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全国通訳案内士試験対策 二次口述試験#1「二次試験対策の進めかた」と「プレゼンテーション」「逐次通訳」

2020年度全国通訳案内士試験(英語)に独学で合格した。

「二次試験対策、どうしよう」

二次試験は何をどう勉強すればよいか。
試験日までに準備は間に合うだろうか。
参考書や問題集に費用をかけたくない。

この記事では、二次試験を前に途方に暮れた私が考案・実践した逐次通訳の練習と自作の「テンプレート」を使って予行練習を繰り返し行うことで、時間効率のよい、そして教材にかかるコストを抑えた学習方法を、実体験を交えて紹介する。

王道の勉強方法では時間が足りないと不安に思われている受験者の方には、ぜひ参考にしていただきたい。
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この記事では、「二次試験対策の進めかた」と二次口述試験の2つ「プレゼンテーション」「逐次通訳」について書く。

なお、「現場対応ロールプレイ」については、
別記事『全国通訳案内士試験対策 二次口述試験#2「現場対応ロールプレイ」と「模擬面接」「二次試験対策のまとめ」』 をお読みいただきたい。


二次試験対策の進めかた

1. 二次対策は一次試験が終了したらすぐに始める

二次試験の対策は8月の一次試験が終わってすぐに開始した。
筆記試験は手応えを感じたわけではなかったが、結果を待ってから準備を始めては口述試験に間に合わない。

さらに言うと、二次試験対策は一次試験の勉強と同時進行で進めるのがよい。
具体的には、一次試験科目の外国語、日本地理、日本歴史、一般常識、そして通訳案内の実務で登場する地名や名産品といったトピックやその説明文・紹介文は、二次試験に直接出題される可能性は低いと思うが、二次試験の練習材料に使える。
例えば、「プレゼン」では出題トピックに、「逐次通訳」では通訳練習の問題文に流用する。
二次試験を意識しながら一次試験の勉強をすることで二次試験準備の効率を上げる。

2. 二次の口述試験は3つ

二次試験の概要はというと、
二次試験は試験官2名による面接形式で実施される。
試験時間は約10分。試験は「プレゼンテーション」「逐次通訳」「現場対応のロールプレイ」の3つである。

入室すると、最初に自己紹介がある。
「名前」「どこから来たか(e.g. 千葉県)」「生年月日」を聞かれるので、英語で答える。

  1. プレゼンテーション 2分

    • 3つのトピックから1つを選び、30秒で準備し、2分でプレゼンする。

    • プレゼン終了後、内容について外国人試験官と質疑応答を行う。

  2. 逐次通訳 1分

    • 試験官が日本語の問題文を1回だけ読み上げる。問題文の内容を1分~1分半で英語に通訳する。

  3. 現場対応のロールプレイ 2分

    • 全国通訳案内士に求められるコミュニケーション力と現場対応力(トラブル対応力)が判定される。

    • 「シチュエーション(困った状況)」と「条件」が書かれた用紙を30秒読む。

    • 外国人試験官を観光客とみなし、全国通訳案内士として状況の説明や現場の対応を行う。試験はロールプレイ形式で実施される。

    • 答えた内容について外国人試験官と質疑応答(ロールプレイ)を行う。

3. 日本にやってきた外国人観光客が「自分」だったら…を考える

全国通訳案内士は日本を訪れた外国人観光客に日本の文化や歴史を紹介する役割を務める。そして、日本の魅力を伝え、日本への理解を深めてもらう役目を担う。
よって、二次試験対策では「どうすれば外国人観光客に日本で安全に有意義な時間を過ごしてもらえるか」を考え、これをベースに回答を出すようにする。
日本にやってきた外国人観光客が自分であったら、何を楽しみにしているか?何を知りたいか?そして、通訳ガイドに期待するのは何か?を考える。

国土交通省の「通訳案内士試験ガイドライン」では、
二次の口述試験は『日本の地理、歴史並びに産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄のうち外国人観光旅客の関心の強いものを題材として、受験者に通訳案内の業務を擬似的に行わせることにより実施する』とある。

4. 3つの試験に3つの対策 ー 「型」を身につける

題材(出題トピック)は無数だ。
そして、試験官を前にして頭が真っ白になってしまう自分が想像できる。
プレゼンでは選んだトピックを上手く説明できるだろうか。日本語でも難しいのに、英語で話をしなければならない。
逐次通訳では問題の読み上げは1回だけだ。メモ取りは苦手である。
不安しかない。

そこで、落ち着いて自信を持って試験に臨めるよう、3つの試験にそれぞれ対策を考えることにした。具体的には、

  1. プレゼンは、「テンプレート(=プレゼンのひな型)」を作る。

  2. 逐次通訳は、必要なメモを取りながら訳文を組み立てる練習をする。

  3. 現場対応は、過去に出題された「シチュエーション」と「状況」から模擬回答を作る。

3つの対策にはそれぞれに「型」がある。自分の「型」を作ったら、後は「型」を繰り返し練習し、「型」を自分のものにしていく

「プレゼンテーション」 ー オリジナルのテンプレートを作る

プレゼン対策は、過去に出題されたトピックをカテゴリーに分け、そのカテゴリーごとに「テンプレート」を用意することにした。

テンプレートを用意した理由は、試験では自信を持って落ち着いてプレゼンをしたいと思ったからだ。
二次試験では自信がないことは言わないに尽きる。自信がない答えは冗長になりがちで、これはマイナス判定に繋がる。
焦ったり慌てたりして時間を無理に埋めてしまうようなことは避けたい。
そこで、言いたいことは予め用意しておこうというわけである。

プレゼンのトピックは「場所(観光名所)」と「食べ物」の2つのカテゴリーに絞った。
「場所(観光名所)」か「食べ物」のどちらか、もしくは両方がトピックに出題されることが多い。
試験でどちらの出題もなかったら、出題されたトピックに関連付けて、半ば強引に見えるが、外国人観光客に人気のある観光地や都市、食べ物に話を持っていくのである。合格体験記を読むと、実際にこのやりかたで試験官を満足させたプレゼンを行い、合格した受験者がいる。

  1. 日本の観光名所(建造物、景勝地、温泉地、都市)

  2. 日本の食べ物・飲み物(料理、菓子、酒、茶)

テンプレートの構成は「イントロ」「概要」「特徴」「結び」をベースにした。これで出題されるトピックに柔軟に対応できる。

プレゼンは2分間に収めなければならない。目安は1分半。
プレゼンで話す文の数は8つ用意し、ゆっくり丁寧に話し、1文を言い終えたら一呼吸おく。これで1分半程度になった。
なお、これには個人差があるので、文字の分量は1分半~2分に収まるよう、テンプレートを作ったら実際に時間を計り、確認することをお勧めする。

発音や発声、文法や語彙も判定対象になるので、こちらが話す内容がしっかり伝わるよう、口を開けてはっきり発音することと、1文には1メッセージとし、嚙まないようできるだけ言いやすい単語・語句・言い回しを選んだ。

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