皐月賞 前哨戦のレースレベル考察(2024)

先日の桜花賞では精度の高い前哨戦考察ができていたと思うので、引き続き皐月賞でも同じ方式で考察してみる。

(※レースレベルの評価はレース内容・時計・ラップ・メンバーレベルなどを総合的に見て主観で判定したもの)


京都2歳S(G3)

【開催日】2023.11.25
【コース】京都2000m
【馬場】良(Cコース3日目、外差し傾向、良だがタフ寄り)
【勝ち時計】1:59.8
【3F】35.0-35.9
【4F】46.8-47.9
【5F】59.1-60.7
【展開】差し有利
【出走頭数】14
【レースレベル】A
【不利馬】コスモキュランダ
【出走馬評価】シンエンペラー ≧ ダノンデサイル ≧ コスモキュランダ > ホウオウプロサンゲ

2歳重賞の中ではハイレベルなメンバーが揃ったレースだった。
勝ったシンエンペラーは強かったが、タフな展開と馬場が向いたし、モレイラが上手く乗った印象が強い。ダノンデサイルは前が詰まって追い出しがスムーズではなかったし、コスモキュランダには4角で挟まれる明確な不利があった。


朝日杯FS(G1)

【開催日】2023.12.17
【コース】阪神1600m
【馬場】良(Aコース6日目、外差し傾向)
【勝ち時計】1:33.8
【3F】34.1-35.4
【4F】46.1-47.7
【L5F】59.7
【展開】差し有利
【出走頭数】17
【レースレベル】B
【不利馬】エコロヴァルツ
【出走馬評価】ジャンタルマンタル ≧ エコロヴァルツ

ジャンタルマンタルは強かったが、インをロスなく回り直線は外に出すスムーズな競馬だった。エコロヴァルツは展開自体は向いたものの、不利もあり最内枠から後方に下げて外を回すロスの大きい競馬になった。
タガノエルピーダやダノンマッキンリーなど強い馬もいたが、全体的なメンバーレベルはそこまで高くなかった。


ホープフルS(G1)

【開催日】2023.12.28
【コース】中山2000m
【馬場】良(Aコース9日目、外差し傾向)
【勝ち時計】2:00.2
【3F】35.4-35.9
【4F】 47.9-48.0
【5F】60.0-60.2
【展開】フラット(どちらかと言えば差し有利)
【出走頭数】16
【レースレベル】S
【不利馬】サンライズジパング、ミスタージーティー
【出走馬評価】レガレイラ ≧ サンライズジパング ≧ シンエンペラー > ミスタージーティー > シリウスコルト

ペース的に前半後半ほぼフラットで、淀みのないラップが刻まれていた。先行勢も差し勢も力を出し切れたレースだったと思う。レガレイラの末脚は素晴らしかったし、シンエンペラーも内外の馬場差を考えればよく粘っていて強い内容。3着サンライズジパングもシンエンペラーが直線でヨレて来る不利がなければもっと際どかったはず。ミスタージーティーも手応えは抜群だったが前が詰まる不利があった。


シンザン記念(G3)

【開催日】2024.01.08
【コース】京都1600m
【馬場】良(Aコース3日目、外差し傾向、良だが時計を要するタフな馬場)
【勝ち時計】1:34.5
【3F】34.3-36.1
【4F】46.4- 48.1
【L5F】60.2
【展開】差し有利
【出走頭数】18
【レースレベル】B
【出走馬】ウォーターリヒト

年明けの京都は特にタフな馬場で通常より時計がかかっていた。
勝ち馬のノーブルロジャーは次走毎日杯で2着、2着馬のエコロブルームは次走ニュージーランドTで1着と、上位陣のメンバーレベルは高い。ここで3着に好走したウォーターリヒトのタフ馬場適性は評価できる。


京成杯(G3)

【開催日】2024.01.14
【コース】中山2000m
【馬場】良(Cコース5日目、前日の雨で湿った馬場、内も使えていた)
【勝ち時計】2:00.5
【3F】35.6-34.8
【4F】47.7-47.2
【5F】60.7-59.8
【展開】やや先行有利
【出走頭数】14
【レースレベル】S
【不利馬】アーバンシック(展開不利)
【出走馬評価】アーバンシック > ダノンデサイル

時計的にもホープフルSと比較しても遜色がないレースだった。
先行した馬が上位を占める中で4角10番手からL3F33.9の末脚で2着まで追い上げたアーバンシックはかなり強い競馬をしていた。


若駒S(L)

