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忘れられないスポーツ実況(ピーターパンで法然さん事件)

毎度おなじみ、当方が楽しみにしているようちゃんさんの記事に、またまた興味深い話題が出てきました(._.)

視覚障害とスポーツ観戦のお話です。なるほどなるほど、スポーツの魅力を映像以外でどう伝えるのか、考えて見ると面白いモノがありますね。

こういうことを考えるのは当方にとって、介護だけでなくマンガの考え方にも影響するのです。たとえば直接的な絵が使えない場合、セリフや効果音だけで何ができるかとか、考えのヒントになります。

さて音声でスポーツと言えば、身近なのはラジオでなかろうか。

ラジカセ

マンガアシスタント時代は仕事中ずっとラジオがかかっておりまして、夕方からは野球が始まります。むかしTBSラジオでは「ホームラン背番号プレゼント」なんて恐ろしい企画をやってましたね(^_^;)覚えてる方おりますかね。

ホームランを打った選手の背番号×1万円プレゼントっていう企画。たしか松井(55番)がガンガン打ってた頃もやってたと思いますが…

まあそんなことはいいやw

ラジオ野球は映像がないので実況と解説が命である。長年聞いているとアシ仲間も耳が肥えてきて、実況や解説にこのみが出てきます。

「やっぱ初田〇介さんの実況はさわやかだな」

などと言いだす始末。解説で人気だったのは元巨人のクセモノ・元〇選手でした。逆に「むずかしい…」と言われたのが大ベテランの稲〇さんで、正直何言ってるのかよく聞き取れない。実況アナも心得ていて稲〇さんが言われたことをもう一度繰り返すのですが、

「すげえな、ほとんど通訳だ」「さすがプロだ」

と尊敬したものです。(実際、タレントの伊〇院さんはこの技術を「稲〇ラーニング」と呼んでいますが…)

タヌキくん2

さて、本題の忘れられないスポーツ実況があったのは、今からはるか昔の2004年でした。アテネオリンピックのあった年です。(オリンピックはマイナー競技もスポットを浴びるため、慣れない解説者が珍解説をやらかしがち。長野五輪の「タエスゲー」事件などは有名です(^_^;))

当方はその日、その放送をマンガ家の師匠とその友人マンガ関係者が集まって遊びに行くのについて行って、

なんかカラオケボックスで見ました。

当方の隣には、作品は知っている(ファンであるw)けど初めてお会いする女性作家さんがちんまりと座られていた。H先生と言われる。↓

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当方は初対面だし女性でもあるし、失礼のないようにおとなしくしておりますと、カラオケボックスのテレビが曲の合間にスポーツ実況を流し始めました。男子水泳、100メートル自由形。師匠やその友人たちはなかなか歌う曲が見つからないようで、なんかしらんが当方、H先生とその実況をぼんやり見る羽目になりました。

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これくらいの温度ですw

実況「今年は、やはりピーターファンデン・ホーヘンバウト選手がひとつ抜けていますね」

解説「期待です」

水泳と言えばキタジマ、あるいはイアン・ソープという時代(たしか)でしたので、その長いお名前の選手は当方初めて聞きました。そして実際、ピーター選手は100メートルで大活躍をされたのです。

実況「さあスタートしました!あっ!さすがに速い、ピーターファンデンホーヘンバウト選手!最初から飛び出しました!先頭はピーターファンデンホーヘンバウト!」

解説「これは素晴らしいスタートです」

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実況「2着の選手より頭一つ、いや肩までの差をつけて!ピーターファンデンホーヘンバウト、快調に…あッ!いまさらにスパートをかけました!ピーターファンデンホーヘンハウ!ピーターファンデンホーヘンハウ!」

解説「ターンはどうでしょう」

…だんだん、末尾の「ト」が聞き取れなくなってきましたが、それにしてもやたらに連呼するものです。実況より、名前を呼んでいる時間の方が長い。

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当時は冗談かと思いましたwが、言われてみればアナウンサーが有力選手の名前を間違えるわけにはいきませんから、きっと相当練習したんでしょう。で、舞台は男子100メートル自由形、決勝。実況アナも

あんなに練習した長い名前、もう叫びおさめだ!

という気分があったのではないだろうか(^_^;)いや、あったとして、誰がそれを責められようかとも思うのです。それにしてもピーターファンデンホーヘンバウト。オスカルの本名みたいに長い名前(オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ)です。もう実況を入れているヒマはないでしょう。

ターンが決まって、ピーター選手ますます快調に飛ばし始めたようです。いかな猛練習のアナウンサーも、さすがに興奮気味です。

「あっ!ピーターファンデンフォーデンファー!

いま!ピーターパンデホーンエンサー!」

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いえ、ピーター選手の泳ぎには一切乱れはありません。

すでに我々の興味はアナウンサーのほうに移っています。

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ゴール直前になると乱れはますます大きくなり、また名前以外の情報は一切なくなってきます。

実況「ピーターファンデン、あ、ホーヘ、あ、いま、ピー…」

解説「速いですよ」

実況「あ、いま!いま一着で!優勝は!

ピーターパンデー・ホーネンサーン!!

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どういう状況なのでしょうか。

さすがにこうなると実況というものの本質を逸脱しているような気が致しました。

…だいたいにおいて、スポーツ選手のお名前はかならずフルネームでなければいけないという決まりがあるのか、当方は疑問ではあります。

余談ですがおなじアテネオリンピックの、女子ソフトボールでは「ブストス」という名のスラッガーが大活躍されました。彼女のお名前は「クリストル・ブストス」らしいですが、フルネームで呼ばれているのを聞いたことがありません(お名前はこの記事のために調べた)。しかもファーストネームである、クリストルで呼ばれたのも聞いたことがない。

インパクトで選んだだろ。

と、勘ぐりたくもなりますが…(._.)

ともあれ、当方の中でピーターファンデンホーヘンバウト選手のお名前は

忘れがたいものになってしまいました。

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(おめでとう、ピーター選手!…水泳知らないけど…)

ちなみにそのH先生とはその後も懇意にして頂き、H先生がめでたくマンガで賞をおとりになった時も当方の頭に浮かんだのは

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この顔の方でした(._.)

…さらにいえばH先生はこれまた当方懇意にさせていただいているA氏の奥様になられた。そのA氏が去年、小説デビューされてめでたく賞をおとりになったのだが、その時も脳裏に去来したのは

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この方の顔でした(._.)

このように実況とは一つ間違えば大変なことになりますので、アナウンサー各位におかれましてはその旨どうぞ心に留めておいていただきたい…と切に願います。


お粗末様でした<(_ _)>

たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)