見出し画像

すみません すみません ごめんなさい

ずいぶんと古い話です。ある人と揉めて、私が謝ることになったときの話です。

梅垣(実名)ほんとに、すんません。
田中(仮名)ちゃんと謝れ。謝るときは「すみません」じゃなく「ごめんなさい」だろ。
梅垣)・・[沈黙]・・
田中)ほら、謝れよ。
梅垣)ご、ごめんなさい。

私は京都の北の端っこ、舞鶴市の出身なので、方言では「すみません」ではなく「すんません」か「すんまへん」が正調です。京都や大阪では「すんまへん」が多いようなので、「すんません」は田舎っぽい言葉なのかもしれません。

この「すんません」「すんまへん」には、大きく分けて3つの用法があります。

  1. 挨拶
    たとえば、家を訪問した時に玄関先で「こんにちはーー、いらっしゃいますかー」の代わりに「すんません、おってですかー」と言います。また人に声をかけるときにも、「あのー、ちょっと、すんません」と言います。もともと、「声をかけて手を煩わして申し訳ない」という謝罪の意味が背景にはあるのかもしれませんが、私の知る限りではこれは単なる挨拶です。

  2. 感謝
    何かを貰ったり、してもらったときに、「すんません」と言って感謝を表します。これにも、「こんないいものを貰って申し訳ない」というような気持ちがこもっているのかもしれません。

  3. 謝罪
    謝罪の気持ちを表すときにも、「すんません」と言います。しかし、ニュアンス、言い方がとても重要で、軽いと謝罪には受け取られず、かえって怒り出す人もいます。

私の父親は腰の低い人でした。年がら年中「すんません」「すんません」と言ってはペコペコしていました。私の田舎では、この「すんません」が、ときに上記3つの用法に区別がつかない軽い感じで頻繁に使われます。"very" をつけたいときは「えろう、すんません」となります。で、何が言いたいかというと、私の子供時代の経験から言うと、大人が正式に謝るときはもっぱら「すんません」「すんまへん」なのです。「ごめんなさい」というのは、子どもが使う言葉。

ですから、「ごめんなさいって言え」って田中氏に言われると、子ども扱いされたという屈辱を感じたのでしょうね。

「ごめんなさい」には、大きな抵抗感がありました。今はすっかり関東言葉、というか標準語文化圏に馴染んだので、「ごめんなさい」に対する心理的な抵抗感はなくなったのですけれど、こんな感じで言語感覚の違いからくる感情的なすれ違い、今でも、たまに感じることがあるんです。

あなたはどうですか?

私のうっすらとした記憶に頼って書いたことですし、年月も流れてしまったので、今となっては本当にそうか怪しい話ですので、その点最後に申し添えておきます。

すんません。

This Photo is licensed under the Creative Commons Attribution 3.0 Unported license.
Attribution: ぱむ
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Maizuru-toshima.jpg


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?