見出し画像

クイーンカップふりかえり

雪の影響で重馬場でスタートした1日だったとは、とても思えない素晴らしいタイムが出た。

勝ち時計1.33.1は、アカイトリノムスメが勝った2021年の1.33.3を上回り、メジャーエンブレムが勝った2016年の1.32.5迫る物で、

2023年
12.2-10.9-11.4-11.7-11.8-11.3-11.6-12.2

2021年12.4-10.8-11.4-11.9-11.9-11.6-11.4-11.9

2016年
12.3-10.8-11.3-11.7-11.7-11.2-11.6-11.9

ラップタイムの推移も両年に近く、レースレベルの高さを伺わせる物となった。

そんなクイーンカップをスタートから振り返る。

スタートでハーパーが外にゴールドレコーダーが内に大きくよれた事で、グランベルナデッドとミカッテヨンデイイの進路が狭くなる。

イングランドアイズもウヴァロヴァイトとドゥアイズに挟まれ後ろからの競馬になった。

先行争いに目を向けると、ニシノカシミヤが好ダッシュから先頭に立ち、目の前がポッカリ空いたハーパーは徐々にうちに入っていく。大外のミシシッピテソーロはスタートから気合をつけられ先行集団に。

400m通過した辺りで隊列が落ち着き、ウヴァロヴァイトが外3番手に付け、ドゥアイズは内2番手集団。その外にハーパーがつけ、ウンブライルはさらにその外、モリアーナはラチ沿い後方からのレースとなった。

そしてウヴァロヴァイトの外に目を向けると、ゴールドレコーダーが掛かり気味になり、外ミシシッピテソーロに接触しそうになる。

その一連の動きで馬群がやや縦長になり、中央部分にスペースが出来始めたところで川田騎手が動く。

先ほどまでウヴァロヴァイトのラインに居たが、一つ内側のドゥアイズの後ろに切り替えたのだ。ウヴァロヴァイトとドゥアイズのどちらの後ろが安全かを考えたら、実績上位のドゥアイズを選ぶのは必然。

良いポジションを取れたと思ったハーパーだったが、3コーナー入口でアクシデント。

かかり気味に走っているゴールドレコーダーが外から内によれてきて、内のリックスターとの間に挟まれそうになったのだ。進路が狭くなるもなんとか乗り切ったハーパーはドゥアイズのラインをキープし続けてコーナーに入っていく。

上は3コーナーの画像。矢印で示した馬は1〜3着に入った3頭で、前からドゥアイズ、ハーパー、モリアーナだが、全頭同じラインにいるのが分かる。ハーパーとモリアーナの間にいるイングランドアイズも4着に入り、このラインに居た馬が上位を独占している事から、今日の馬場はこのラインが良かったんだろうね。

そしてニシノカシミヤがペースを落とさなかった事で馬群は上の画像の通り縦長になりながら残り800m付近を迎える。

その辺りからウンブライルの手応えが怪しくなり始める。レース後にルメール騎手が「ズブかった」とコメントしていたのは恐らくここからの反応の鈍さを指してのこと。

そしてまたハーパーにアクシデント。またゴールドレコーダーが内によってきた事で、再度進路がなくなりかけたのだ。

なんとか乗り切ったハーパーは今度は直線での進路を探し始める。

ウンブライル以外にも馬群の外を追走していたミシシッピテソーロの手応えも怪しくなったのをみてハーパー川田騎手が下図の丸で囲ったスペースを狙う。

またモリアーナ武藤騎手も同様に外を目指す。

馬群が横に広がりながら直線を迎え、

ハーパーはウヴァロヴァイトとミシシッピテソーロの間。モリアーナはウンブライルとグランベルナデッドの間から抜け出しを図る。

ドゥアイズは最内でニシノカシミヤの後ろから進路を伺っていたのだが、この後問題のシーンが。

ニシノカシミヤの外に出そうとした吉田隼騎手は、やや強引に外に出した事で、

外のオンザブロッサムに接触。そして外に弾かれたオンザブロッサムが今度はウヴァロヴァイトに接触。

結果、ウヴァロヴァイトはバランスを崩してしまい戦意を喪失してしまった。直線に入り11.3-11.6と流れている中で、唯一馬なりで行けていたことを考えると、このアクシデントが無ければ?と思わざるを得ない。

強引に抜け出してきたドゥアイズであったが、スピードに乗ることが出来ず、

1着ハーパーに僅か及ばず2着となった。3着は外を選んだモリアーナ。

直線入口で遅れ始めていたイングランドアイズが坂上あたりから徐々に差を詰め、最後は僅差4着まで来てみせた。

スタート出遅れ外を回る事になったグランベルナデッドが5着。手応えが怪しくなりながらも食らいつき続けたウンブライルが6着となった。

勝ったハーパー。2度の進路がなくなりかけるアクシデントがありながら、嫌気をささず勝ち切ったことは今後に向けて大きなプラスになる。G1ともなれば馬群が密集するから、馬群内でプレッシャーがかかる経験をした事は必ず今後に生きるはず。

2着ドゥアイズ。進路を坂上まで見つけられなかったことが敗因だろう。進路を見つけてからもスッと反応している感じではないので、早めにトップギアに入れて長く脚を使う競馬の方が良さそう。

3着モリアーナは前走で折り合いを欠いた点を修正出来たのが大きい。直線で外を選んだ結果、早くに前が開きすぎて弾けきれなかった様なので、ハーパーの後ろで我慢してから抜け出して来れたら2着まであったかもしれない。

3着までに入った馬達はいずれも距離が伸びて良さそうで、このクイーンカップもオークスに繋がりそう。特に現時点での完成度が低いのに勝ち切ったハーパーは非常に楽しみが大きい。

そんなクイーンカップだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?