泡かぼちゃ

優先順位をつけて、選択してきたはずの人生。終わりにかけてさらに出てくる、気付いてくる綻びの数々。光陰矢の如し、すなはち、言い訳いう暇もなし。燦々と降り続けるサンシャインが、スーツの汚れをてかてかと目立たせている。勇次郎は、「調子はどー?」と聞かれないように吊り目をそのままにして会釈だけをして、入社ゲートにカードをタップした。


これだから、ハイテクもどきが。

と、勇次郎はいつも通り舌打ちを静かに響かせない。13階から始まるオフィスフロアの一角に位置する、会社に勤める彼はコンビニに行くためだけに耳鳴りを防ぐ行為をしなきゃいけないのが煩わしくてたまらなく思っている。自動販売機にはカップラーメンは置いてない。それなのに、自然派なスナック菓子はこれみよがしに各区画ごとに置いてある。さぁ、一体誰のためにこんなものを置いているのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?