泡かぼちゃ|第4話

年中クールビズな企業で働いているから、結ぶネクタイがなくて、なんか本当に社会人なのだろうかと思ってしまう。が、そんなときはメールを敬語を使って定型文を書いたり、スプレッドシートで業務管理をしたりすることで自分を落ち着かせる。

大丈夫、俺は社会人だ。

社会人、という言葉の並びに違和感を覚えない訳じゃないけど。社会に出ている人って、誰もがそうじゃないか。どんな幼児でも、彼らなりの社会のなかで生きている。これって、資本主義的な雇用される形で経済活動をすることが前提となった価値観なんじゃないかと。大学でちらりと教授の口から聞いた、行き過ぎた資本主義の話を少し思い出す。その教授は、フランス式のレンガで造られたアパートを上原で借りているとか言っていた。

たぶん、メゾンなんちゃら。

だと勝手に勇次郎は思っている。

で、多分、公園が少しだけ近くにあって、その教授は缶チューハイを誰かと飲む。

誰かがなぜか分かるようでわからない。俺かもしれないし、奥さんかもしれないし。火星から来たエイリアンかもしれないし。

かもしれないし。

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