桜花賞(2024)全頭考察


出走馬全頭考察

ワイドラトゥール

前走はチューリップ賞で13着に大敗。前に行った馬に厳しい展開ではあったが逃げたセキトバイーストが2着に粘っているだけに、内枠からスムーズに先行してのこれは物足りない内容だった。
2走前は京都1400でセキトバイーストに勝っているだけに、前走は状態が悪かった or 阪神の馬場や距離が合わなかったと考えられるか。
前走よりはもう少しやれても良い印象はあるものの、今回のメンバーの中に入っては厳しいか。

クイーンズウォーク

前走はクイーンCで1着。そこそこ締まったペースで展開は差しに向いたが、上がり33.4の抜群のキレる脚を使い外からゴボウ抜きした。毎回33秒台の最速の上がりを使う瞬発力の持ち主。
1〜2走目は1800を使い、前走のレース後コメントで川田Jが「1600を走りたいわけではない」とコメントしているように、おそらく狙いはオークスでマイルは本来は忙しいのかもしれない。ベスト舞台ではない中でどこまで。
脚質的にも後ろからになりそうなので1枠2番は内すぎる感はあるか。
川田Jの桜花賞3年連続制覇というのも出来過ぎな感はあるが、ありえない話ではなさそうか。

イフェイオン

前走はフェアリーSで1着。前に行った馬に厳しい展開の中、外枠から4番手の外目を先行追走。外を回されるロスも気にせず直線一気に抜け出した。
34.7-35.1の前傾ラップで先行馬総崩れの中でのこれは好内容だったと思う。中盤ペースが緩んだとはいえ、ラスト3Fも12.2 - 11.5 - 11.4の加速ラップだった。
メンバーレベルはどうだったかという疑問は残るが、次走アネモネSを勝ったキャットファイトが6着だったし、3着ラヴスコールと4着スティールブルーも桜花賞出走は叶わなかったが本来は力のある馬だと思う。
中山1600なので桜花賞に繋がるかは微妙な舞台だが、実はハイレベルレースだった気もしていて、ここの1・2着馬は個人的に注目している。

キャットファイト

前走アネモネSで1着。内枠からインベタで番手を追走、直線抜け出すと粘り込んだ。荒れた馬場も得意で向いてはいたが、前に厳しいペースを先行して勝ちきったのは評価できる。
関東馬でコース的にも中山が良さそうなタイプなので、阪神コースはどうか。阪神JFでは抜群のスタートから後方に控えた騎乗もひどかったが、イレ込みもあったらしく凡走した。輸送による当日のテンションにも注意が必要か。
良馬場の高速決着になる場合はどうかだが、内枠を引けたし馬場が渋れば面白いかもしれないが…。

シカゴスティング

前走はフィリーズレビューで12着に大敗。前傾ラップの前に厳しいペースで番手を追走していただけに言い訳はつくが、逃げたエトヴプレが勝っただけに物足りない内容。
2走前の阪神JFでは逃げて見せ場たっぷりの5着に好走したものの、今回は逃げ先行馬も多いしメンバーレベルも上がるしで、なかなか難しいレースになりそう。

ハワイアンティアレ

前走はチューリップ賞で3着。出遅れて後方からになっていた。ペース的に差しに展開は向いていたが、ごちゃついた狭い馬群を割って伸びて来る勝負根性を見せた。進路が狭かっただけにスムーズに追い出せていたらもう少し上位に迫れていたのではないだろうか。スウィープフィートには完敗だったが、内外の馬場の差もあったかもしれない。
前走も人気薄だったが今回も全く人気しなさそうで、内目の好枠を引けたしスタートを決めていいポジションを取れれば面白いかもしれない。

スウィープフィート

前走はチューリップ賞で1着。逃げ馬が2着に粘っているが、ペース・展開的には差しに向いていた。稍重のパワーを要する馬場も向いたし、伸びる外を通れたも良かった。強い勝ち方で見栄えはしたが、色々向いていただけに過剰に評価はしないほうがいいかなという内容だった。
武豊Jの会見でも「前走は相手関係にも恵まれた」「最後は止まっていた」といった内容のコメントをされており、そこまでポジティブな印象は受けなかった。
また、昨年10月から1ヶ月ごとくらいの間隔で詰めて使われてきているので、疲労が心配ではある。前走がメイチだった可能性も考えられる。もちろん一定の水準以上には強い馬だとは思うが、今回上位人気するのであれば少し嫌ってみてもいいかもしれない。

コラソンビート

前走のフィリーズレビューでは2着。逃げた馬が残って1着だったレースだったとはいえ、この馬もインをロスなく回り先行できていただけに前を捉えられなかったのは物足りなく思える内容。とはいえ33.8-35.1の前傾ラップで先行負荷は高かったので、逃げた馬が素直に強かった。
前走は3ヶ月ぶりの出走だったので、一回叩いて今回は状態を上げてきている可能性はある。
しかし阪神JFでスムーズな競馬をして3着だったように、アスコリやステレンには完敗の内容だった。1400のほうがレースしやすいという陣営コメントもあるように、マイルで逆転があるかは微妙なところ。
とはいえ能力は上位だと思うので、軽視はできない存在か。

