秘密基地での出逢い
あまりにも大切な瞬間を前に、私はただ立ち尽くした。
抱え切れないほどの感謝の気持ちが溢れ出し、何かを掴み損ねた気がして少し落ち込んだ。
あまりにも大きすぎるものに出会うと、私は、脳と心に刻み込みたい気持ちとは裏腹に、脳も心も一瞬フリーズ気味になり、
ありがとうございます、ありがとうございます…
と言いながら、ただふわふわとその場で漂ってしまう。
それでも心はほこほこ、じんわりとしていた。
そして、それは今も私の心を温め続ける大切な記憶となっている。
記憶を辿ると、取りこぼすまいと力んでいた自分の姿と共に、あの温かな空間が蘇ってくる。
なんて幸せなんだろう…
実家から歩いて15分ほどのところに、コーヒー屋さんがある。
ここは私の心の拠り所であり、秘密基地的な感覚のある場所だ。
いつも、本質をしっかりと見極め、奥深い時間を与えてくれるマスターがいる。
マスターと話していると、私は粘土の器を少しずつ大きくしてもらっているような感覚になる。
人間としての器を広げてもらっているのだ。
先日、今年初めてその秘密基地に伺った。
扉を開けると、店内は賑わっていた。
少し肩を落とす。マスターとあまり話せないかもしれない。
私は午後からカフェインを摂取すると、夜眠れなくなってしまうので、アップルジンジャーティーを注文し、一席だけ空いていた椅子に座った。
奥の席にカップルらしきお客さん。
初めまして〜…
先ほど一瞬肩を落とした私だか、この場所で出会う人は信頼できる、とも直感していた。
そして、私は最終的にこのお二人とマスターに心をほっかほかに温めてもらい、涙まで流してしまった。
「この場所にくれば会えるから〜☺︎」
「ここの不思議なところはね、私だけかもしれないけど、会いたいなって思うと会えるところなの」
笑顔でそんな言葉をいただいた。
絶対またお会いしたいです…!
言葉でも心でも言った。
あまりにも大切なことは、心にしまっておきたくなるのと、どこか恍惚としてしまっていたため、話した内容などは割愛させていただく。
昨年まで、内にこもり自分とただただ向き合うことしかできなかった。
今年は一歩踏み出したい…!と目標を掲げた。そんな中での出逢い。
あまりにも尊くて眩しすぎる出逢い。
心からありがとうございます。
今年は晴れやかに、軽やかに、
自分の中の『すき』を増やしたいな。
そして、やっぱりたくさんの人と関わって心を通わせたい…!と再確認したのでした。
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