【開催日】2024.01.20
【コース】京都2000m
【馬場】重(良でも時計を要するタフ馬場だったが雨の影響でさらにタフな馬場に、Bコース1日目で内も使える馬場だった)
【勝ち時計】2:02.8
【3F】36.0-36.6
【4F】48.8-48.8
【L5F】61.7-61.1
【展開】ほぼフラット
【出走頭数】7
【レースレベル】C
【出走馬】サンライズジパング

少頭数でメンバーレベルも決して高くないレースではあったが、サンライズジパングがホープフルSでの3着がフロックではないことを証明した。後方一気の末脚で一頭だけ次元の違う能力を見せた。


きさらぎ賞(G3)

【開催日】2024.02.04
【コース】京都1800m
【馬場】良(Cコース2日目、外差し傾向)
【勝ち時計】1:46.8
【3F】35.6-34.4
【4F】47.8-46.6
【L5F】59.0
【展開】やや先行有利
【出走頭数】12
【レースレベル】A
【不利馬】ビザンチンドリーム(展開不利)、ウォーターリヒト(展開不利)
【出走馬評価】ビザンチンドリーム > ウォーターリヒト

2月の京都の馬場は1月よりは高速化していたと思われるが、それでもタフな馬場ではあった。先行したシヴァーズが3着に粘っているように、ペース的には先行有利。そこを後方から差してきた上位2頭は評価できる。
ビザンチンドリームは後方から大外を回してロスの大きい競馬。着差はギリギリだが、着順以上の評価は必要。一方ウォーターリヒトは荒れた馬場を苦にしないタイプで、内を突いて伸びてきた。


共同通信杯(G3)

【開催日】2024.02.11
【コース】東京1800m
【馬場】良(Dコース6日目、内外フラット)
【勝ち時計】1:48.0
【3F】37.3-33.1
【4F】50.0-45.3
【L5F】58.0
【展開】かなり先行有利
【出走頭数】10
【レースレベル】A
【不利馬】ミスタージーティー(展開不利)
【出走馬評価】ジャンタルマンタル ≧ ジャスティンミラノ > エコロヴァルツ > ミスタージーティー

パワーホールの逃げで1000m通過が62.7と、かなりのスローペースに。直線ヨーイドンの瞬発力比べとなり、勝ったジャスティンミラノの瞬発力の高さは評価できるものの皐月賞に繋がるかは疑問の内容となった。ジャンタルマンタルは勝ち馬と同じ上がり32.6の脚を使えており、敗因はポジションの差でしかなかった。エコロヴァルツはスローペースに折り合いを欠いていた。


すみれS(L)

【開催日】2024.02.24
【コース】阪神2200m
【馬場】良(開幕週Aコース1日目、イン前有利)
【勝ち時計】2:12.0
【3F】34.5-35.0
【4F】47.2-46.5
【5F】60.2-58.5
【展開】まくり、差し有利
【出走頭数】10
【レースレベル】A
【出走馬評価】サンライズアース > ホウオウプロサンゲ

前半はスロー気味だったが、それを嫌ったサンライズアースが残り半分(1200m地点)あたりから一気にまくって先頭に立ちペースアップ。そのままゴールまで押し切った。先行勢は一気に飲み込まれてしまい総崩れだった。L5Fの58.5秒というタイムは先に行われた共同通信杯に次ぐもので、サンライズアースの長く良い脚を使える持続力は高く評価できる。


弥生賞ディープインパクト記念(G2)

【開催日】2024.03.03
【コース】中山2000m
【馬場】良(Aコース4日目、前日時点では稍重で軟らかめの良馬場だった)
【勝ち時計】1:59.8
【3F】35.2-35.1
【4F】48.0-47.2
【5F】60.4-59.4
【展開】やや先行有利
【出走頭数】11
【レースレベル】A
【出走馬評価】コスモキュランダ ≧ シンエンペラー > シリウスコルト

残り半分(1000m地点)あたりからコスモキュランダがまくっていき、3角では2番手まで上がっていた。逃げたシリウスコルトが3着に粘ったように、ペース的にはやや先行に有利だった。シンエンペラーも最速の上がりを使っているが先に仕掛けて抜け出したコスモキュランダを交わせなかった。
映像を見るとキックバックで芝がかなり舞っていて、良馬場と言えどパワーを要するソフトな馬場になっていた。人気馬のトロヴァトーレやダノンエアズロックは馬場に対応できなかったのか本来のパフォーマンスを出せなかったか。


若葉S(L)

