R6司法試験 再現答案:民事訴訟法

こんにちは。
最近忙しくて更新できていませんでしたが、ひとまず民事訴訟法も終わりました。
感触で言えば一番良かったのに再現してみるとミスを続々と発見し、精神安定にはこの上なく悪いですね…


再現答案

約5.9枚
第1. 設問1(以下民事訴訟法につき法名省略)
1. 課題1
任意的訴訟担当とは、法律関係の帰属主体からその本人のために訴訟追行する権限を付与された第三者を指す。(でっちあげ)
弁護士代理の原則(54)の趣旨は、本人の利益保護及び三百代言の防止にある。かかる趣旨を踏まえて、判例は組合の代表者である組合員の任意的訴訟担当を肯定している。その理由として、(ア)組合員が多数にのぼり法律関係を合一的に確定する必要性が高い一方で、組合それ自体には当事者適格が認められないこと、及び(イ)組合代表者はその選任の際に訴訟追行権限も含めて委任されており、他の組合員と利害関係を共通にしていることから権限を濫用し組合員に損害を与える可能性は低いことを示している。
以上を踏まえると、明文なき任意的訴訟担当が認められるには、①弁護士代理の原則の潜脱に当たらないこと((イ)より)かつ②これを認める合理的必要性があること((ア)より)の2要件を満たす必要があると考える。
2. 課題2
本件において、X1はX2、X3とともに本件建物を共有(民法249条)している。そうだとすると、X1は本件建物について詳しく知っている上に、利害関係がX2、X3と共通しているといえる。そして、Xらは本件契約において全員が賃貸人となる一方で、本件契約の更新、賃料の徴収及び受領、本件建物の明渡しに関する訴訟上あるいは訴訟外の業務についてはX1が行うことを取り決めている。かかる取り決めにより、組合の共同事業体の代表者に対するのと同様、X1に対して本件訴訟に関する権限についてX2・X3からの授権があったと評価することができる。さらに、X2・X3はYに対して本件建物の明渡を求めるとのX1の意向には賛成している。以上の各事情を踏まえると、X1において弁護士代理の原則の潜脱に当たらないということが可能である。(①充足)。
一方、本件訴訟は賃貸借契約(民法601条)の終了に基づく目的物返還請求権としての明渡請求という債権的請求であるところ、本件建物はXらの共有にあり事実上合一確定が望ましいといえる。しかしながら、明渡請求権は不可分債権であり、また管理行為として個人が提起可能であることから合一確定の要請は実際にはそれほど高くないと言わざるを得ない。さらに、本件建物の共有者はXら3名のみである。そうだとすると、構成員の多数に上る組合の構成員と異なり統一的な意思決定に基づく訴訟追行が困難であるとの事情は認められない。(②不充足)
以上を踏まえると、本件においてX1による訴訟担当を明文なき任意的訴訟担当を認めることはできない。
第2. 設問2
1. 裁判上の自白の意義
(1) 裁判上の自白とは、口頭弁論期日において一方当事者がする、相手方の主張と一致する、自己に不利益な事実の供述をいう。そして、「自己に不利益」とは、相手方に証明責任が存する事実をいい、公平の見地から、法律効果の発生により利益を得る側が原則として証明責任を負うと考える。また、「事実」には少なくとも主要事実を含むと考える。なお、先行自白の場合には相手方当事者が援用することで「相手方の主張と一致」するものといえると考える。
(2) 無催告解除特約の要件事実は、①債務の発生原因、②無催告解除特約の存在、③特約に該当する具体的事実の発生、④解除の意思表示であり、これらの事実については解除の効果により利益を得るXらが証明責任を負うことになる。本件契約においてXらとYは本件建物を居住用建物として使用し、他の目的での使用はしないことを約しており、かかる使用目的違反が無催告解除原因となる事実になる旨約していた(②)。そして、本件陳述は本件建物を居住用建物以外の目的で使用するものであり、上記特約に該当する具体的事実の発生を示す事実に該当するといえる(③)。そうだとすると本件陳述は「自己に不利益な事実の陳述」にあたる。
そして、XはL1を通じて本件陳述を援用する旨準備書面を提出していることから、本件陳述はXら「の主張と一致する」ものであるといえる。
2. しかし、本件陳述は口頭弁論期日ではなく弁論準備手続期日においてなされた「相手方の主張と一致する、自己に不利益な事実の陳述」である。弁論準備手続期日においてなされた場合でも裁判上の自白は成立しうるか。
