R6 司法試験 再現構成:商法

こんにちは。閃き答案ジェネレーターです。
一番閃いた(というか正解筋がわからなかった)科目が商法です。
事情を拾いまくりつつ、知ってる別の制度の知識も踏まえてうまく繋がらないかな〜と思って頑張ったと思いたい。



再現構成

約5.3枚
第1. 設問1小問(1) (以下会社法について法名を省略する)
1. Dがとりうる手段
取締役の行為の差止請求(385)+差止め仮処分の申立て(民保23)

甲社の株主である乙社が株主総会の招集請求(297Ⅰ)

甲社がこれに応じないことから、裁判所からの許可を経て招集(297Ⅳ①)

取締役が招集することに(299Ⅰ柱書の括弧書を読み落とす)
当該行為について「法令…に違反する行為」であるとして差止めができないか

「重大な損害」が生じるか?
重大な損害:行為を差し止めてでも防ぐべき損害(定義テキトー)
・株主総会の議題:取締役・監査役の選解任
→それ自体が直ちに会社に損害をもたらすものではない
・乙社が議案に賛成した株主に商品券を贈呈する旨記載した本件書面を送付
→甲社株主全員に配ったとしても総額1000000円であるが、甲社にとって多額とは言い切れない上に、そもそも甲社が出捐するのかも不明
そうだとすると
特段の事情がない限り本件において重要な損害を認定することは困難

2. 結論
弁護士としては、上記手段が存在するが、重大な損害を基礎付ける特段の事情がない限りかかる方法をとることはできないと答えるべき


第2. 設問1小問(2)
1. Eの主張
Eとしては、本件臨時総会決議1について、決議の方法が①法令違反である(831Ⅰ①)、または②著しく不公正であると主張することが考えられる

2. 主張①
(1)乙社が本件書面を交付した行為は120条違反に当たらないか
120条の趣旨:①株主の平等、②会社財産の濫費防止
→会社株主には他の株主を平等に取り扱う要請はなく、かつ会社財産の濫費をしうる立場にない
⇒会社株主による利益供与は120Ⅰには当たらない

本件:本件書面により商品券を交付する旨通知
・賛成票を投じることで商品券交付
→「株主の権利の行使に関」する利益供与ではある
・本件書面を交付し、かつ商品券を負担したのは乙社
→株式会社である甲社ではなくその株主による利益供与にすぎない
したがって
120Ⅰへの「法令違反」は認められない


3. 主張②
120条の趣旨は確かに会社に宛てたもの
しかし
株主への利益誘導が無制限になされると、株主の議決権行使が歪められ、会社運営の適正・公正を欠く結果、株主の利益が害されかねない
⇒正当な目的に基づいて相当と認められる限度の利益供与でない限り、「著しく不公正」とはいえない(規範はでっち上げ)

乙社の目的:近年業績が悪化していた甲社の人事を刷新し経営改善を図る
そのために本件各議題を目的とする株主総会の招集を自ら請求したもの
→甲社の経営改善は乙社のみならず他の株主にとっても利益になる
よって
目的は正当なものといえる

手段
・1000円相当の商品券
→額は比較的低廉
・乙社自らが負担
しかしながら
・甲社では従来甲社又は甲社役員もしくは株主が一定の内容の議決権の行使または議決権の行使自体を条件として商品券等を提供したことはなかった
→甲社及びその株主との間では、利益誘導を行わず株主総会を運営することへの合意が暗黙のうちに醸成されていた
そうだとすると
甲社において過去に前例がない中で自らの提案した議案を可決すべく利益誘導を行なった乙社の行為はそれ自体が相当性を欠くものと言わざるを得ない
したがって
乙社の行為が介在した本件決議1は決議の方法が「著しく不公正」であるといえる

もっとも
・現に行使された議決権の数は例年の定時株主総会より約30%多い
・賛成票の割合も例年のそれより高い
→決議に影響を及ぼしており裁量棄却(831Ⅱ)は認められない


第3. 設問2
1. 丙社の立場において考えられる主張
丙社としては、本件決議2の取消しの訴えを提起し、決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がなされた(831Ⅰ③)と主張することが考えられる