【開催日】2024.03.16
【コース】阪神2000m
【馬場】良(Aコース7日目、イン前有利)
【勝ち時計】1:59.7
【3F】36.1-34.6
【4F】48.8-46.6
【5F】61.0-58.7
【展開】先行有利
【出走頭数】9
【レースレベル】C
【出走馬評価】ミスタージーティー > ホウオウプロサンゲ

前半スローで先行勢に有利の展開。逃げたホウオウプロサンゲを交わしたミスタージーティーは一定評価できるが、この馬もインの高位で脚を溜めていたので展開有利ではあった。


スプリングS(G2)

【開催日】2024.03.17
【コース】中山1800m
【馬場】良(Aコース8日目)
【勝ち時計】1:49.4
【3F】37.5-33.7
【4F】50.2-46.3
【L5F】59.2
【展開】かなり先行有利
【出走頭数】10
【レースレベル】C
【不利馬】ウォーターリヒト(展開不利)
【出走馬評価】 ルカランフィースト > ウォーターリヒト > アレグロブリランテ

1000m通過が63.1秒で共同通信杯以上に遅く、ドスローからの瞬発力勝負となった。
勝ち馬シックスペンスはずば抜けて高い能力を見せたものの皐月賞は回避。楽にスローペースで逃げたアレグロブリランテは展開が向きすぎていただけに評価できないし、シックスペンスからかなり離されての3着のルカランフィーストもそこまで高く評価はできないか。
ウォーターリヒトは9着に大敗したが後方待機でペース的に全く展開が向かなかったし、瞬発力比べも不向きで評価を下げる内容ではなかった。


毎日杯(G3)

【開催日】2024.03.23
【コース】阪神1800m
【馬場】重(Aコース9日目、雨の影響でタフ馬場、内ラチ沿いは使えた)
【勝ち時計】1:46.0
【3F】35.2-34.4
【4F】47.3-46.4
【L5F】58.7
【展開】先行有利
【出走頭数】10
【レースレベル】A
【出走馬】メイショウタバル

先行有利の展開が逃げたメイショウタバルに向いたものの、シンザン記念1着のノーブルロジャーに6馬身差つけての圧勝だった。他馬が上がりに35秒台を要しているのに対し、逃げて先頭にいたこの馬が上がり最速34.4を使っており、桁違いの重馬場適性を見せつけた。
走破時計も1:46.0と重馬場とは思えないものだった(コース・ペースの違いはあれど1800の前哨戦で一番速いタイム)。


まとめ

レースレベル

【S】ホープフルS、京成杯
【A】京都2歳S、きさらぎ賞、共同通信杯、すみれS、弥生賞、毎日杯
【B】朝日杯FS、シンザン記念
【C】若駒S、スプリングS、若葉S

S〜A評価レースで3着以内だった馬

  • レガレイラ(ホープフルS 1着)

  • シンエンペラー(京都2歳S 1着、ホープフルS 2着、弥生賞 2着)

  • サンライズジパング(ホープフルS 3着、若駒S 1着)

  • ダノンデサイル(京成杯 1着)

  • アーバンシック(京成杯 2着)

  • ビザンチンドリーム(きさらぎ賞 1着)

  • ウォーターリヒト(きさらぎ賞 2着)

  • サンライズアース(すみれS 1着)

  • コスモキュランダ(弥生賞 1着)

  • シリウスコルト(弥生賞 3着)

  • ジャスティンミラノ(共同通信杯 1着)

  • ジャンタルマンタル(共同通信杯 2着)

  • メイショウタバル(毎日杯 1着)

着順以上に評価できる不利馬

  • エコロヴァルツ…朝日杯FSでは不利を受けて2着。共同通信杯は折り合いを欠いて5着。

  • サンライズジパング…ホープフルSでは不利を受けて3着。

  • アーバンシック…京成杯では展開向かない中で2着。

  • ビザンチンドリーム…きさらぎ賞では展開が向かない中で1着。

  • ウォーターリヒト…きさらぎ賞では展開が向かない中で2着。スプリングSは全く展開が向かずに9着。

  • ミスタージーティー…ホープフルSは進路が詰まる不利があり5着。共同通信杯は展開が全く向かずに7着。

タフな馬場で評価を上げたい馬

  • メイショウタバル(毎日杯)

  • サンライズジパング(若駒S)

  • シンエンペラー(京都2歳S、弥生賞)

  • コスモキュランダ(弥生賞)

  • ウォーターリヒト(シンザン記念、きさらぎ賞)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?