砂漠四重奏【短編小説】
古びた机の抽斗を開ける。
中には1枚の白黒写真。
摘まみ上げて見る。
砂漠が映っている。
広がる空。広がる砂丘。砂丘には、無数の黒い影。
底のない穴のようにも見える影。
机の上に写真を置いた。
窓の外を見る。
ここは二階で、庭が見えた。
緑色の芝生があり、その上を、少年と犬が、走っている。
少年は短い金色の髪をしている。半袖に短パン姿。
犬は、太り気味のブルドッグだ。
笑い声が聞こえる。
昼食の時間が迫っていた。写真を、再び抽斗に仕舞う。
木材の床は踏み歩くと軋んだ音をたてた