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この数年で、個人やシステムで大言語モデル(ChatGPTなど)が効果的に活用されるステップ予想

実質的にChatGPT使えている人どれだけいるのか問題

ChatGPTが2023年初頭あたりから騒がれ始めて、そろそろ1年が経つが、語られるのは、扱えるトークンの数、使えるバージョン議論(3.5なのか4なのか4.5が出るかなど)、料金の問題や、ハルシネーション問題、トップの移籍問題などの雑学レベルのゴシップが多かった。2000年代初頭のインターネットの再来ということで、「使わないやつはセンスが悪い」などポジショントークにも使われた。なんだったら、出た当初に騒がれすぎて、そろそろ飽きてきてる流れも少々感じる。空虚な熱狂か、過度な絶望か、エンタメ利用、話題へのキャッチアップが席巻しているように感じ、実質的に効果的に使えている人がそんなに多くないような印象も受けている。

実際自分もGUIのChatGPTを使ってはみたものの、自然言語を扱うトピックが少なくしばらくあまり使えずにいた。なんだったら、エンジニア出身のくせに記載現在の2024年2月4日に初めてAPIを実行した。遅すぎるけど、APIで利用するメリットを全く感じてなかったためこんな時期になってしまった。

ただ、「使おうとして触ってみる」と全くどこに活用していいかわからないけど、生活の中で、「あれ、これChatGPTで使ってみたら、今までできなかったことできるじゃん」って思うことが多くて、多分こういうふうに使う側に浸透してくるだろうなと思って、その備忘録として書いてみる。

使われ方はステップ1~4まであると思っており、各ステップについて書いていく。

ステップ1: とりあえず使われる

使われ方

  • 文章要約など、業種関係ない汎用的な決められた用途で使われる

  • それっぽくシステムに組み込まれたり、サイト上で「うちのサイトChatGPTにキャッチアップしてますよ」のアピールに使われる(2023年3月ごろに盛んに行われたやつ)

実際ChatGPTすごいって言われたときに多くの人が取った行動はこれだと思う。なんだったらこれですら結構ちゃんとしている方で、使っていない人の方が多いと思う

ステップ2: 個人の生活のアップデートに使われる

使われ方

  • 特定の技能を持つ人間でしかできなかったことが、その技能を持たずとも同等のアウトプットを出せる

    • 法律に詳しくない人が利用規約を作る

    • ノンプログラマにとってのワークフロー自動化のためのプログラミング

  • 今までやってきた面倒くさいことを肩代わりさせることができる

    • クレーム対応など面倒なメール作成

    • メルマガ作成や記事作成

    • プログラマのコード補完やボイラーテンプレートの生成

  • 周りにいた能力の高い人間や良いサービスの機能を肩代わりさせることができる

    • ある特定の人の考えを代弁(壁打ち相手の作成)・議論

これが今「うまく使っている」と言われる人の使われ方で、ソフトバンクの孫さんの煽りもアイデアの壁打ちという点でここに当てはまる。

これらの特徴は次の通りである

  • 利用する個人の見える世界・視座に使われ方が依存する

  • 自然言語が相性が良い領域でのみ活用される

ステップ3: 既存サービスに自然言語が効果的に利用される(元々自然言語が相性が良くないサービスも)

使われ方

  • インプットの自然言語文章に合わせた情報検索形態

    • 柔軟な自然言語から、既存データベースのテーブルスキーマへの値の変換などを行う

      • 例: 値段がお手頃で→商品テーブルのpriceカラムが1000以下のものを検索

  • アクセスされる情報が、自然言語検索フレンドリーになる

    • 大言語モデル(以下LLM)での解釈後の判断結果カラムで検索される。以下は例

      • 大量の記事の中で、今の若者に受けそうかチェックを大言語モデルに事前に行わせて、そのチェック結果をデータベースに保存し、若者の閲覧時にそのチェックを通ったものを表示

      • 各商品の商品説明がLLMを元に行われ、検索であたかもLLM前のありきたりな検索に見せ、実はLLMで生成された文章に対してレガシーな全文検索を行う

      • 特定の検索が行われた結果は、すでにLLMによって検索され最適化されたキャッシュ

ここらへんからLLMフレンドリーな骨太な使われ方になってくる。元々相性の良いサービスはステップ2の時点でLLMの恩恵を受けられているが、そうでないサービスであってもこれらの使い方がされたときから、LLMなしにサービス運用ができない頭になっていく。

