すみません すみません ごめんなさい
ずいぶんと古い話です。ある人と揉めて、私が謝ることになったときの話です。
私は京都の北の端っこ、舞鶴市の出身なので、方言では「すみません」ではなく「すんません」か「すんまへん」が正調です。京都や大阪では「すんまへん」が多いようなので、「すんません」は田舎っぽい言葉なのかもしれません。
この「すんません」「すんまへん」には、大きく分けて3つの用法があります。
挨拶
たとえば、家を訪問した時に玄関先で「こんにちはーー、いらっしゃいますかー」の代わりに「すんません、おってですかー」と言います。また人に声をかけるときにも、「あのー、ちょっと、すんません」と言います。もともと、「声をかけて手を煩わして申し訳ない」という謝罪の意味が背景にはあるのかもしれませんが、私の知る限りではこれは単なる挨拶です。感謝
何かを貰ったり、してもらったときに、「すんません」と言って感謝を表します。これにも、「こんないいものを貰って申し訳ない」というような気持ちがこもっているのかもしれません。謝罪
謝罪の気持ちを表すときにも、「すんません」と言います。しかし、ニュアンス、言い方がとても重要で、軽いと謝罪には受け取られず、かえって怒り出す人もいます。
私の父親は腰の低い人でした。年がら年中「すんません」「すんません」と言ってはペコペコしていました。私の田舎では、この「すんません」が、ときに上記3つの用法に区別がつかない軽い感じで頻繁に使われます。"very" をつけたいときは「えろう、すんません」となります。で、何が言いたいかというと、私の子供時代の経験から言うと、大人が正式に謝るときはもっぱら「すんません」「すんまへん」なのです。「ごめんなさい」というのは、子どもが使う言葉。
ですから、「ごめんなさいって言え」って田中氏に言われると、子ども扱いされたという屈辱を感じたのでしょうね。
「ごめんなさい」には、大きな抵抗感がありました。今はすっかり関東言葉、というか標準語文化圏に馴染んだので、「ごめんなさい」に対する心理的な抵抗感はなくなったのですけれど、こんな感じで言語感覚の違いからくる感情的なすれ違い、今でも、たまに感じることがあるんです。
あなたはどうですか?
私のうっすらとした記憶に頼って書いたことですし、年月も流れてしまったので、今となっては本当にそうか怪しい話ですので、その点最後に申し添えておきます。
すんません。