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無宗教の墓じまい

合法的に実家の墓じまいをした。
細かくいうと、今は、墓を更地にして、遺骨を散骨業者に手渡した段階。このあと業者の方で、骨を乾燥させて、粉々に砕いてから、東京湾に散骨する。砕かないと、事件になっちゃうしね。実際に撒かれるのは、6月末〜7月頭の予定とのこと。この季節は海が荒れることが多いので、予定がずれることがしばしばあるらしい。

数年前、父が他界して、相続した墓である。
都内某寺の墓所にある。生前、父が「墓を持つのが生涯の目標だった。自分の金で買う。いっさい迷惑はかけない」といって手に入れた墓だ。小さな墓だけれど、それでも軽自動車の新車をゆうに1台(追記6/7:あらためて調べたら、2台弱くらいだった)買えるくらいの金額はした覚えがある。

永代供養というから、放っておいたのだけど、どうもそういうものではないらしい。字面の響きから、一度払ったら、それっきりかと思っていたら、毎月使用料がかかるのね。サブスクだったのか。いっさい迷惑をかけない??
いずれにせよ、それを契約解除して、骨を引きとって墓を更地にする行為が墓じまい。そのあとは他の墓に入れるなり、自宅に保管するなり、散骨するなりする。ゴミとして処分したり、自分の家だろうと勝手に埋めたりするのは法に反するので要注意。

ちなみにこの墓じまい、それなりにお高い。
使用料に換算すると、だいたいサブスク20年分くらいの料金を言われた。うまい値づけというか、なんというか。手続きの手間ヒマを考えると、毎月チマチマ払ってしまった方が、楽なんじゃないか、と思わせる金額だ。
とはいえ、故人のことを思い出すにしても、墓という装置の必要性を感じたことはないし、自主的に墓参りをしたこともない。そしてなにより、子供たちに墓を残したくない。そう思って手続きを進める。
そう考えると、これは「はじめての終活」でもある。

更地にするには、墓石を動かすため重機を使う。その業者は、寺側の指定。相見積もりは、勘弁してください、とのこと。逆にいくつかの業者にも聞いてみたけれど、お寺のOKがないと見積もりは出せないというので、相見積もりはあきらめた。
お金を払うと、いつ工事、という連絡もないまま、ほんの数日で、さくっと更地の写真が送られてきた。立ち合いも不要で、ちょっと拍子抜け。どうやら更地にする際、オプションで宗教的な行事をすることも可能らしいのだけど、そのへんは無宗教なのでいっさいパスしたということもあるかもしれない。

骨の引き取りは、改葬許可証のコピーを用意すると、散骨業者が行ってくれた。寺とのやりとりはなし。
ウチの場合、4体、墓に入っていて、うち1体はすでに土だった。もちろん骨壷の中で、骨が土になったということではない。墓というのは、収められる骨壷の数に空間的な限界がある。だから骨壷がいっぱいになると、墓の中の土が露出している部分に骨を撒く。その過程を経た骨を「土」と呼ぶそう。ましてこの1体の場合、そもそも別の墓に入っていたものをこちらの墓に移設したという経緯があるらしく、中身は文字通り「土」とのことである。寺に聞いてみところ、土であれば、寺の方で引き取ってくれるとのこと。
ちなみにこの1体、心当たりがなかったので、確認したところ、祖父だった。太平洋戦争の終戦前に亡くなっているようで、顔はもちろん、エピソードも名前も知らない。はじめまして。

そんなこともあり、散骨業者に払った金額は3体分で、およそ8万円弱。一緒に船で散骨に立ち会って、セレモニーをするプランもあったけれど、今回はいちばんリーズナブルな、まるっとおまかせコースにした。
なお、焼いたまま墓に入れてない骨は、基本的に乾燥代がかからないそう。身近な人を散骨しよう、と思っている人は、覚えておくといいです。あ、そうそう。「死体火葬許可証」はなくすと面倒なので気をつけて保管しておいて。

ちなみに撒いた地点は、GPSで場所とって、GoogleMapのリンクでくれるそう。この辺は、21世紀だね。

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うめ

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シナリオ担当・小沢高広、作画担当・妹尾朝子からなる二人組漫画家。代表作は『東京トイボックス』シリーズ、『STEVES』など。現在、eスポーツを題材とした『東京トイボクシーズ』『ニブンノイクジ』などを連載中。公式ページ www.chabudai.com