使者 半自動記述の実験

王権神授の繭に籠れる天使のうたごえは清くわたしの虚を貫き通す。その星辰の藍の美しさに城壁は溶け、暫くの後に中から国王軍の骸が吐き出され、また溶ける。そして星蝕の闇へ。手に孔を持つ彼は傍観者ではなく、扇動者としての役割を求め天使の手を取り溶け切った硝子の天蓋を砕き、死者を弔う虚偽の御言葉として書を綴り、そこにわたしは記述されていない。不在の闇から神の子への挽歌を奏でる為にわたしは此処に来た。神殿から、海底から、天空から、地下から、地獄の底から黒き翼を纏い鴉のうつろう身を借りて。それから?暗雲立ち込める虚無と雷天の庭に臥した神の恩名を呼び、青色の心音の兆す針を弔いに擲ち、兆す美しい彼女の姿が。最後に鏡は割れ、使者であるわたしはその奥へ燃焼する。

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