動画『対話芸術家』~王雲鵬さん

FRANさんが今夏シベリウス研究に励まれているのを見て、私も夏休み研究として、気になる中国動画の翻訳をやってみる事にしました(夏休み実質2日間しかなけいど汗)

今、気になる歌手と言えばやはり大西さんですが、皆さん各個人で検索や動画拝見できますので、検索し辛いという理由からツイッター同様、中国の歌手にスポットを当てたいと思います。

第1回は深圳(シンセン)ご出身のバリトン・王云鹏さん。
〔日本語:王雲鵬 / 英語:Yunpeng Wang〕
この曲を聴いてファンになりました:

ベルリオーズ :夏の夜 第6番 未知の島

何度聴いても素晴らしいですね。

今年3月、北京・国家大劇院のコンサートでマーラー《さすらう若人の歌》を歌われ、ニュース番組「北京おはよう」の『対話芸術家』コーナーにご出演した動画があったので、翻訳してみました。

聞き手「本日は『対話芸術家』にお越しくださいましてありがとうございます」
王雲鵬「彬彬さん(=聞き手)、こんにちは」
聞き手「先日、国家大劇院でマーラーの有名な連作歌曲《さすらう若人の歌》を演奏されたと伺いました。この曲を作曲した時、マーラー自身の心境や状況は、一種のさすらう状態であったのではないかと思うのですが。」
王雲鵬「マーラーは20歳の若さでその頭角を現し、ドイツのカッセル歌劇場で指揮をしている時、1人のソプラノ歌手とあまりとは幸せだったとは言えない恋愛経験があり、マーラー自身が作詞作曲したこの《さすらう若人の歌》には、彼の気持ちや感情全てが入っています。」
聞き手「お若い時、単独海外へ行って学ばれてますが、国を離れ外国で1人、孤独だと感じられたことはありますか?」
王雲鵬「ありました…あったと思います。孤独を感じても、目の前には学ばねばならないことが沢山あり、それをこなす必要があったので、孤独感に浸る時間はあまりなかったですね。1人の時は趣味がいくつかあるので、写真撮るのが好きですから、ちょっと悩んだりした時にはカメラやスマホを持って街を歩き、いろんな生活の人々を目にしては写真を撮りました。」
聞き手「海外留学や見知らぬ土地で勉強する方から言えば、孤独を感じた時には自分を忙しくさせるものでしょうか。」
王雲鵬「ええ、そうだと思います。」
聞き手「初めてメトロポリタン歌劇場で歌われた時のことを覚えていらっしゃいますか?」
王雲鵬「《セヴィリアの理髪師》が初めてのステージでした。皆さんご存知の通り3800席もある大変大きなオペラハウスですから、どのオペラ歌手にとっても大きな挑戦です。」
聞き手「その演奏は、ご自分にとって納得のいくものでしたか?」
王雲鵬「まあまあだったかなと(笑)。それでその後の仕事がもらえましたからね。その後、私にとってこの公演は大きな励みとなりました。」
聞き手「演奏会のアンコールでは最後に中国の歌を選曲されていらっしゃると」
王雲鵬「ええ」
聞き手「それはどのようなお考えからでしょうか?」
王雲鵬「中国の素晴らしい音楽を西洋のお客様にも聴いてもらえる貴重な機会だと思いまして。」
聞き手「どんな曲を?」
王雲鵬「アンコールでは《教我如何不想她》をよく歌います。」
聞き手「聴いたお客さんの反応はどうですか?」
王雲鵬「多くの方が、中国の歌が素晴らしかったと仰ってくれます。まるで演奏会で他の曲は無かったかのようにアンコールの曲を覚えて下さいます(笑)」
聞き手「実はこうやって向かい合ってお話していますと、目の前に大きなスピーカーがあるような気がしまして(笑)、このように良く響く声の条件、私の知り合いで多くのお子さんが歌を習い始めているのですけれども、何かアドバイスいただけますか?」
王雲鵬「もし歌という芸術を理解したいのなら、合唱団に入ってみたり、家にいる時でもどんな時でも自分の好きに歌ってみたり、あと舞台に上がる機会があるのならチャレンジしてみたりと。」
聞き手「練習については?」
王雲鵬「変声期が来ると思いますが、変声期が終わったばかりの数年間はまだ喉が強くなってませんから大切に、慎重に過ごす必要があると思います。」
聞き手「声変わりするまでは、音楽や芸術を心で感じられれば良いと…」
王雲鵬「そうですね。」
聞き手「本日は『対話芸術家』にお越し下さりありがとうございました。」
王雲鵬「ありがとうございました。」

話中に出てきたアンコール曲《教我如何不想她》、王雲鵬さんの動画もあったのですが、かなり昔のものだったので、私の大好きなテノール歌手・石倚洁さんの演奏をご紹介:

《教我如何不想她》
どうして思わずにいられよう、あの人を

天上飄著些微雲,地上吹著些微風,啊!
微風吹動了我的頭髮,教我如何不想他?
天には薄雲がたなびき、地上にはそよ風がわたる。
あぁ! そよ風がわたしの髪を撫でるときに、
どうして思わずにいられよう、あの人を。

月光戀愛著海洋,海洋戀愛著月光,啊!
這般蜜也似的銀夜,教我如何不想他?
月は海に恋をして、海は月に恋をする。
あぁ! こんな蜜のような月夜に、
どうして思わずにいられよう、あの人を。

水面落花慢慢流,水底魚兒慢慢游,啊!
燕子你說些什麼話,教我如何不想他?
水面に花びらがゆるゆると流れ、川底には魚がゆるゆると泳ぐ。
あぁ!つばめは、いったい何を語るのか。
どうして思わずにいられよう、あの人を。

枯樹在冷風裡搖,野火在暮色中燒,啊!
西天還有些兒殘霞,教我如何不想他?
枯れ木が北風に揺れ、山際に夕焼けが燃え上がる。
あぁ! 西空にはまだ夕暮れの明かりが掛かっている。
どうして思わずにいられよう、あの人を。

この歌詞訳はネット上から。惚れ惚れする綺麗な訳を付けてくれる方がいらっしゃって感謝。
歌詞の対比、情景描写、歌詞の音韻、石さんの歌、陳さんのピアノ、どれも素晴らしくて…歌曲はどの国も、それぞれの良さが必ずあると思いますし、いろいろ聴いてみたいですね。

最後までご覧下さりありがとうございました。
それではまた!