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交流機能を不便にしたメタバースコミュニティを2年ほど運用している話

Xで「ぷらっとばーす」の話題を拝見し、自分が2年ちょっと前にメタバースへ遊びに来たときに体験したことがヒントとなり、後に自分が使えるはずの交流機能を敢えて使えなくしたコミュニティ(イベント)を運用することなった流れと結果を書き連ねてみました。

1人野良でメタバースへ参加

今思うと勢いって怖いですよね。
2021年の11月か12月くらいと記憶しています。
1人でメタバースなんて世界に遊びに来ちゃったのです。コロナもあったりで自宅にとどまらねばの時期でしたので期待値も高かったです。

いざ入ってみると…

「何していいのか何もわからん」

そりゃそうですよね。
そして次の問題

「友達1人も居ねぇんだが!」

そう。
美しい景色を見に行きましょうか…
そうねそうね…

あのMMOで遊び始めた時もこの感じだったかなーと古い記憶が出てくると同時に、馴染むまで苦行みたいに1人クエスト消化なのだろうかとげんなりもするところ。

勇気を出して野良でパブリックな場所に遊びに行くも、そもそも日本語でもなく英語でFワードを連発して鴨のオブジェクトを投げ合う不思議なワールドでメタバースの洗礼を受けたりしたのです。

「これ、ネットで見たメタバースじゃねぇな?」

このスパイラルですよ。
とってもわからんくもないこの現象。
とっても厳しいメタバース。

イベント参加でちょっと変わった

いくつかのメタバースに新規参加した1つにclusterがありました。年末のダンスイベントに参加してみました。会場に知ってる人は2人だけでした。それ以外はみんな知らん人です。周囲はワイワイしているのに俺絶対しょぼーんじゃないですか。想像しただけで苦行バースですよ。

ただ当時のclusterは「イベント時はスタッフしかボイスが使えない」という仕様でした。会場に入ってみると知らん人ばかりでしたが、居る人はチャットor身振り手振り(エモート含む)などの交流となっていたのです。

「だからなんなのよ?」

デスヨネ。
実はボイスが使えないことで、会場に居る人が「誰と誰がお友達グループなのかわからんし」状態になったのです。人がいっぱい居る場所で小規模なグループがワイワイしてて「こんなに人が居るのに俺ぼっちやん」になるじゃないですか?あの定義が吹き飛んだんですよ。
なんかお気楽バースになってきた。

逆の発想でしょうかね。
どのあたりがお友達グループかわからんも、テキトーにその辺りの人に混ざっているだけで「なんとなくメタバースに馴染んでる俺」と良き方向へ勘違いできた訳です。

この「あー、ここに居るだけでも大丈夫なんだな」って体験がなかったら長続きしてない気がしました。

コミュニケーションのフェーズと距離感

中の人は北海道生まれですがウニが超絶苦手です。
人生初のウニがめちゃまずいの食ってしまいそうなってしまいました。もう人生折り返しを超える年齢ですけど未だにウニが食えません。
突然なんのこっちゃですがメタバースも初手の体験はよい思い出にしたいところ。初手がひどい体験だと二度と来てくれないかもしれません。

当時なんとなく感じた初手であったら嬉しいなって環境(理想論)

①決まった場所
場所でもいいし毎週とかの日時でもいいのですよね。
自分の居場所(仮)みたいなのが嬉しい。

②友達未満の存在
何もわからんの世界で最初から「さぁ俺とお前は友達だ!よろしくな!」ってのはツラいじゃないですか。友達と言うには相手のことは詳しく知らないし会話したこともないけどなんとなくお互いに顔は知ってる存在ですね。

③適度な距離感
前項と重なる部分がありますが、コミュニケーションっても距離感が大切。突然、懐深く切り込まれて「さぁ趣味の話をしようか」となってもめちゃ困るじゃないですか。そゆことです。

④ステップアップできること
これはコミュニケーションの空間を運営する側の部分かな。新規で遊びに来た方が馴染んだ後に巣立つことができる空気があること。とどまるコトを強いてはいかんちゅーことです。

理想論でコミュニティを運営してみました

メタバースにも多少慣れてきた、自分のコミュニティとしてダンスイベント始めました。コンセプトは「メタバースに来てはじめてフラっと1人ダンスイベントに参加しても大丈夫」ってイメージです。

●時間は毎週水曜22時としました。これは今も同じです(①決まった場所)。

●ボイスは使用不可にしてチャットor身振り手振り(エモート含む)を推奨となりました。当時を見ていると初対面の方がエモートでの挨拶から始まって数回遊びに来てくれるようになり馴染んでいるようでした(②友達未満の存在)

●ダンスイベントでしたので過度のコミュニケーションを必要とせず、代わりとして音楽って共通の要素があり、深い交流はないのだけどぼっちでもなく一緒のことはやっている一体感のような空気がありました(③適度な距離感)

●そして今も「メタバースに来てはじめてフラっと1人ダンスイベントに参加しても大丈夫」をそのままで運営しています。当時遊びに来てくれた人で今はイベントを主催する側になったりクリエイターやパフォーマーになった方。また、水曜のイベントをよきメンターとして盛り上げてくれる出身者などそれぞれの加速を続けています(④ステップアップできること)

本来は使える交流機能を不可としてできることも限られた範囲になる印象が強いと思います。不便すぎて交流の場としては成り立たないのでは?と言われていました。

やってみてどうだったのか

本来は使えるはずのボイスでのコミュニケーションや雑談などの要素を制限して不便な交流の場を意図的に作り、それがうまく行くものだろうか?と
思いつつも運用はなんと2年を超え延べ来場者は2万5000人ほどとなりました。現在も新規層が定期的に参加してくれてる状態であり理想論でしたが初手の方が遊びに来て慣れていく場としては良き結果を出している気がします。

実は深夜に不定期に開催される焼肉屋も運営しています。
こちらは友人と集まりリアルも含めた濃い雑談ばかりしてる場所です。水曜22時とは対局にある感じで初手の方がフラっと遊びに来る場所としてはオススメはしません笑。

このようにコミュニケーションにはフェーズがあるので、それに応じた距離感を保てる環境を作ると良いのであろうかなと感じました。

大きな交流の場(プラットフォーム)の中にこうやってフェーズに応じた場所や機会があり程よい距離感のコミュニケーションがあるならば、居心地のよい空間となるのかもしれません。


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