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泡かぼちゃ|第3話

勇次郎は、微妙に色の違うタイルを踏みながらビルに戻ってゆく。どこからともなく、仕事のカオリがする。

東海道の起点となる、この場ではパン屋やコーヒーショップが多くあるのにも関わらず、ゆるやかなビジネスの空気がまるで街という人格にネクタイを結ばせるように存在している。

「シンプルイズベスト」という言葉があるが、地下的な価値観はひとまず置いといて、きりっとした柔らかさが妙に勇次郎は心地よく感じている。

そんなことを考えながら、考えずに、本来早歩きを好む勇次郎は街の空気に合わせて、革靴の音を鳴らす。

ツナサンドは潰れてくれない方が嬉しい。

アイスコーヒーはこぼれない方が嬉しい。

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