261冊目:Monster/浦沢直樹

こんばんは、Umenogummiです。



今日はドイツとチェコを舞台にしたサスペンスマンガです。




Monster/浦沢直樹 作



あらすじ



西ドイツ・デュッセルドルフの総合病院で外科医をしているDr.テンマ(天馬賢三)は、ある日命令を無視して頭を銃で撃たれた少年・ヨハンの手術を執刀します。そのことが原因で婚約者で院長の娘のエヴァ・ハイネマンは彼のもとを去り、テンマは出世コースから外れます。

しかしテンマを冷遇していた院長、外科部長ら3名が毒殺され、さらにはヨハンと一緒に入院していたヨハンの妹・アンナの行方が分からなくなります。


およそ9年の月日が流れ、テンマは病院の外科部長として忙しい毎日を送っていました。しかしテンマの患者であったユンケルスが廃ビルで何者かに射殺され、その場に居合わせたテンマは目を疑います。

それは、美しく成長したテンマが救った少年・ヨハンでした。ヨハンはユンケルスを殺害したことに微塵も罪の意識を持っておらず、更には9年前の毒殺事件も「テンマへのお礼に自分がやったこと」と告白し、テンマの元を去ります。

テンマはとんでもない怪物をよみがえらせてしまったと思い、自らの手で決着をつけるためにヨハンの後を追います。


一方、ドイツ連邦捜査局(BKA)のルンゲ警部は、毒殺事件が起こったことで病院で唯一得をした人物としてテンマを疑い、彼もまたテンマの後を追い始めるのでした。



感想


最初はエヴァを憎たらしい、嫌なオンナ!と思っていたのですが、この作品の中で一番人間らしい人物だと思います。こんなやつ真っ先に死ぬんだろうなぁと思っていましたが、最後の最後まで核心部分にかかわってくる重要人物でした。

驕り高ぶり、一転落ちるとこまで落ち、そうなったのはテンマのせいだと逆恨みする。それでも人のやさしさに触れ、自分の目で真実を見つめていくうちに、どんどん前向きになっていきます。

とある取引でエヴァの警護をしていたマルティンとの短い関係が、彼女の心を大きく揺さぶります。このお話すごく好きですね。マンガは15巻あたり、アニメだと58~60ですね。エヴァとテンマが久しぶりに向き合う場面が、映画のワンシーンみたいで、すごくきれいで切ないです。

Monsterのメインテーマはやはりヨハンの中の怪物と、それを生かしてしまったテンマとの関係性にあるのでしょうけど、エヴァの再生の物語でもあるんだと思います。

あとディータ―めっちゃいい子。エヴァが立ち直れたのは、ディーターの影響も少なからずありそうです(希望)


ルンゲ警部も最初は嫌な奴でしたが、キレ者という評判通り、テンマに罪を着せた人物がいることを自力で突き止めます。ルンゲ警部、すごく格好いいです。

テンマやニナといったメインのキャラクターも魅力的なのですが、私の中ではこの2人がダントツで印象に残っています。この2人の存在が、Monsterの世界をより一層面白くさせていると思います。


エヴァのセリフでとても印象深く残っているものがあります。


人の命は平等じゃないんだもの。


最近特に、日本政府のコロナウイルス対策を見ていると、この言葉を思い出します。やだやだ。


アニメもしっかりとMonsterの世界観が描かれていて素晴らしかったです。E物語のキーワードとなる「なまえのないかいぶつ」の映像が流れるEDも良かったです。


マンガもアニメも素晴らしいです。
どちらから入っても楽しめると思います。

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