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MVPの開発と初期のユーザ検証-SynQRemoteローンチから2年を振り返って-

SynQ Remote(シンクリモート)をローンチしてから2年が経過しました。
反省点の多い2年でしたが、ローンチ前~現在までどのようなプロセスを辿ってきたかを数回に分けてnoteで公開したいと思います。

今振り返ってみると、これはやってよかった!というポイント、ここはもっと改善すべきだった…他にうまくやれる方法があった…と思うポイントが多々ありますので、これからサービスのローンチをされる方へ、何か役立つことがあれば嬉しいなと思います。

ローンチ前~現在までを区切っていくと、SynQの場合、大きく3つのフェーズに分かれます。

  1. 【ローンチ前】MVP検証から製品版の開発

  2. 【ローンチ直後】初期ユーザーの獲得と初期成功事例の確立

  3. 【ローンチから1年以降】ユーザー数拡大とコアターゲットの模索

今回は、1.【ローンチ前】MVP検証から製品版の開発フェーズについてふれてようと思います。

正式ローンチに至るまでは、おおまかに下記の図のようなステップを踏みました。

正式ローンチまでの大まかな流れ

MVPの開発と検証

SynQRemote(シンクリモート)は、一言でいうと『現場仕事版のZoom』です。
Wifi環境の整った、静かな場所で、お互いの顔や資料を見ながら…の会議スタイルとは異なり、建設業や製造業といった現場は、通信環境も不安定、騒音環境下の中、同じ対象物を見て、指をさしながら会話するといった従来のビデオ会議ツールを用いるには、なかなかハードな環境です。

そんなハードな現場の環境下でも、「まるで隣にいるかのように遠隔から会話ができ、現場に移動しなくてよい」というのがSynQRemote(シンクリモート)のコアバリューです。

MVP開発以前のユーザーインタビューで、

  • 現場仕事の技術者不足、高齢化が業界の大きな課題であること

  • その技術者の方の1日の内、大半を移動時間が占めていること

  • この移動時間が短くすることができれば、技術者不足の課題の一部を解決できること

ということは、すでに検証済みでしたので、MVPの開発&検証では、この課題に対して、わたしたちの想定するSynQRemote(シンクリモート)がソリューションとして適切であるかどうかを検証することが目的でした。

MVPの開発

その名の通り、MVPの開発なので、本当に最低限のコア機能のみを実装しました。SynQRemote(シンクリモート)の場合は、リアルタイムでのビデオ通話ができること、通話映像上に相互にポインタを出すこと、遠隔から現場の写真を撮ること、撮影した写真に絵をかけること、この4つの機能のみの実装です。

MVP時のSynQRemote。最低限の機能のみの実装だった。

本来、MVPはとにかく最低限の開発に留め、既存のサービスをうまく活用したり、裏側は人力で回せばOK!というのがセオリーと思いますが、SynQRemote(シンクリモート)はそのサービスの特性上、なかなか既存のサービスを活用して同じような体験を生み出すなどの代替手段が難しく、結果として、ある程度開発をすることになりました。
WebRTCを使って、その上にリアルタイムで双方向にポインタを出すなど技術的にもなかなかハードルが高く、MVPとして開発工数がかなりかかったと思いますが、「触った場所にポインタが出る」という体験はユーザ様にとって、インパクトの強いものであったので、MVPでここまで作り込んだことはとてもよかったと思います。結果として、その後の検証がよりスムーズに進めることができました。

MVP実装までは、もともとこのアイディアの産みの親であるCEOの下岡が、全体のコンセプトとラフなワイヤーフレームをwhimsicalを使って書き起こし、学生インターン2名(内、1名はそのままクアンドに新卒入社して現テックリードを担っています!)とコミュニケーションを取りながら開発と非常にミニマムな体制で開発しました。

MVPを活用したユーザー検証

共感いただける方も多いのではないかと思いますが、最も苦労した点の1つがユーザー検証にご協力いただける企業様を見つけることです。
特にBtoBのサービスとなると、担当者の方個人だけでなく、会社としての許可を得る必要があったりとご協力いただくまでのハードルが上がります。さらにSynQRemote(シンクリモート)の場合、実際の現場で試していただくには、安全の面から問題ないか等の承認をとる必要があるなど、窓口の方には多大なる協力をいただきました。

当時の検証先を見つける手段として、1番よかったのは、アクセラレーションプログラムやピッチイベントなどです。
クアンドが拠点を置いている福岡では、官民含めて、とてもスタートアップ支援が手厚い都市ですし、福岡以外にも親和性の高そうな会社様が開催、参加されているイベントに積極的に参加し、そこでSynQRemote(シンクリモート)を認知してもらい、そこからのコネクションでユーザー検証にご協力いただきました。

