あゝ素晴らしき場末よ、永遠に2

麻雀打ちの天国について

そんなことを考えさせられた話です。

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麻雀がしたい。

平日の夜、たまたま仕事が早く終わり時間が空いた。
僕が住むところは田舎につき、よく行く雀荘までは車で30分かかる。

もう少し近い店ねぇかな……
そんなことを考えながらスマホで店を調べる。

以外とすぐに見つかる、行ってみる、店が無い…そんなことを三回は繰り返した。

次調べた店がやってなかったら今日は止めようか…
そんなことを思いながらあまり期待せずに行った四件目、窓ガラスに「麻雀」と書かれた建物があった。

さすがに電気もついてるし、やってるだろう…と店に近づく。
ドアを開ける、反応は無い。麻雀牌の音だけが響く。
店に入ると一卓立っていた。一人でテレビを見ていた人がこちらを一瞥し、すぐ画面に戻る。

テレビを見ている人に近づくと、奥から人が出てきて「いらっしゃい、フリーすか?」と言う。腕のタトゥーがまぶしい。
「はい、初めて来ました」
「あー、ありがとうございます、じゃルール説明しますね」とのこと。

かなりスピーディーな説明だったが、某有名チェーン店とほぼ同じルールなことだけは分かった。

「以上っすけどなんか分かんないとこあります?」雰囲気は明るいが少し怖いお兄さんに聞かれ、大丈夫だと伝える。
「じゃあ今東場なんで、これともう一半荘待ってもらってそれがラスの人と交代でお願いします」

「!?」
さすがに驚いた。二半荘待つのにも客を抜けさせるのにも驚いたが、まあ田舎の雀荘だからそういうこともあるのだろう。

というわけで待つことになったのだがなかなか卓速が遅い、来た時には始まっていた半荘は一時間経っても終わらなかった。

その間はぼんやりテレビを眺めつつ、さっきのお兄さんとテレビを見ていた人と少し話していた。テレビを見ていた人はお客さんだったこと、お兄さんは店長だったこと、平日でもほぼ卓が立っていること、それなりにお客さんがくること…

そんなことを聞いているうちに気づいた。「あぁ、ここはここら辺の人の天国なんだな」と。

おじいさん4人の卓は「ドラ切るのが早え!」とか「なんだその待ちは!?」とかたまに罵声も混じりつつ、とにかく楽しそうなのだ。
田舎で暇なおじいさんがほぼ毎日麻雀を打ちながら軽く雑談をする場所、それがここ。
まさしく天国だろう。

自分もそんな未来を夢見つつ、いい加減麻雀打てないかなと思い始めた一時間半後、お客さんが二人きて卓をもう一卓立てることになった。

やっとこさ打てる…と思い卓に付く時に、ふと隣の卓を見たら衝撃を受けた。

「隣の卓REXX3じゃねえか!」

待ち席や今から座る卓は確かに昇竜だ。いかにも田舎らしくて良い。
だが隣のおじいちゃんが囲んでる卓は違う、どう見ても最新のREXX3だ。

卓の種類は店を表すと個人的には思っている。
一卓でもREXX3があるだけでも雰囲気がまるで違う。

すげえやこの店、急に真新しい店に見えてきたわ、
おーあのじいちゃん点箱と繋がる穴に点棒投げ入れてら

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