見出し画像

奥田@有料版vol.66:ハーフタックス考【本記事は無料で読めます】

※本記事はまぐまぐの有料メルマガ「奥田雅也の『無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ』」の記事を個別に販売しております。

お気に入りの記事を個別に購入して頂いても結構ですし、まぐまぐにて購読申込を頂ければ1ケ月は無料で購読が可能です。

詳しくはこちらのページをご確認下さい。


なおこちらのオンラインサロンにご登録を頂ければ、バックナンバーを177号までプレゼントいたしますので、よろしければチェックしてみて下さい。

<2016/09/28配信>

■━━━━━━━━━━━━━━━━■
奥田雅也の
「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」
■━━━━━━━━━━━━━━━━■
奥田@有料版vol.66:ハーフタックス考
■━━━━━━━━━━━━━━━━■


いつもお世話になります。
奥田です。


最近、読者の方や懇意にしている
税理士先生から養老保険を使った
いわゆる「ハーフタックスプラン」
に関するご質問を相次いで受けました。


この最もオーソドックスで
ポピュラーな養老保険を使った
ハーフタックスプランについて
今一度、考えてみたいと思います。


まずは保険税務においても
最も有名な法人税基本通達9−3−4
から確認をします。


法人税基本通達9−3−4
(養老保険に係る保険料)

法人が、自己を契約者とし、
役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)
を被保険者とする
養老保険(省略)に加入して
その保険料(省略)を支払った場合には、
その支払った保険料の額(省略)については、
次に掲げる場合の区分に応じ、
それぞれ次により取り扱うものとする。

(昭55年直法2-15「十三」により追加、
昭59年直法2-3「五」、
平15年課法2-7「二十四」により改正)

(1)死亡保険金(省略)及び
生存保険金(省略)の受取人が
当該法人である場合 

その支払った保険料の額は、
保険事故の発生又は
保険契約の解除若しくは失効により
当該保険契約が終了する時までは
資産に計上するものとする。

(2)死亡保険金及び
生存保険金の受取人が
被保険者又はその遺族である場合 

その支払った保険料の額は、
当該役員又は使用人に対する給与とする。

(3)死亡保険金の受取人が
被保険者の遺族で、
生存保険金の受取人が
当該法人である場合

その支払った保険料の額のうち、
その2分の1に相当する金額は
(1)により資産に計上し、
残額は期間の経過に応じて
損金の額に算入する。

ただし、役員又は部課長
その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)
のみを被保険者としている場合には、
当該残額は、
当該役員又は使用人に対する給与とする。


昭和55年に出された歴史ある通達で
あまりにも有名ですから、一度は
ご覧になられたことがあると思います。


この(3)で、

死亡保険金受取人=被保険者遺族
満期保険金受取人=法人

の契約形態でなおかつ
特定の役員や使用人を
対象にしていなければ、
支払保険料の1/2を資産計上にして、
残りを支払った都度、損金にして良い
という内容です。


半分が損金になることから
ハーフタックスプランと呼ばれています。


養老保険のハーフタックスプランは、
満期時に払い込んだ保険料と
ほぼ同額の満期保険金を
法人で受け取ることが出来る上に
半分が損金になる利益押し下げ効果が
得られるために根強い人気があります。


ただ当然ながら注意点も
多く存在していますので、
その辺りを整理していきます。


1)ハーフタックスプランを充足する
対象者は?

特定の役員や使用人だけを
対象にしていると
被保険者に対する給与とすると
規定している以上、
どれだけの役員や使用人を
対象にすべきか?は要注意です。

基本的には全役員・全使用人を
対象にすべきなのでしょうが、
採用したばかりの社員を含めると
早期退社等のリスクもありますので、
客観的な加入条件をつけることは
良いとされています。

例えば入社3年以上の社員だとか
役職者のみを対象にするなどの
加入条件をつけても良いとされています。

ただしここで注意しなければならないのは
加入条件を満たす対象者が
全社員の割合のうちどの程度か?
ということです。

基本的に死亡保険金受取人を
被保険者の遺族にしている以上、
「福利厚生制度」として成立が
していることにより1/2損金参入が
認められていると考えるので、
「普遍的」な加入が条件とされています。

