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天皇賞・春 二強対決では決まらないという格言


5月1日は天皇賞・春である。伝統と格式の高いステイヤー頂上決定戦、様々な名勝負が繰り広げられてきた。スタミナ自慢のステイヤーと鞍上の思惑、駆け引き、道中の折り合い、そして仕掛けと最後の叩き合い、そういった見どころが多いのが長距離戦の醍醐味であろう。

阪神3,200mというコースの考え方

通常は京都競馬場の3,200mで開催されるが、今年も阪神競馬場である。近年、開幕週の京都での開催では、スタミナだけでなく、ディープ産駒にみられるキレも要求される傾向が強かった。しかし、阪神開催だと趣が異なってくる。昨年の阪神開催の天皇賞・春については、当初から11秒台が続く緩みのないラップで進み、2周目向正面では一旦は緩むものの、3コーナーを回ったところで戸崎のカレンブーケドールが先に仕掛け、その後各馬が置いていかれないよう一気に前に進み、激流となったものの、坂で各馬止まり、上がり37秒4と掛かる形となった。極めてタフなレースとなった。よって京都で開催される天皇賞とは異なる適性が求められるレースと言ってもよいかもしれない。

阪神3,200mはスタートしてから1周目は外回りコースを回るので、スタートしてから最初のコーナーまではやや距離がある。従って、位置を取りたい馬からすれば発馬五分ならすんなりとポジションを取れるだろう。枠の有利不利はそれほどはないと考えており、外枠に入った有力馬にしてもスタートを無難に出していければ、3-4コーナーのあたりで概ね位置が取れる形になる。そして4コーナーから直線で隊列が決まるだろう。その後は折り合いを見ながらではあるが、2コーナーから向正面にかけてペースは緩み、各馬折り合いがつけられるかがポイントとなりそう。そして2周目は内回りであるため、直線が短いことを踏まえれば3コーナーからロングスパートに持ち込む馬が多くなり、一気にペースが流れる。そして
ロングスパートを仕掛けるとして、直線では坂があるので、そのときにどのくらいお釣りが残っているか、がポイントとなろう。

さらに、明日は雨予報ということでもあるため、それこそ消耗戦の様相を呈してくる。極めてタフな競馬となる。よってそういった適性が思いっきり求められる形になる。

二強対決では決まらないという格言

さて、今年はG1馬がタイトルホルダーだけとやや小粒なメンバーとなった。その中でG1で好走した馬がディープボンドとタイトルホルダーであり、この2頭が前哨戦を無難に勝ち上がってきているわけであるので、二強という構図となっている。

過去二強で決まったレースがどれほどあっただろうか。

あの、1996年の、伝説の阪神大賞典を戦ったナリタブライアンもマヤノトップガンも本番では勝てなかった。私も本番はナリブ-トップガンの馬連1点で勝負し、撃沈したトラウマがある。2017年もキタサンブラック-サトノダイヤモンドの二強にシュヴァルグランが割り込んできた。リンカーンもネオユニヴァースも来ず、イングランディーレが逃げ切ったということもある。二強対決なので、という訳ではなく、二強の死角は?と考えることが多くなったように思う。

今年、実は一強!?

今年のメンバーを見たとき、二強、というわけではなく、素直にディープボンド1強という見方を取りたい。切れ味がある馬ではないものの、長くいい脚を使う、ロングスパートが効く、スタミナ豊富で道悪もこなせる。ズブさはあっても、和田竜二の闘魂注入に応えてくれる、そういう馬だ。

今回については、ほぼ完成されており、ここは本命で構わない。

タイトルホルダーは自分でレースを組み立てられる強みがある。正確なラップを刻んで澱みのないペースを作り出し、緩めるところはあっても、早めにスパートを仕掛けて後続に脚を使わせて逃げ切りを図る形で勝ってきている。前走の日経賞はやや緩いペースにしてしまったところもあり、僅差の勝利だったが、これでも押し切り、安定感が増したような感じだろう。今回は大外枠であるが、単騎で行く形となろう。但し、常にマークされる存在であること、他馬よりも先にスパートを掛けざるを得ないため、坂ではお釣りがほぼない状態となる心配がある。その点、逃げ馬という特性上、不利な立ち回りを強いられる点は留意が必要だろう。

アイアンバローズは、前走、遅いペースの中、鞍上と喧嘩をしていたものの、それでも直線脚が残っていたなど、スタミナは豊富である。スピード勝負ではなく、スタミナ勝負ならこの馬も得意とするところだろう。内枠で好位に進むことができれば上位進出もある。

マカオンドールは前走、スローペースの中、後方から進んだことが災いし、結果届かなかったが、追い切りでは前進気勢を取るなどしており、鞍上がゴーサインを出せば素直にスパートをかけられるだろう。スタミナも問題なく、坂で前が止まるときにまとめて差し切ってしまう、という展開もなくはない。

テーオーロイヤルは前走のダイヤモンドステークスでは、好位追走から直線では一気にのび、圧勝という感じであった。前走は54kgであり、今回そこからプラス4kgで望まなければならない点は割引だろうが、まだ底を見せておらず、不気味さがある存在。

ロバートソンキーは、前走3勝クラスであり勝たなければならないところを取りこぼした。休み明けで馬体増が響いた形だったか、あるいは鉄砲駆けしないタイプなのか、伸び切れなかった。しかし、コントレイルが三冠を取った、一昨年の神戸新聞杯では内をうまく捌き3着に入ったが、実はディープボンドよりも上位入線であり、本番の菊花賞でも後方から進んで6着にまで伸びているなどスタミナと地力はこのメンバーでも上位である。

結論

◎ディープボンド
○タイトルホルダー
▲ロバートソンキー
⭐︎アイアンバローズ
△テーオーロイヤル
△マカオンドール
△ハヤヤッコ

馬場については、明日の雨の降り方次第ということでもあるが、極めてタフとなりそう。トラックバイアスについては明日の8レースを見て、という感じにはなる。

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