見出し画像

診断後の家族の気持ち

子どもが生まれたばかりのころは 無事に生まれてくれただけでうれしいという気持ちでいっぱい。でも育てていくにつれ、普通の子であってほしいとう気持ちが生まれ、発達の指標を見ては「うちの子は遅れているのではないか、いまだに初語がないなんて」。発達には個人差があるはずなのに。そんなことが気になってしまう。

そして最近早まっている新生児聴覚スクリーニングで突然「お子さんは聞こえに問題があるかもしれません」と告げられる。どの親も絶望のどん底に突き落とされたような感覚におちいることだろう。突然「何をどこから手を付けたらいいのか」という焦りの気持ちが芽生えるのも当然で。なんとか定型児の発達にもっていけないか。必死に情報を集め克服できないものかもがき奔走。早期発見になったことで子育てを楽しむ余裕すらなくなった方も多い。

悲しみの中に沈む間もなく次のステージに急かされて上がらなくてはならず。さらなる精密検査や補聴器装用の開始、もしくは人工内耳のための病院通いが始まる。悩みを相談する支援機関も数が十分にあるとはいえず、役所では不慣れな職員が対応、またはどこの支援機関がよいか詳しく聞きたくても公務という公平性を保つため詳細は教えてくれない。支援機関一覧表を渡されて自分で連絡するように言われたなど。あまりにも情報がはいらず今後の見通しが立たない。社会に怒りを感じる方もいるだろう。

医療という点で成人と小児両方を経験して思うのは、あまりにも小児分野は 人も財源も手薄すぎることだ。成人であれば病院でソーシャルワーカーが付き、退院後に必要なサービスを手配してくれるので専門の人に任せておけばよい。こういう制度があるから利用したらよい、家で介助が負担になったら一時的にショートステイが利用できるなど。聞かなくても提示してくれるので本当に助かる。

一方、小児ではすべて親にかかっており。親が情報を集めなければその子の成長はそこまでといっても過言ではない。
親の引っ越しで自治体が変われば制度も違うためまた一から情報収集。包括的に手を差し伸べてくれる他に頼れる存在はいない。なんと心細いことだろう。

本来であれば、支援機関が手を差し伸べるべきなのであるが。
例えば、ろう学校の幼稚部、発達支援センター、耳鼻科、言語聴覚士、保健師などから聞きたいことは山のようにあるだろう。
今後の見通しや、何をどう準備すればよいのか、補聴器の早期装用がよいのか、人工内耳を選択したらよいのか、遺伝子診断を受けたほうがよいのか など。

本当は、「大丈夫です。これはお子さんと家族全員にとって冒険の始まりです。課題はあるかもしれませんがこの冒険をぜひ楽しんでほしい。私達がお手伝いしますので」

といってもらえることで気持ちは少し和らぐかもしれない。
真っ先に親に 子どもさんは難聴があるかも と伝える医師の一言が親のその後の焦りを緩和してくれる一助になるとは思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?