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ヘブバンきっかけでAngel Beats!を観たオタクとコラボの感想
私が熱中しているソシャゲ、ヘブンバーンズレッドが先日2月10日をもってリリース1周年を迎えた。めでたいことだ。そして2月5日に放送された1周年記念特番により、とある作品とのコラボが発表された。
それはヘブバンのメインシナリオを担当する麻枝准氏、そしてkeyによるオリジナルアニメ、Angel Beats!とのコラボである。
ヘブバン1周年で様々な企画が発表されたがまさかのコラボ、それもまさかの同じ原作者による作品である。嬉しい、だが困ったことになった。
白状しよう。私はAngel Beats!を観たことがない。
私の本作品の知識といえば
泣ける
「天使ちゃんマジ天使」という単語
主題歌や劇中の挿入歌(高校生の頃カラオケでしょっちゅう友人が歌っていたことがある。連絡を久しく取っていないがカラオケでこれらの曲を歌っていたSくんやIくんは元気にしているだろうか…)
くらいである。
何で観てなかったの…と問われればその時ちょうど平成ライダーを見直すターンに入っていて、ガンダムにもちょうど触れ始めていて、なので、つまり、そういう硬派なアニメ(今にして思えばガンダムも硬派かどうか非常に疑わしいのだが、)を好き好んでいた時期だったのだ。
しかしヘブバンをプレイを始めた時からいつかは触れざるを得ない時が来るかもしれないという予感はしていた。
しかも原作者の麻枝准氏によるとクロスオーバーは得意ではなく、一度は断ったがWright flyers studioの熱意に負け、コラボストーリーを考えることを決意したとのこと。それだけの気合が入ったものであるならばこちらもそれなりのものを持って迎えねば、無作法というもの。
あるじゃないか。Dアニメストアに。見てやろうじゃないの
このピアノのイントロ!懐かしい…高校生の頃のカラオケボックスが蘇る…すっげぇ綺麗なボーカルだ…
!?
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このノリは!
武器!?銃!?
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バンド!?
これ、ヘブバンだ!?
(あっ、このEDと次回予告の形式、何かのMAD動画で見た記憶がある)
同じ創造神、麻枝准氏による作品なだけある。リリース順やファン層から言っても、本来なら逆であるはずなのだが「これ!ヘブバンで観た!!!」という逆アハ体験を本作視聴中に幾度となく体験した。そもそも箱庭のような舞台に"特定の条件を持った大人数"による群像劇の時点であまりにもAngel Beats!とヘブバンは酷似していた。
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主人公、音無は目が覚めると箱庭のような広大な学園にいた。そこは死後の世界であり、そこでは『死んだ世界戦線』と呼ばれる神に抗おうとする少年と少女たちがいた。彼女に襲いかかろうとする天使と呼ばれる美少女。戦線のメンバーは一癖も二癖もある濃いキャラクター達。(余談ですが私はTKが気に入りました)
彼(彼女)達は生前何かしらの未練を残しその生命を落としたということが明かされる。こんな理不尽な運命を仕組んだ神にあらがうため、彼女たちは武器を取り戦う。
だが後半で本来、この死後の世界の仕組みは彼女達が自身の生を受け入れることで次なる生に向かうという輪廻転生の前段階のステージであることが明かされる。
だがその深刻な世界とは思えぬほど繰り広げられる青春の1ページ!天井ギャグ!野球!ライブ!謳歌される青春!
自分は移動中の電車でアニメをダウンロードして見ることが多いのだが、正直テスト回で天井していくギャグと、ギルドで次々と刺されながら天使を妨害していく流れはマスクをしていなかったら変質者扱いされていたと思う。
劇中のバンド、ガルデモこと『Girls Dead Monster』のライブシーン声優とバンドのボーカルが違うところなどヘブバンをフラッシュバックしない方が無理だという話で。そうかクラスメイトのS君はこの歌を歌っていたのか……。分かるよ、歌いたくなるよこれは。
何より感動を誘う演出。
歌えることの素晴らしさを感じ劇中真っ先に"卒業"していく岩沢。
自分の存在を認めて欲しかったと涙を流す直井。
イルミネーションの中難病の妹をおんぶし歩く主人公音無。
生前病気で寝たきりになっており結婚にあこがれを持つユイ対して「結婚してやんよ!」と宣言する日向。
全編を通して”生きる”ということを肯定していく物語。
多感な高校生の時に浴びてたら狂っちゃうんじゃないか?
なるほどたしかに多くの人たちの心に響いたアニメなわけだ…と実感すると同時に、この濃いキャラ達を活かし切るには1クールではあまりにも尺が足らない、もっと彼女たちのにぎやかな日常を見たいとも感じた。
さてそんな状況で興奮も冷めやらぬ中プレイを始めたAngel Beats!コラボイベントストーリー、『コスモスが咲き続けた場所』をプレイすることにした
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以下は本イベントストーリーのネタバレ、およびヘブンバーンズレッド本編最新章(の内容を察してしてしまうかもしれない)のネタバレが含まれます
私の中の入江が「なんで私!?」だの「ほんとに私で大丈夫なんですか!?」だのわーわー言うとりますが、ぜひこのたびこのコラボをきっかけに彼女の物語を知ってあげてください…!🙏🙏🙏
— 阿澄佳奈 (@0812asumikana) February 5, 2023
また会えてほんとにうれしい😭
ヘブバン一周年おめでとうございます!🎉#ヘブバン #ヘブバンAngelBeatsコラボ https://t.co/EGLMwLO3jp
えっ、入江が主人公なの!?!?!?