なんちゃってな使ってますよアピールとは対極に位置する。これをちゃんと運用してしまったとき、クラウドサービスのマシン数とひけを取らない料金を使わざるを得なくなるだろうし、競合と負けじとLLM使ってますアピールし合う次元のバトルからは1つ頭飛び抜ける気がする

ステップ4: 特定の業務領域における顧客教育として機能する

使われ方

  • ある分野のの問題解決サイトやシステムにおいて、特定の問題に直面した顧客に問題背景を語らせ、それに対してのフィードバックを与え、是正提案を与え、顧客とのインタラクティブな対応の中で顧客の能力向上を図る

    • 例: マッチングアプリで、最初は適当なプロフィールを書いていたけど、期待していた異性と出会えないということを愚痴ると、「今のプロフィールだと出会える相手はこのタイプの異性だ。会いたい異性はどんなタイプだ?その理想は今のお前には無理だ。でもこういう異性なら出会えるし、出会うならこういうふうにプロフィールを変えてみないか?変えてみてまた思ったことを言ってくれ」と是正提案をしてくれる

    • 前提

      • エキスパートであれば、「この領域で成功パターンは3つしかない」などあたりはついており、その成功パターン論についてよくまとめられた形で何番煎じかわからないくらい情報発信はされてきたが、失敗パターンは千差万別であり、各個人は自身がどのルートに進みたく、何で失敗しているかわからなかった

      • エキスパートがメンターについたら、その成功パターンへのフィードバックを与えることができたが、潜在顧客に対して無限のパターンに対してエキスパートが対応するリソースも気概もなく能力格差が生まれていた

      • その状況に対して、コンピュータリソースでエキスパートを代替できる様になった今、千差万別の失敗パターンに対して根気強く教育をする立場として機能する

ここからは、LLMでしか解決が難しい領域へのアクセスと言えると思う。ステップ3まではまだLLM以前の頭の使い方でLLMを最大限活かそうという使い方だが、ステップ4はLLMが当たり前になった世界でのLLMの使い方だと思われる。

ステップ4が特殊な点は「顧客へのアクションが、運営者がコントローラブルでない方法で行われる」という点であり、次のような特徴がある

  • 大方針は合意されたロジックであっても、個々のレスポンスは顧客に相対するシステムが個別に行う

    • ディープラーニングで各レイヤの重みが全くわからないけど、結果だけ良いというのと似ている

  • 各アクションはログには残されるが、何と問われて、どんなフィードバックやアドバイスが返されたか、その結果どういうアウトプットや変化が行われたという結果しか残らない

    • 今のように、決まり切った値が記録されるということでないから、集計や集計結果を元にした判断、フィードバックがすごく行いにくい

また、実はステップ3あたりからそうだが、多様なインプットを受け取りながらも、アウトプットは想像がつくものという、現在のプログラムと同じような使われ方になり、何でもできそうという幻想から、特定領域をうまくやるシステムの組み合わせという現実にすり替わっている

これらが当たり前になる将来

多分インターネットが2000年初頭、それより少し前からポテンシャルが開花して2010年代後半で成熟してきたように、ここ5年くらいで上記のような使われ方、というかさらにレベルの高い使われ方は一部で当たり前となり、10~20年で意識の低い層を除き広まると思われる。

ステップ4が実現された世界では、今もてはやされている自動化技術などはコモディティ化していて、アウトプット能力という点では、今優秀とされている人が出せているものを出せる人は増えていると思う。しかし、LLMネイティブな世界では今とは違う優秀さが必要とされる気がする。、多分今よりも上手い人でないと回せない世界になるような気もする。

例えば、ステップ4の特徴で挙げたようにインプットとアウトプットが無限のバリエーションになったり、機械学習のように中がランダム値の組み合わせでのブラックボックスになる世界というのは、ソードアート・オンライン・アリシゼーションのようなシミュレーションの世界に近く、その中で起こっている多量のことから重要な情報を仮説として立てるクリティカル・シンキングとかが上手い人でないと扱えない事象が多くなってくるように感じる。

今の高齢者にとってエクセルさえ難しく、スマホ使えない人もいるように、自分が20年後違うレイヤで同じように置いてかれる世界は上記を考えるだけで容易に想像できる。そんな世界に戦々恐々としながらもとりあえず今ある技術くらいはうまく使えるようになりたい



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