第3期MURCアクセラレータLEAP OVERでは三谷産業様とのMVP検証とβ版検証にご協力いただいた

また、私たちがプロダクト事業をスタートした頃には、オープンイノベーションに取り組まれている企業様も多く、そのための専任の部隊を持たれている会社様と検証は、先方が非常になれていらっしゃるため、ユーザー検証そのものに注力することができました。通常であればユーザー検証開始までに多々必要なステップ(契約関係やセキュリティ系のチェック、安全管理チェックなど)がありますが、このあたり、かなり簡易的に進めることができたと思います。これに関しては、先人のスタートアップ企業の方々と大手のオープンイノベーション事業部門の方々とがつくりあげてくださった道だと、とても感謝しています。

MVPでの検証とβ版での検証の違い

私たちは、MVPを用いたユーザ検証とβ版でのユーザ検証の大きく2つの検証を行いました。
MVPではSynQRemote(シンクリモート)のコアとなる機能のみにフォーカスして、クオリティはさておき、その機能があることそのものが本当にユーザにとって価値があるのかどうかを検証しました。
そこで、改善の必要はもちろんあれど、機能そのものの有効性を確認することができた段階で、β版の開発へと着手し、コア機能のブラッシュアップとともに、製品として提供する上で必要となる機能(認証やユーザ管理機能等)の検証&要件定義を行いました。

MVPでの検証とβ版での検証のイメージ

上記でも書いた通り、SynQRemote(シンクリモート)の提供する価値は、「遠隔でも隣にいるかのような会話を実現することで、技術者が現場移動しなくてよい」というものです。
MVPの検証時はここにのみ焦点を当てて、ポインタを出して遠隔からビデオ通話をしたり、遠隔から現場の写真を撮影することができれば、現場に行かなくても、現場で行っていた指示・確認を代替できそうか?の確認を行いました。
実際の現場では、「この画質では確認ができない」「丸いポインタだと指している場所の詳細が分からない」などといった声が多々出ましたが、あくまでこの検証では、「画質が悪いから確認できない」⇒「画質がよければ現場に行かなくてもよいか」、「丸いポインタだとどこを指しているか分からない」⇒「例えば矢羽根型に先が尖っていれば現場の指差しと同じ指示ができるか?」といった形で、機能の品質によるものではなく、機能そのものが有効かどうかを確認しました。
結果として、施工管理業務において、現場の確認や現場への指示だしは、当初想定したコア機能があれば、ある程度は現場にいかなくても現場にいるときと同様の指示・確認が行えそうだということが確認できました。
複数社で同様の回答が得られたため、コア機能としては問題ないだろうということで、次のステップ、β版の開発へと進みました。

β版の開発

β版の開発は、製品版としてローンチするまでの最後の調整ということで、主にコア機能のブラッシュアップとコア機能を提供する上で必要となる機能の要件定義と実装を行いました。
このタイミングから、デザイナーも入れて、UIをベースに要件定義を行いながら、実装を進めていきました。このときの開発スタイルをアジャイルと呼んでいいとは到底思えないのですが、すべて要件定義されるのを待っているといつまでも開発できないため、必要な要件を洗い出しながらUIへと起こし、UIベースで全員の合意をとりながら、実装できる部分から開発を進める…という形を採用していました。採用していた、といっても当時はどのように進めたらいいのかよく分かっていなかったので、それぞれが出来ることから着手をしていった…という方が正確です。
要件もどこまでいけば揃ったといえるのかも分からない状況で、作成したUIと、ユーザの契約から初回の通話までのフローを照らし合わせながら、この機能が足りていないのでは?といった形で何度も行ったり来たりを繰り返していました。ここに関しては、実際に想定される契約から通話までのフローをスイムレーン図などで整理し、そのスイムレーン図が現実的であるかどうかユーザヒアリングを行った後で、UI作成に進めば、メンバー間の齟齬などは少なく無駄がなかったのでは?と思っています。今後の改善ポイントの1つです。

β版を活用した検証

β版の完成が見えてきたタイミングからは、短期のユーザ検証ではなく、PoCという形で、有償かつ長期の検討を行いました。
最短1ヵ月から、1ヵ月単位でPoCを受注し、長い企業様では4カ月のPoCを実施していただきました。
PoCユーザ様には、現場業務のリモート化が本当に可能であるかどうか、リモート化するにはどういう整備が必要かなどの検証を行っていただきつつ、現場の声をフィードバックしていただき、優先してその声を機能として実装していくという内容のPoCです。

クアンドとしては実際の現場でSynQRemote(シンクリモート)を使ってもらいながら、ユーザの業務や現場の声を知れるという非常に貴重な機会でした。(そしてこのPoC受注がSynQでの初めての売上となりました。)

このPoCをどのように受注したのか、またPoCを具体的にどのようにやったのか、またそこから製品版の開発とローンチまでについては、このnoteが長くなってしまったので、次回のnoteで公開したいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
製品のローンチまで、また初期のユーザの獲得など、具体的にどうやったのか?など、もしご質問ある方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡をいただけると嬉しいです。ご質問は質問箱へお願いいたします!










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