幅され

さらに己を切り刻み

此の世に縛り付けんがために

肉体の在るの苦々しさを

固体の忌々しさを

のたうちまわりては

無能無力を嘆き

されど祈願は深く強く

眼光に隠されていた

メダカを慈しみ
動物を生物を慈しみ

あらゆるものを慈しむ

貴方の祈願は底知れぬ深みにあり

誰もそれを観なかった

名も無きものらがそれを知る

名もない故にそれを

御身は地に

霊は霊に

ゆかしき人よ

よく生き抜いた

イバラの道を

よく歩き通した

別れは言わぬ

では また

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