アスコリピチェーノ

前走は阪神JFで1着。前に厳しいペースで中団につけて差しに回ったこの馬に展開は向いていたし、4角もスムーズに外に出せていたし大きな不利もなかった。1:32.6という好時計で勝ちきったように、高速時計での決着ならば世代随一の能力があることは確か。
しかし毎回33秒台の上がりを使う馬で、東京・新潟・阪神と直線の長い高速馬場でしか走って来ていないので、上がりのかかる馬場や展開になった場合にはまだ疑う余地はある。
今回も末脚の切れを活かせそうな舞台ではあるが、枠順や馬場状態次第で最終的な評価をしたい。

セキトバイースト

前走はチューリップ賞で2着。34.5-35.4の前傾ラップの前にキツいペース。インベタでロスなく自分のペースで走れてはいたが、前に厳しい展開で粘ったのは評価できる。稍重の馬場も向いたか。
メンバーレベルはどうだったかというところはあるが、1・3着馬が後方から差してきた馬で、朝日杯3着のタガノエルピーダが先行して4着に敗れていることを考えると、やはりこの馬はかなり強い競馬をしたように思える。
ただ今回は逃げ馬が他にもいるし同型との兼ね合いがどうかってところ。当日の馬場状態次第では軽視できない存在になるか。

ライトバック

前走はエルフィンSで1着。直線で進路が狭くなる不利があったが、馬群を割ってくる勝負根性を見せてスウィープフィートを差し切った。時計のかかるタフ馬場で前半もスローだったので時計自体は平凡だったが、そんな馬場でも上がり33.9を使い瞬発力の高さを見せた。
とはいえ2着のスウィープフィートは先行して荒れた内を走るというキツい競馬をしていたし、着差を考えるとあちらの方が強い内容だった。3着馬の次走の結果を見てもそこまでレベルの高いレースではなかったか。
しかし瞬発力は非凡なものがあるし、展開に恵まれれば上位に好走してきても不思議ではない。アルテミスSではチェルヴィニアらに完敗だったが、あれから時間も経っているし、成長力次第か。

ステレンボッシュ

前走は阪神JFで2着。アスコリピチェーノの1列後ろのポジションで追走。直線抜け出すまでに少し前が詰まっており、追い出しが遅れる不利があった。そこから開いた内に切り込んで見せた一瞬の瞬発力は勝ち馬より勝っていたように見えたし、スムーズさや内外の馬場差を考えれば一番強い内容だったと言える。
過去4走で札幌・中山・東京・阪神と別々のコースを使われてきており、レース環境の変化への経験値や対応力が高そうなのは好印象。
今回はルメールからは乗り替わりになるが、鞍上モレイラで大いに期待できそうか。阪神JF組の中では最上位に評価したい馬。

テウメッサ

前走アネモネSで2着。良い末脚を使って追い込んできていたが、ペース・展開は差しに向いていた。
2走前の東京マイルの未勝利戦は、前が詰まって切り替えるロスがありながらも2馬身差つけての圧勝で強い内容だった。
関東馬で今回は初の阪神コースや関西輸送がどうか。
そこそこ強そうな印象は受けるものの、戦ってきた相手関係のレベルを考えると一枚見劣る感はあるか。

ショウナンマヌエラ

前走はチューリップ賞で15着大敗。スタート出遅れて逃げれなかったし、度外視はできる。が、同型もいたし仮に逃げたとしてもどうだったか。
前半マイペースのスローで逃げて粘りたいタイプだと思うが、今回も同型がいるし、この馬よりハイペースで逃げたい馬たちだと思うので、他馬との兼ね合い的に今回も厳しそう。

エトヴプレ

前走はフィリーズレビューで1着。33.8-35.1の前傾ラップで前に厳しいペースを逃げてコラソンビートを抑えて勝ちきったのは高く評価できる。ただ距離的にも桜花賞に繋がる内容だったかというと疑問は残るか。
これまで1200〜1400しか走っておらず、更に距離延長で初の1600となるのはどうだろうか。前走の勝利ジョッキーインタビューで藤岡Jも「乗った感触的には1400でギリギリ」とコメントしていた。
しかし、スローの楽逃げではなく前半から速いペースで逃げて後続の脚を削れるのは強いと思うし、逃げなくても競馬できているのは良い。短距離を走ってきただけにテンは早いだろうし今回も逃げるかも。
外目の枠を引いてしまったのはマイナスか。あるいは内の逃げ馬をマークして番手で追走できれば良いかもしれないが…。

セシリエプラージュ

前走はフィリーズレビューで2着。33.8-35.1の前傾ラップだったので後方から差しに回ったこの馬に展開は向いていた。阪神小回りで大外をぶん回して差し込んできた末脚は非凡なものがあったが…。
今回は外枠に入ってしまったし、鞍上も引き続きデムーロということで、今回も大外ぶん回し一択かなという印象。差しに展開向けば好走してきそうな感はあるが、それで今回のメンバー相手に上位入線できるかというと厳しそうな印象。