2. 上記主張の当否
(1)「特別の利害関係を有する者」
特別の利害関係:株主としての地位を離れ、これに反する個人的な利害関係
A、C:甲社の取締役
→自ら募集株式の第三者割当てを受け、また会社における進退にも関わる地位(メモが錯綜)
ゆえに
株主としての地位を離れこれに反しうる個人的な利害関係を有しているといえる
(2)「著しく不当な決議」
会社の支配権維持を目的とした決議
→被選任者にすぎない経営陣が選任者たる株主構成を動かそうとするのは法の権限分配の趣旨に反する
そこで
会社の支配権維持を目的とした決議は原則として「著しく不当な決議」にあたる
もっとも、会社利益を守ることが株主の利益につながりうる
例外的に、会社の利益を保護するため正当といえる場合には、「著しく不当」とはいえない

・甲社の発行済株式600株のうち200株を有する丙社が甲社をその完全子会社化しようとする(会社支配権に争い)
・Aらは本件決議2に基づく本件株式併合及び本件株式分割等により丙社を甲社から締め出し、その独立を図ろうとする
→Aらの目的は会社支配権維持にある

もっとも
・丙社は甲社の再建に目処が付いたとして甲社の営業範囲と隣接する地域で建築設備機器の製造及び販売等を行う丁社の再建に注力
・丙社は丁社に対する技術提供等を甲社へ要求
→市場における甲社の強みが失われ、結果として甲社が不利益を被るおそれあり

確かに
・甲社が独立を維持するか、丙社の完全子会社になるかどうかは見解の分かれる問題
・甲社の企業価値との関係では客観的にいずれか一方が他方より優れているとは言い難い
もっとも
・Gの意向をFから聞かされたのち、当時非公開会社となっていた甲社の株主であったA、B、Cが一堂に会して話し合う機会を設けた
・BはすでにGの案も聞いており、一定の合理性を理解していた上で、当該話し合いにおけるA及びCの主張を踏まえて最終的に自らAらの案を支持するに至っている
→株主において、自ら判断しその意思を表明する機会が保障されていたといえる
したがって
このような株主の判断のもと会社の利益を守るべく行われた本件決議は正当なものの範囲を逸脱したとはいえない
すなわち「著しく不当」とはいえない

(3)  会社法109に反して「著しく不当」か?
株式の併合:株主平等を前提としている
→109の趣旨が及ぶ
よって同条違反の場合には少なくとも「著しく不当」
もっとも、会社利益が害されると、ひいては株主平等も害される(意味不明)
会社の利益を保護する正当といえれば例外的にこれに当たらない

本件は株主のA、C、丙社のうち丙社にのみ第三者割当てがなされない
→109条に反する
もっとも
前述の通り、甲社の利益を守るべくやむを得ない結果であると同時に、株主の合意を形成した上での判断であり正当なものといえる
よって「著しく不当」とは言えない
(2)  結論
丙社の上記主張は認められない

感想

設問1(1)
はい、直接適用してしまいました。299条1項の括弧書に気づかず、招集手続の後は取締役が進めていくもんだと誤解してまあ問題ないでしょ!と意味不明答案をジェネレートしてしまいました。

設問1(2)
120条の違法性阻却については、Quoカード判例が想起されたものの、会社じゃなくて株主が利益供与した事案なので適用できない…。ということで、「著しく不公正」に無理やり繋げました。頼むから評価してください。

設問2
株式併合って828条の無効確認の訴えないよね?って5回は確認しました笑。で、過去問やった時の記憶で確か決議取消しの訴えで処理していた記憶があったので、とりあえずそれを書きました。
「著しく不当」は新株予約権発行差止めの247条に関する判例法理をかろうじて思い出したので、その筋で行こうと思いました。そのくせ規範は曖昧だし、後になって109条関連を思い出して書くという体たらく…。そのせいで109周りの規範定立も曖昧です。「会社利益保護は株主平等の前提にある」くらい書ければよかったのに…。その上時間もなかったので、「正当」とかいうよくわからんマジックワードの当てはめの実質は主要目的ルールと一緒だろうと思いだいぶ省略してしまったのが痛いです。
「信義の問題だ」ってところにマークひいてるくせに信義則違反の構成はしてないですね笑 今思うと露骨な誘導やんって感じがします。

他の方の参考答案を怖くてあまり見られていないというのもありますが、商法は設問1(2)と2の正解筋がよくわからないままです。

参考になれば幸いです。

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