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劉邦の本を読んでいると悲しくなる

宮城谷昌光さん作の「劉邦」はぐうたらな劉邦が次々と優秀な仲間を加えていくサクセスストーリーである。

古くからの知り合いの樊噲、蕭何、曹参、盧綰、後々加わる韓信や張良と豪華なメンツが揃っていき、秦討伐から始まって、項羽が率いる楚と対峙していくのであった。

今私は秦討伐まで読み進めているため、一番楽しい時期かもしれない。
韓信は加わっていないものの、張良の軍才、樊噲の豪傑さ、蕭何の手際の良さといったチームワークが光るものがあり、新進気鋭のベンチャー企業のような盛り上がりがある。

この時は項羽は味方であるが、項羽は寡黙な人であり、戦場では敵を倒し尽くす苛烈さを見せるキャラであり、劉邦を認めながらも次代の先駆者として立ち振る舞っている姿は的ながらかっこいい。

このように楽しく読んでいるが、やはり結末を知っているだけに悲しくなる。

項羽はこの後、劉邦との死闘の上、儚く散ることになるが、劉邦の配下達も思いがけない最後を迎えることになるものが多い。

皇帝になってから猜疑心の塊となった劉邦は、韓信を筆頭に英布や彭越といった勇猛果敢な王が粛清していくだけではなく、親友の樊噲や盧綰までも謀反人扱いしてしまう。
蕭何も一時的に投獄される等、苦労させられている。
今のチームワークの良さを見ていると、この光景はなんとも儚く感じてしまう。

王朝は隆盛を誇ったかもしれないが、もしかすると、彼らとの信頼関係やチームワークといった隆盛は敵がいた今なのかもしれない。
悲しくも共通の敵がいることでつながり合うことは多々ある。

今草葉で眠っている彼らで、共に戦って日を肴に酒で飲んでいてほしいと切に思う。

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