見出し画像

ゲームレビュー 第一回「ENDER LILIES」

※※ 本記事は製品版リリース前のものです.ご留意のうえ,ご覧ください.※※

はいどうも,午です.

今回は2021/1/21にsteamでアーリーアクセスが開始されたばかりのインディーズゲーム「ENDER LILIES: Quietus of the Knights」について,個人的に好印象だったので,現時点でのレビューをしていきます.

開発は「Live Wire」https://www.live-wire.co.jp/
楽曲はすべて「Mili」が担当 http://projectmili.com/

※本レビューはバージョン0.6.2時点のものとなる.

0.ゲーム概要

ジャンルはいわゆるメトロイドヴァニア系と言われる,「2D横スクロールアクション」「2Dの広大なダンジョンの探索」「キーアイテム等の取得により探索可能範囲が増える」といった要素を持ったゲームになる.

ストーリーはsteamストアページより引用すると

昔々、彼方の「果ての国」にて。突如降り始めた「死の雨」は、
生きとし生けるものを狂暴な生きる屍へと変貌させた。
人智を超えた悲劇に成す術もなく、王国は滅びた。
呪いであるかのように、止まない雨。
滅び果てた世界の、ある教会の奥深くで
少女「リリィ」は目覚める。

引用:steamストアページ

プレイヤーはこの記憶をなくした少女「リリィ」を操って探索しながら,ここで何が起こったのか,ここはどういう世界なのか,少女はどういう存在なのかを知っていくという流れになる.

1.雰囲気の統一感

このゲームの特徴的な部分を一つ挙げるならば,全体の雰囲気であろう.

「退廃的な世界観」に対して,ヴァニラウェアのゲームを思い起こさせるような「繊細なタッチのグラフィック」,ゴブリンスレイヤー等で如何なく発揮された Mili のピアノを基調としたファンタジー的な「悲壮感溢れる音楽」の統一感が凄まじい.
要素要素がしっかりとこのゲームの雰囲気を作るのに寄与しており,この作りこまれた雰囲気がこのゲームの最大の魅力となっている.

画像1

筆者の好きな場面はこの「浄化」の場面.画面全体がモノクロとなったことでリリィや浄化の光の白さが際立っており,この後入る生前の記憶の描写も相まって,毎度毎度感極まってしまう.

2.ゲームとしての面白さ

この作品はあくまでもゲームであるので,雰囲気だけでなく面白さも当然必要である.ここでは以下の3点について述べる.

・バトルシステム
・盛り上がり
・試行

2-1.バトルシステム

バトルシステムは,基本的には「回避」を利用して敵の攻撃をかわしたり背後に回ったりしつつ「攻撃」を行うという単純なものとなっている.「回復」はセーブポイント間で使用可能な回数が決まっている.

画像2

「攻撃」に関して特徴的なのは,デッキを組んで戦う方式で,メインスキルとサブスキルを合わせて3つのスキルで1デッキを構成する.道中では2つのデッキを入れ替えることが可能で,デッキの編成はセーブポイントのみで行える.

スキルは,メインであれば大ボスを,サブであれば中ボスを倒すことによって獲得でき,道中にあるリソースによって段階的な強化が可能になっている.スキルの中には,カウンターを行えるもの,一定時間自動で追尾弾を打つものなど有用なものが多く,3つの枠の使い方をいい意味で迷わせてくれる.スキルはものによって回数制限が設けられており(セーブポイントでリセット),強めのスキルを打ち過ぎないようになっている.

画像3

倒したボス(元は人間)に関するフレーバーテキストも凝っており,その背景によって,より愛着を沸かせてくれた.

2-2.盛り上がり

バトルの戦略性とは別に大事なのは,バトル(特にボス戦)で以下にノれるかである.この点に関しては音楽が一役買っている.

このゲームの音楽,曲自体の良さは先述の通りだが,この曲が頻繁にシームレスに変化している(これは,ここ数年増えてきたインタラクティブミュージックという技術を使用したものになる).道中ではマップの切り替わり,中ボスとの戦闘において,曲の進行やボーカルの有無がいつの間にか変化しており,大ボスとの戦闘ではHP減少による攻撃パターンの変化とともに曲の段階的変化も発生している.

音楽以外にも多種の要因があるが,これらによって印象的なゲームプレイを作り出している.

画像5

2-3.試行

これはメトロイドヴァニア系お馴染みの要素で,このゲームでも隠し通路が多くある.怪しい窪みを見つけては隠し通路があるのではないかと入ってみるといった試行を沢山行う.こういったメトロイドヴァニア系の面白い点はしっかり踏襲されていた.

3.改善点

正直,全体としてのクオリティは十分と言えるほど高い.従って,内容はかなり細かい部分になる

バトルバランス関連

敵衝突時のダメージ

基本的なバトルシステムに「回避」しか敵の攻撃をやり過ごす手段がないため,「回避」回数が必然的に多くなるが,ミスをすると敵に衝突してダメージをもらってしまう.無敵時間もほぼ無いため,一気に窮地に立たされることも多く,もう少し減らしてもらいたい.

音関連

SE(水たまり着地時,雨の降っている外と屋内の足音・回避音)

正直,今のままでも問題はないものの,足音や回避音がほとんど1パターンのようだった(薄い水面を歩く音は異なる).屋内と雨の降る屋外とですら変わらなかったので,もう少しバリエーションがあると嬉しい.また,薄い水面でジャンプをした後の着地時になるSEがかなり大きい水音だったので,もう少し抑えてもよいのではと感じた(足音の「ピチャピチャ」に対して「ザッバーン」).

画像4

UI関連

上下左右のループ

さすがに製品版ではあると思うが,システム画面の最左と最右や最上と最下の行き来ができなかった.だいたい5項目ぐらいは並んでおり,毎回カーソルを移動させるのは面倒なので,是非とも実装しておいてもらいたい.

その他,マップへのショートカットは欲しいと感じた(右上の表示だけだと隣の部屋でさえ見切れることが多いため).

4.まとめ

筆者は3時間程度のプレイ時間だったが,どっぷりと世界観に浸って楽しむことができた.

雰囲気が気に入って,メトロイドヴァニア系のシステムが嫌いでないのであれば,十分楽しめると保証する.

製品版は2021年春くらいとのことなので,是非期待したい.

画像6

余談

筆者はここ半年ぐらいでインディーズゲームにハマった「にわか」ということもあり,同じメトロイドヴァニア系のインディーズゲームで有名な「Hollow Knight」をまだやったことがない.今度買って是非ともやりたい.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?