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春のふだん着~紬の着物に紬の帯で

「40代になったら、毎日着物で暮らすんだ!」
と20代の頃は夢見ていたけど、実際40代になっても
全然そういう生活スタイルになっていない。

まあでも、もしも着物をふだん着としていたら
今時期はこんな組み合わせを選ぶんじゃないかな?
というコーディネートを考えてみた。

着物はブルーグレーの紬。

帯は、吉野間道の一種と思われる紬の帯。

この紬は、祖母が着ていたものを私が受け継いだ。
既にかなり着込んでいたのだろう、
すっかり柔らかくなっているものの
触ると紬特有のしなやかな強さが
まだまだ感じられる。良い着物だ。

そして、生地は確かに紬だけど
柄は織で表現しているのではなく
いわゆる後染めの紬のようだ。

柄は、和柄としては定番の菊笹梅。
飛び地的に柄を配した「飛び柄」は、
全体的にまんべんなく柄を散らしたデザインより
格が高いとされる。

洗い込んだデニム的な親しみやすさもありつつ、
優美で品があり、魅力に富んだ紬だと思う。

「ばあちゃんの着物、センスいいね!」って、
祖母が生きているときに
もっとたくさん言えば良かった。
天国へ届け、この思い!

帯は、ほっこり春っぽいものを締めたかったので、
紬の帯を合わせた。
少々よろけた横縞に味があって可愛い。
着物も帯もホコホコしてて、
なんとも冬向きな質感になった。

昔ながらの着物雑誌には

「織の着物に染めの帯」
「織の着物に織の帯を合わせるのは
趣味性の高い着こなしです」

とか、よく書かれていていたけど、着る本人が

「調和した組み合わせで良いなあ」

と思えたなら、何を合わせても良いと思う。
ふだん着の責任ぐらい、自分で取ればいいのさ。
大人なんだもん。

帯締めは、多色使いで房が深紅の可愛い系にした。
民芸品的な温かみを感じて、ほのぼのする。

帯揚げは、かなり迷った末に、
ほんのり紫がかった白の絞りにした。

これが真っ白だと強すぎて浮くんだけど、
微妙にくすんだ色だから
着物とも帯ともほどよく馴染む。

ちなみに今、この着物を着て文章を書いている。
前回着た着物より着付けが断然楽だったし、
着崩れもほとんどしていない。

やわらかもんの生地は、
独特のはんなりした雰囲気が素敵。
ただ、着付けやすさや着崩れにくさという点では、
かたもんが圧勝だ。

着物は、着るまでが面倒で
着るとなんだか嬉しくて、
脱ぐときは「もったいないな」と思う。

諸事情でふだん着はもっぱら洋服にしているが、
着物はやっぱりよいものだし、楽しいものだ。
いろんな機会にかこつけて着よう。


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