この「普遍的」については、

「広く行き渡るさま。
きわめて多くの物事に当てはまるさま」

と定義されるために、
過半数以上の人が対象になっている
状況を作る必要があります。

特に注意しなければならないのは、
契約当初は大多数の人が加入していた
養老保険が、中途退社等により
対象者が減少しているにも関わらず
新規対象者を追加していないために
「普遍的」な状況で無くなっているケースです。

この状況で税務調査で指摘されると
非常に厄介なことになりますので、
ハーフタックスプランの契約を
お預かりしたら
メンテナンスをきっちりとしてください。

※たまにメンテナンスが甘い
ハーフタックスプランを見かけます。。。

2)同族会社のハーフタックスプランについて

ハーフタックスプランに関するご質問で
たまにあるのが「同族会社」のケースです。

役員や社員がほぼ親族で占めているような
ケースでハーフタックスプランを導入しても
1/2損金は認められるか?という質問です。

これについては、
私が下手な説明をするよりも
「保険税務のすべて」より
勝手に引用します(笑)

・同族法人の役員・従業員全員の
加入に対する制限の有無

(質問)
当社を保険契約者とし、
当社の役員・従業員を
被保険者とする養老保険
(満期保険金受取人は法人、
死亡保険金受取人は役員・従業員の遺族)
に役員・従業員全員加入したいと思いますが、
この場合保険料の1/2を
損金とする取り扱いが、
同族会社であることのために
否認されることはないでしょうか。

(回答)
原則として全員が加入し、
役員・従業員を含めて保険金等に
バランスがとれていれば認められます。

できれば内規等を
設けておくとよいと思われます。

同族法人の場合は、
行為計算の否認(省略)の
規定がありますが、
これは同族会社のすべての行為や
計算にかかるものであり、
生命保険にだけ特に厳しく
適用されるものではないので、
上記の条件を満たしていれば問題ないでしょう。

ただし、役員または従業員の
全部または大部分が
同族関係者である法人の場合は、
たとえその役員または従業員の全員を
対象として保険に加入する場合であっても、
その同族関係者である役員または
従業員については、保険料の1/2は
給与・報酬として取り扱われます。
(所基通36-31(注))

※参考 所得税基本通達36−31
(使用者契約の養老保険に係る経済的利益)

使用者が、自己を契約者とし、
役員又は使用人
(これらの者の親族を含む。)
を被保険者とする養老保険(省略)に加入して
その保険料(省略)を支払ったことにより
当該役員又は使用人が受ける
経済的利益(省略)については、
次に揚げる場合の区分に応じ、
それぞれ次により取り扱うものとする。

(1)死亡保険金(省略)及び
生存保険金(省略)の受取人が
当該使用者である場合

当該役員又は使用人が受ける
経済的利益はないものとする。

(2)死亡保険金及び
生存保険金の受取人が
被保険者又はその遺族である場合

その支払った保険料の額に
相当する金額は、
当該役員又は使用人に対する
給与等とする。

(3)死亡保険金の受取人が
被保険者の遺族で、
生存保険金の受取人が
当該使用者である場合

当該役員又は使用人が受ける
経済的利益はないものとする。

ただし、役員又は特定の使用人
(これらの者の親族を含む。)のみを
被保険者としている場合には、
その支払った保険料の額のうち、
その2分の1に相当する金額は、
当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(注)
1.(省略)

2.上記(3)のただし書については、
次によることに留意する。

(1)保険加入の対象とする
役員又は使用人について、
加入資格の有無、保険金額等に
格差が設けられている場合であっても、
それが職種、年齢、勤続年数等に
応ずる合理的な基準により、
普遍的に設けられた格差であると
認められるときは、
ただし書を適用しない。