本イベントストーリーを読み終わった時の偽らざる感想である。
本コラボイベントにはAngel Beats!の二大ヒロインであるゆりっぺこと仲村ゆり、天使こと立華かなで、そして入江みゆきというGirls Dead Monsterのドラム担当が参加しているのだが、本イベントストーリーの主役はその入江みゆきであった。
しかし入江はアニメではお世辞にもメインキャラクターとは言い難く、正直印象深い台詞もあるとは言えなかった。そんな彼女がなぜ本イベントストーリーの主役となったのか。
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目が覚めると月歌は謎の炭鉱のような、どう見てもギルドなとこで目が覚め、ゆりっぺと遭遇する。
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彼女はここが死後の世界だというが、キャンサーにまで遭遇するのでどうやら死後の世界では無いと月歌は思っている。続いて天使、ユッキー、入江、31Aメンバーと合流する
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まさかの初手の戦闘BGMに『Crow song』が流れる!告知はされていたけど、本当に流れるのか!!戦闘始めずに聞いてしまった……。
もしリアルタイムでアニメ観ていた人は本イベスト開始数分で崩れ落ちてしまったのでは無いか?
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ギルド内を進んでいく31Aとゆりっぺ達。天使としての役割が無くなり、どこか抜けた調子のかなで、可愛い。
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ギルド内には罠が張り巡らされていると語るゆりっぺ。
待ち受けていたのはまさかのAB!でもあった野球!!Keyと言われると野球シーンがあるというイメージがあるがAB!由来なのだろうか?
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ギルドの階層奥ごとに配置された罠、それは大喜利だった。
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本家による次回予告パロディ!?!?
イッヌ!!!
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最後に待ち構えていたギルドの大喜利では、
同じ創造神じゃなきゃ到底許されないであろう自虐ネタ、もはやラップバトルがごときdisり合い。
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いや確かに最後の敵はよく分からなかったけど!!2nd Beatって何?
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ギルドを進んで行くなかで、ゆりっぺは記憶を取り戻したのか、AB!終盤のように、天使のことをかなでちゃん呼びし、自分達がここにいるのは、卒業した後にまだ心残りがあり月歌達はこちらの世界に巻き込まれるような形で飛ばされてきたのではないかと語る。
恐らくそれは入江も同じで、入江は自身が死んだ原因をゆりっぺとかなでに語りだす。
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生前通っていたエスカレーター式の高校で入江は、生徒会長を半ば押し付けられるような形で務めていた。
学祭が近い季節、学校ではサトコちゃんというコックリさんのような心霊現象の噂が広まっており、生徒会が調査を行う中で怪奇現象に出くわすようになる。追い詰められ何もかもに恐怖心を覚えるようになる。電車のホームで肩を叩かれた入江はパニックに陥り線路に飛び込み事故死してしまった。それが彼女の死因だった。
だが、それは学祭の企画の一環としての気の弱い生徒会長入江へのドッキリだったのではないか?というゆりっぺの指摘を受け、もしそうならまた自分のせいで友達に迷惑をかけたと入江は苦しむ
音無は満足して死ねたが記憶喪失という形で死後の世界へ行ったように、入江は青春を謳歌して死後の世界から卒業していったが、転生する前に生徒会メンバー達への心残りがあったのだろう。
ゆりっぺは自身が理不尽に死んだことを神に恨み続けたが、入江は自分が死んだことそのものではなく、自分が死んでしまったことで周囲の人々が負い目に感じていたであろうことを悔やんでいたのだ。入江…聖人なのか…?
ゆりっぺやかなではAB!終盤で卒業する前に「もっと一緒に遊びたかった」と語っていたので、死後の世界から3人の消えた後の思念が迷い道の中でヘブバンの世界と混濁したのだろうか。(そもそもヘブバンのキャラクターの設定を考慮すると……)
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翌日、炭鉱から"脱出"してセラフ部隊の施設にいる際に初期の立ち位置にAB!メンバーが並ぶ。31AB!ですとななみんに語る月歌。いくらヘブバンのキャラクターデザインのゆーげんさんによるキャラデザし直した、ということを差し引いてもあまりにも馴染み過ぎている。
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月歌たちは、待機を命じられる中ゆりっぺたちはセラフ基地のフレーバー通りでひと時の平穏を満喫することになる。
服屋を見て周りサウナ施設に入り、ゲーセンで遊び、喫茶店でタピオカミルクティーを味わう。
数日前に初見で見ただけでもわかる小ネタの大盤振る舞いに溺れそうになりながら、最終回のゆりっぺがかなでに告げた「もっと仲良くなれたのに…」という言葉をふいに思い出してしまうと、こんな世界もあったのかもしれないと思いをはせずにはいられない。
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翌日31AB!は任務のためキャンサー討伐に出撃する。キャンサーに囲まれた31AB!は危機を脱出するため天使はガードスキルを発動し、ゆりっぺはかつて死んだ世界戦線で闘ったように死を恐れず突撃していくようになる。ガードスキルってこっちでも使えるの!?