そもそも、弁論準備手続の趣旨は「争点及び証拠の整理」(168条)を通じて、円滑な審理計画を策定し、争点について集中的に審理することで、訴訟経済及び実効的な紛争解決を図ることにある。そして、その実効性を担保すべく、当事者間の自由かつ活発な発言・議論を確保する要請は高いものということができる。しかし、裁判上の自白が認められると、自らの発言で不利になる恐れを心配して発言を控えるという萎縮効果が生じることで、自由かつ活発な議論が確保できないおそれが生じる。また、自白の撤回を認めれば足りるとの見解もあり得る。しかし、撤回の負担を自白した当事者に負わせるのは上記趣旨との関係では妥当とは言い難く、かつ自白が一旦成立する以上萎縮効果を除去し切ることはできない。したがって弁論準備手続における陳述には裁判上の自白は成立しないと解するべきである。
 本件陳述も、弁論準備手続上におけるものである以上裁判上の自白は成立しないというべきである。
第3. 設問3
1. そもそも基準時前の形成権行使について、判例は取消権について、法律行為に内在する瑕疵であることから、前訴において提出することが期待可能であることから、後訴における基準時前の取消し原因に基づく取消権の行使は既判力により遮断されるとしている。解除権についても基本的には同様に考えることができ、解除原因が契約に内在する瑕疵であることから、基準時前に発生した事由に基づく解除権の行使は可能であることをもって後訴における基準時前の解除原因に基づく解除権の行使は既判力により遮断されると考えることができる。もっとも、既判力の根拠は手続保障の充足に基づく自己責任にあり、かかる観点から口頭弁論終結時が既判力の基準時となっている。しかしながら、解除権の行使は履行の請求など様々な選択の1つであるとともに、解除原因も多岐にわたるため、一律に手続保障が及んでいたとはいえない場合が想定される。そこで①当該具体的事実についての手続保障の要請及び②提出の期待可能性を考慮して、基準時前の解除原因に基づく解除権の行使であっても前訴既判力に遮断されない場合があり得ると考える。
2. 本件判決が確定した時点は令和5年4月であり、この時点が基準時となる。これに先立つ令和3年1月から令和5年1月の間にYが本件セミナーを行っていた事実については、用法遵守義務違反として、賃貸借契約における解除原因に当たる。そして、賃貸借契約においては信頼関係が破壊されたと言える特段の事情が認められる必要があるところ、解除原因の有無や種類については請求当初に主張していたものに限らず、主張の機会を確保すべき要請が働くといえる。本件では、前訴における解除原因たる賃料不払いが3ヶ月分であったのに比べ、本件セミナーは2年間もの長期に渡り、月に1・2回の割合で、しかも営利目的で行われており、背信性が高いものであった。そうだとすると、この事実を主張立証する機会を付与すべき要請が高く、それが実効的な解決にもつながるといえる。したがって、主張立証の機会を付与する要請が高いといえる(①)。
しかし、本件セミナーに関する事実が判明したのは本件判決の確定後であり、Xらにおいて前訴で当該事実を主張立証する期待可能性は認められない(②)。
以上を踏まえると。本件セミナーに関する事実を解除原因とする解除権の主張は、前訴既判力によって遮断することは相当ではなく、これを認めるべきである。

感想

設問1
課題1
「判例を踏まえるようにしてください」の指示があったものの、判例の具体的状況を知らず。こういう場合は軽く触れるに留めるのが得点効率上最も賢いのですが、あろうことかでっち上げで展開して論証に繋げるというよくわからん愚行に走りました。
課題2
訴訟担当における十分な知識について、規範定立・当てはめができておらず、ここを拾いきれなかったのが痛いですね。しかも判例の組合が5人という微妙な人数だったらしく、本件との異同の記述も微妙になるという結果に…。
設問2
割と自信があったのですが、要件事実の摘示などでミスをしていたり、よくわからないところで大展開している一方でコアであろう弁論準備手続における裁判上の自白の成否は比較的記述が薄く(?)なった感が否めなかったりとミスをポコポコしています。傷が浅いことを祈ります…。
設問3
大やらかしです。設問では基準時前の形成権行使とは「」と言っているのにその枠組みで大展開。指示に従っていない分、思い切り失点してそうです。実質的には既判力の縮減と大差ない内容であるということで、点数0は避けられないですかねえ…?

以上です。

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