【基礎・応用】【F分野】不動産の評価

 自用地価額、貸宅地、貸家建付地、貸家建付借地権、無償返還の届出書、使用貸借・・このあたりの評価額の求め方が苦手の方向けです。
 詳しい仕組みなどはYutubeFP講師様の動画をオススメします。

どんなパターンがあるかというと・・・・
仮に借地権60%、借家権30%、賃貸割合100%とした場合
①居住用・・自用地価額
②貸宅地・・自用地価額×(1-60%)
③貸家建付地・・自用地価額×(1-60%×30%×100%)
④貸家建付借地権・・自用地価額×60%×(1-30%×100%)
⑤無償返還+法人賃貸・・自用地価額×80%
⑥無償返還+法人使用貸借・・自用地価額
⑦青空駐車場・・・自用地価額
⑧使用貸借アパート等・・・自用地価額

こんなの覚えられないし、ややこしい!!

 この手の問題が出たら、こんな感じで図を描きましょう。

土地の価値は3人で分ける

  この四角形は土地です。土地の価値はこの3人で分けます。

 問題文で、借地権60%、借家権30%、賃貸割合100%だとすると

 この図が描けたたら、どんなパターンにでも対応できます。

※借地権や借家権の知識については、ここでは省略します。

「住んでいる人(借家人)」、「家の所有者(借地人)」、「土地の所有者(底地)」が誰かを記入し、求めたいところを塗りつぶしましょう。

①貸宅地パターン

 自用地価額6,000万円。Aさんは借地権を設定しBさんに貸借し、Bさんは家を建てて居住している。借地権60%としたときの相続税評価額は

 土地の所有者はAさん、家の所有者(借地権者)と住んでいる人はBさんです。つまり、Aさんの持ち分は、6,000万×40%=2,400万円です。

②貸家建付地パターン

 自用地価額6,000万円。ここに賃貸物件を建築し、貸付事業を始めた。借地権60%、借家権30%、賃貸割合100%としたときの相続税評価額は。(FP1級 学科応用編 2019年9月 第5問)

貸家建付地

  まず、土地の所有者はAさん。下半分は「A」さんです。
 次に、アパートの所有者はAさん、つまり借地権もAさんです。
 最後に、住んでいる第三者は白い部分になります。さて、Aさんの相続税評価額は? 全体から、白い部分を引いたところになりますね。
白い部分=全体×60%×30%=18%。つまり残りの黄色部分は82%になり、6,000万円×82%=4,920万円になります。
 6,000万円の土地ですが、実際は4,920万円の価値として見られることになります。

③貸家建付借地権パターン

FP1級 学科基礎編 2019年9月 47問

 色々ややこしく書いてますが、ようするに父の持ち分(黄色の部分)はいくらですか?という問題です。
 黄色部分は5,000万円×60%×70%=2,100万となります。瞬殺ですね。
 四角形の下段部分の「地主➡A」については、「地位の変更~届出書」を税務署に出しておかないと、借地権の認定課税が発生してしまいます。それを防ぐためのものです。
 2014年1月、2018年1月にも出題されています。

④使用貸借のパターン

FP1級 学科基礎編 2019年9月 47問

 無料で貸しているパターン(使用貸借)です。
 「固定資産程度の地代」は、無料で借りている扱いになります。
 この場合、本来発生する借地権は発生せず0%になります。無料ですしね。

使用貸借(無料)

 父の持ち分は、黄色のところになります。借地権が0%なので、父は100%になります。すなわち、3,000万円×100%=3,000万円(自用地価額)になります。

⑤個人←→法人間のパターン

 試験では、ほとんど「土地の無償返還に関する届出書」が提出されているパターンです。
 これは、大雑把に言うと「将来無償で返すから、借地権を設定しません。」というものです。社長が自分の土地を、相当の地代を貰わずに自分の会社に貸すとき、これを出さなかったら借地権の認定課税が行われます。

FP1級 学科基礎編 2019年9月 47問

 注意点は2点。
①一方が法人で、「土地の無償返還に関する届出書」が出されている
②地代や権利金を「無料」か「有料」かで評価が変わる

「土地の無償返還に関する届出書」が出されていると、借地権は0%になります。
 そして、有料だと特殊ルールで80%に減額されます。
 法人の無償返還パターンを見たら、有料と無料どちらの無償返還なのかを判断しましょう。

[有料のパターン]

②有償で貸している(無償返還+地代や権利金等)

 地代または権利金をもらっているパターンです。この場合は、無償で返還してもらう約束をしているとはいえ、土地が使えないので20%引きにしてもらえます。つまり、自用地価格×80%になります。
 あくまで借りている人の借地権は0%です。

[無料のパターン]

無償返還+無料

 地代も権利金も貰っていない完全無料の場合は、個人の使用貸借と同様に図のようになります。つまり自用地価格です。
 ちなみに、「固定資産税程度の支払い」というひっかけが良く出ますが、これは支払ったうちに入らず、無料扱いになります。

設問の場合は、「通常の地代」を払っているので有料。つまり、4,000万×80%=3,200万円になります。

⑥青空駐車場のパターン

 建物が無いので、比較的容易に更地にできます。建物もないし(借地権無し)、だれも住んでいないので(借家権無し)、全部土地の持ち主のものです。つまり自用地価額になります。

 以上です。色々なパターンが出題されますが、この四角形を描けばどんなものでも大丈夫です。
 小規模宅地の特例と混同しないようにしましょう!

 ※この記事は、FP試験問題を解くための考え方を記載しています。用語の意味や表現方法が、実際の法律等と異なっている点もあります。ご了承願いします。


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