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危機を脱出した31AB!はコスモスが群生する花畑を発見する。その中で入江は自身の過去、それも自身が死んでから死後の世界に入るまでに見た過去を思い出す。
本ストーリーの核がゆりっぺとかなで、ではなく、入江に移行していく瞬間である。ギャルゲだったら入江ルート確定といった趣である。
任務に帰投した月歌たちはライブを行う。なんと『Crow Song』のShe is Legendカバーが披露される!岩沢が歌い、ユイへ受け継がれ、そしてこの楽曲は世界を飛び越えて月歌に継承された。
飛び散る食券!1話のオペレーション・トルネード!聞いているかS君…俺は10数年ぶりにこの楽曲に再び衝撃を受けたぞ!
Find a wayここから Found out 見つける
Rockを奏でろ 遠くを見据えろ
(しかしGirls Dead monsterという名前とこの歌詞、4章までのヘブバンに不自然なほど踏まえてるとしか思えないのだが…)
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このライブの後、入江は自身の、死んでから死後の世界に入るまでに見た過去を語り始める。
この入江の過去こそがおそらく本イベントストーリーの本懐であると思う。
だがその過去については事細かに書く気はない。長い、そして重いので、書き出すとただの事実の羅列になってしまうというのもある。
入江自身がおぼろげな記憶でしかないと語り、ゆりっぺが言うように感想を語るのも無粋と言う通り正直それが真実かどうかはどうでもよいのだろう。ただ一言で言うならば、
あ、ありのままに起こったことを話すぜ!俺はヘブバンのイベントストーリーを読んでいたはずなんだが、いつの間にかAngel Beats!のストーリーを読んでいた!
イベストを読み終わった後日調べたのだが、Angel Beats! はアニメ放送後に全キャラ19人のストーリーを補完を目的としたPCゲームが全6部作でリリースされることが決定したが1作目である1st beatが2015年にリリースされた後、音沙汰がなくなってしまったのだと知った。1st Beatでは3人のストーリーが描かれたがその後音沙汰が無くなってしまったので16人の物語は日の目を見れていない。
ああ、2nd beatってそういうことか……
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麻枝准氏は、ゲームの入江のストーリーは出来ていると過去に何かしらの媒体のコメントで語ったことがあるらしいのだが、それをベースにヘブバンコラボとして本ストーリーを製作したのだとしても、あまりにもAngel Beats!だった、と一度初見しただけの自分でも分かる程度にはAngel Beats!だった。10年以上経ってもここまでそのテイストを溢れさせることが出来るものだろうか?そのしゅ
「一番の宝物」に殴られてしまうと何も言えなくなってしまうんですよ!というところまで含めてAngel Beats!だったのである。
前回書いたnoteの中でヘブバンのノリのことを「10年前で時空が止まっているのか?」と揶揄したのだがこうまで同じ空気感でパッケージングされていると半ば畏怖すら感じるレベルである。原作者だから当然だろ?という人もいるかもしれないが人は生きていれば否が応でも変わらざるを得ない生き物である。過去を顧み、前に進むことも後ろに進んでしまうこともある。それが作家なら作風に現れるのは本来自然なことなのだが……。
「少年の心を忘れない」とかいうのは肯定的に使われる言葉だが、それは大人になって社会性を身に着けたうえでという話であり程度というものがある。作中の新之助が入江が死んでから30年彼女を想い続けていたと彼女の墓前に告げた際に入江が
「そんなことってありえるのか」
「そんなの夢物語だ。ファンタジーだ」と感じたようにそれはもはや異常である。
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ヘブバンをプレイしているときもAB!を視聴していたときも感動の演出力が凄いというのは常々感じることだが、そんな彼の作家性を全面に信じゲームを作っているこのゲームも良い意味で異常である。
しかしだからこそ多くの人にAngel Beats!が響き、ヘブバンもまたゲームとして大ヒットを遂げたのだなと、改めて感じた。
というわけで以上がAngel Beats!の感想およびヘブンバーンズレッド×Angel Beats!コラボストーリーの感想である
登場人物全員が重大な設定を背負っていることが明かされた今のヘブバンにおいて、生を肯定する作品であるAngel Beats!とのコラボ、そして生きるためには前を向いて進まないといけない語る本イベントストーリーはとても意義があるようにも感じた。
メタ的な話をすれば次なるゲームが発売されなかったAngel Beats!という作品の時間も入江が前に進んだのと同じように前に進みだしたようにも感じる。ひょっとしたら本作の核が入江の物語であったのは必然だったのかもしれない。時を動かした入江のセラフィムコードが『移り変わらぬ気持ち』であったことに、私は吠えてしまった。
前回書いた良くわからない文章
より詳細な方の考察
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