2024年上半期自選5首

 初めてnoteに自選5首を挙げます。

〈中4個〉とレシピにあって中4個と思うくらいの玉葱を買う (うたの日『葱』首席)

逃げるのを一日待ってくれている二月は四年に一度やさしい (うたの日『閏日』首席)

壁のカレンダー反対に巻き直しても春の辺りがカールしている (うたの日『巻』次席)

待ってないようであなたを待っているたまに靴紐結び直して (読売歌壇 俵万智選三席)

泣き声がロビーに響く嗚呼これは私を父にするファンファーレ (NHK全国短歌大会大賞)

 「〈中4個〉」の歌はいわゆるただごと歌のつもりで詠みました。こういう歌を選んでもらえると現代ただごと歌を詠み続けたいと思っている人間にとっては励みになります。
 「逃げるのを」の歌は閏年というよりは閏日、つまり2月29日に焦点を当てようとして作った歌です。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と言われるほど早く月日が過ぎていくという言葉からの着想です。
 「壁のカレンダー」の歌は壁掛けのほうをイメージしてもらうため5音の「カレンダー」ではなく「壁の」をあえてつけて初句8音になりました。
 「待っていない」の歌は久しぶりの読売歌壇掲載でテンション爆上がりしました。「これは俵万智さんのところだろう」と出来たときに結構自身ありありで投稿しました。こういうさりげない気配りのできる人間でいたいです。
 「泣き声が」の歌は人生の自選5首にも選ぶべき歌になりました。
 下半期にこの歌たちを超えられる歌ができるのか不安はありますが、丁寧に詠んでいきたいとおもいます。


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