(2)役員又は使用人の全部又は
大部分が同族関係者である法人については、
たとえその役員又は使用人の全部を
対象として保険に加入する場合であっても、
その同族関係者である
役員又は使用人については、
ただし書を適用する。


以上、何も言う事はないと思います(笑)

3)保険金額の設定について

役員と社員を対象者とした
ハーフタックスプランの場合、
役員と社員で保険金額の格差を
つけるケースがあります。

これは、前述の通りハーフタックスプランは
払込保険料のほぼ同額の
満期保険金が受け取れるプランで
課税繰延効果が高いので、
少しでも多く保険料を払いたいという
意向が働くからです。

役員と社員の保険金額格差ですが、
諸説ありますが一番無難な設定は
格差を付けない事です(笑)

役員と社員では会社の業績貢献が
違いますから、有事の際に会社へ
与える影響が違うので、
法人受取の生命保険金で
格差をつける事や、退職慰労金で
格差をつける事はあり得ると思います。

ですが、そもそもが福利厚生制度において、
役員と社員で補償額が違う事も合理性が
どこまであるか?と言えばちょっと疑問です。

ただし、先ほど紹介した
所基通36−31の注釈2の(1)に
この様な表記があります。

(1)保険加入の対象とする
役員又は使用人について、
加入資格の有無、保険金額等に
格差が設けられている場合であっても、
それが職種、年齢、勤続年数等に
応ずる合理的な基準により、
普遍的に設けられた格差であると
認められるときは、
ただし書を適用しない。


「合理的基準でなおかつ
普遍的に設けられた格差」
であれば認められる可能性が
あるということです。

ですので、基本は同額なのでしょうが、
実務的には5倍程度までは良いとして
格差をつけているケースはあります。

ただしこの5倍には
何の根拠もありませんから
5倍=必ず大丈夫
という訳ではない点はご注意ください。

実際に私は5倍程度の設定をして
税務調査で精査されても
否認されなかった経験はあります。

ですが、1度否認されなかったからといって
すべての法人で
否認されないとは限りませんから、
実際の検討においては
所轄税務署や顧問税理士の
確認は必要でしょう。

そう言えば先日の
フォルテッツァレポートにて
新日本保険新聞社の榊原さんが
ハーフタックスプランの役員と
従業員の保障格差が過大だとして
否認されて、国税不服審判所へ
異議申し立てをしたが却下された
事案を紹介していましたね・・・

あまり書くとネタバレになるので
書きませんが、格差が大きすぎる事と
ハーフタックスプラン導入に必要な
諸要件を満たしていないという
「稚拙な事案」だった様ですね・・・


あとは一部保険会社で販売している
特殊養老を使った
ハーフタックスプランの場合、
最終的な保険金額が高額になるのは
注意しなければならないと思います。

福利厚生制度において
そこまで高額な保障を提供する事が
税務上で認められるか?という
問題が潜んでいるからです・・・


まだまだ書きたいことが
ハーフタックスプランには
ありますが、
かなりの文字数になりましたから
次号に引き継ぎますm(__)m

/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛


本編でご紹介した
ハーフタックスプランは
私も好きなスキームの一つですが、
最近はあまり提案しないですね・・・

ハーフタックスプランと言えば
昔、某社が出していた
「養老特約付養老保険」が
衝撃的すぎて忘れられません(笑)

この話、当時を知る人と飲むと
必ず笑い話で今でも出てきます。

昔は結構、個性的な保険商品が
多くありましたよね・・・・

メルマガを書きながら
そんなことを思い出していました・・・


※本メルマガに関するご意見・ご感想がございましたら
本メールアドレスにご返信ください!

全件必ず読ませて頂きますが、
ご返信を差し上げるかどうかは
お約束しませんのでご了承くださいませ。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
配信責任者
株式会社サンライズコーポレーション
メールマガジン配信事務局 奥田

info@kigyouhoken.net
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


記事を読んで「良かった!」「参考になった!」「役に立った!」と思ったらお気持ちを頂けるとウレシイです!