おしゃべり日記(正田宇奈の場合)

私の頭の中には、小劇場がある。
劇場では私の反芻した出来事や思ったことが演目として出ている。
その中の一つが、おしゃべり日記。語り手が今日の出来事を語る。その語り手はたくさんいる。
その中の一人がダウナー系の打田宇奈(うつだうな)だ。私は社会的弱者だ。なのにもかかわらずこの劇場の人々は明るい人が多い。そのせいで私のメンタルは鋼である。人から見たらはた迷惑である。そんな劇場の中で、暗めの性格をしているのが打田宇奈だ。暗めの性格なので、当然観客のウケはよろしくない。愚痴っぽいことを永遠と語るので溜まったもんじゃない。鬱な女の子という一面もある。メンヘラをブーストしているのもこの子だ。

「さて、いや、やりたくないな〜!」

ブーとブザー音が鳴る。
「は〜、やりたくない。めんどくさい。こんな日記書いてるの正気の沙汰じゃないよ……。年というものを考えてよ。大人になりたいならいつまでもこんなことしてるんじゃないよ。読み返したとき、絶対後悔するよ。何歳でもバカやってるって。誰かに読み上げられても責任は取れないことも理解してるんだろうけど。やってること、自分で上げた動画のコメ欄に自分のサブ垢から指摘を受けて、『そうじゃないよね!がんばらないとね!』って言ってるやつと同程度だよ。は〜あ、こりゃ死んじまいたくなる。
日記?ああそうだった。今日は鳥をたくさん見た。ハシブトガラスとキジバトを見た。ハシボソガラスかもしれないが、たぶん、くちばしを見るからしてハシブトガラスだろう。キジバトは巣を作る途中のようだった。ハトの巣は結構簡素で適当な作りをしている。燕は土くれや唾液を使ったり、雀は人工物を利用したりしている。鳩は枝かなにかを適当に積み上げるだけらしい。鳩は抱卵する期間が短いらじい。そのため簡素な巣でも許されるのだろう。

そしてまた社会でミスを犯した。恥をかいた。周りからも蔑まれている。転んでもなお自分の正当性を信じてやまないのは病気かなにかだと信じたい。以上だ。」

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