マスクオールウィン

前走はフェアリーSで2着。内枠だったがスタートで出遅れてしまい後方からに。後方2番手を追走から4角で大外を捲るように上がっていき2着まで追い込んだ。ペースは差しに向いたとは言え、負荷の大きい大雑把な競馬でイフェイオンとタイム差なしは評価できるし、出遅れていなければ勝っていたまである。
前走1600mでも折り合えたし距離は大丈夫そうか。あとは初の阪神コースがどうか。中山で非凡なコーナーリング性能を見せただけに小回りコースのほうが良さそうではあるが…。しかし出遅れなければ先行もできるし、前走見せた瞬発力は阪神マイルでも魅力的に映る。
1:32秒台くらいの高速時計での決着になるようではどうかだが、時計のかかるタフな馬場や展開になるようであれば向く可能性はある。
全く人気しないようであれば面白い存在。

チェルヴィニア

前走はアルテミスSで1着。中団追走から直線抜け出すと一気に加速し、サフィラらに2馬身差ほどつけて圧勝した。加速ラップでの勝利で非凡な瞬発力を見せた。
その後、阪神JFは左トモの違和感で回避。今回は久々で約5〜6ヶ月ぶりの実践となる。また阪神コースや右回りが初めてという不安要素はある。また、主戦のルメールJが負傷で乗り替わりになるところもネガティブな要素か。
しかし今回は栗東滞在の調整で輸送のリスクがなくて良いし、昨年10月時点で既に完成度が高く強かった馬が更に成長してきていれば頭が抜けている可能性はある。
大外枠がどうかではあるが、折り合いもつく馬だし、外から先行して良いポジションが取れれば好走は必至か。軽視はできない存在。

前哨戦のレースレベル考察

※以下レースが行われた順

阪神JF

【走破時計】1:32.6(34.4-34.4)
【L4F】46.2
【馬場】フラット
【展開】どちらかというと差し有利
【レースレベル】A+
【出走馬評価】ステレンボッシュ > アスコリピチェーノ > コラソンビート > スウィープフィート(出遅れ) > シカゴスティング

フェアリーS

【走破時計】1:34.0(34.7-35.1)
【L4F】47.4
【馬場】フラット
【展開】差し有利
【レースレベル】B+
【出走馬評価】イフェイオン(展開不利) ≧ マスクオールウィン(出遅れ) > キャットファイト(展開不利)

エルフィンS

【走破時計】1:35.1(36.4-34.5)
【L4F】46.6
【馬場】外伸び(タフ馬場)
【展開】先行有利
【レースレベル】B
【出走馬評価】スウィープフィート(馬場不利) ≧ ライトバック(直線不利)

クイーンC

【走破時計】1:33.1(35.4-34.4)
【L4F】46.0
【馬場】イン前有利
【展開】先行有利
【レースレベル】A
【出走馬評価】クイーンズウォーク(馬場・展開不利)

チューリップ賞

【走破時計】1:33.1(34.5-35.4)
【L4F】47.1
【馬場】フラット
【展開】差し有利
【レースレベル】B+
【出走馬評価】セキトバイースト(展開不利)≧ スウィープフィート > ハワイアンティアレ > ワイドラトゥール(展開不利)> ショウナンマヌエラ

フィリーズレビュー

【走破時計】1:20.1(33.8-35.1)
【L4F】46.3
【馬場】フラット
【展開】差し有利
【レースレベル】A
【出走馬評価】エトヴプレ(展開不利)> コラソンビート(展開不利) > セシリエプラージュ > シカゴスティング(展開不利)

アネモネS

【走破時計】1:34.6(34.5-36.0)
【L4F】48.1
【馬場】イン前有利
【展開】先行有利
【出走馬評価】テウメッサ(展開不利) > キャットファイト 
【レースレベル】C

まとめ

時期・馬場・競馬場の違いなどがあるので一概に時計が速いからと言ってハイレベルだったとは言えないが、それでも昨年12月という時期に行われた阪神JFが一番好時計なのは流石G1と言ったところ。
阪神JF(12/12)とフェアリーS(1/7)に関してはレースから3・4ヶ月の間隔があるので、ここの出走馬たちは当時より成長して来ると考えたい。逆にチューリップ賞以降のレースは1ヶ月程の間隔になるので、それほど上積みは期待できなさそうか。
本番が良馬場で行われた場合、例年通りであれば34秒台-34秒台という締まった流れになるはずで、この厳しい流れに対応できる馬を見極めていきたい。

今のところ気になっている5頭

  • ②クイーンズウォーク…不利な展開に逆行してゴボウ抜き

  • ③イフェイオン…不利な展開を不利な外枠から先行して勝った

  • ⑩セキトバイースト…前に厳しい展開を2着に粘る強い内容

  • ⑫ステレンボッシュ…阪神JFで一番強い競馬

  • ⑰マスクオールウィン…出遅れから大外を回す厳しい競馬で上位入線

最終的な予想は当日の馬場傾向などを見てから決めます。

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