魚力〜それは食べることへの感謝をおしえてくれた〜

渋谷はいつだって混んでいる。このコロナが蔓延している時期にだっていつもと変わらず馬鹿みたいに渋谷に集合をしては、あちらこちらで不要不急話に花を咲かせては、不要不急の話は終わる。今その話をしないといけないのか????は???集まっている場合では無いだろう。渋谷なんて不要不急を権化した街なんだから。

さて、そんな渋谷を横目に渋谷の汚い汁(通称:渋汁)まみれのセンター街を直進し、渋谷で怪我すりゃお世話になるみんなの薬局ツルハドラッグを超え、おじんおばんの住処となった東急百貨店の奥に、名前の通り’奥渋’と呼ばれるオシャレで丸眼鏡好きの、コーヒー好きの、ヤングマンが集まるサードウェーブの波に飲まれた街がある。余波では無い。サードウェーブはここから始まったのかもしれない。奥渋周辺にいる人たちのことは、サーファーと呼ぶことにしよう。ここのサーファーはやけにコーヒーが詳しいし、丸眼鏡が多い。波に乗れなきゃ入店すらも許さない。そんな面構えのお店もあるくらい。サーファー等御用達の街だ。てめぇら、波の上では眼鏡を外せ!!!!!生まれたままの顔で波を浴びろ!!!サードウェーブはドスパラだ!!

さてさて、そんな奥渋に大好きなお店、魚力がある。呼び方はウオリキ。魚に力と書いて魚力。魚屋なのだが定食屋でもあり、新鮮な魚をどぷん!と皿に乗せ、こんもり盛ったホクホクなご飯に、一口すすれば二日酔いが飛ぶ出汁のきいたしじみの味噌汁が定型だ。初めて入店する未来のサーファーのみなさまに教えておこう。ここでは入口で、メニューの書かれた札を取り、1人なら1階のカウンター、2名以上であれば2階に案内される。何故札?????と思ったものだが、ここのシステムには驚かされる。札の裏に数字が書かれているのだ!!そう、幼少期に食べたあのガリガリ君のように、もしかして全部外れじゃね?と思うほどに「当たり」が出なかったあのアイスのように。心配するな、魚力の札はよく当たる。当たれば儲けもの。一品小皿の品が無料でもらえるという仕組みになっている。いつも納豆を頼む。

魚力の魚メニューは豊富だ。鮭の塩焼き、サバの味噌煮、なめろう、刺身...どれを食べても絶品だ。いつも鮭の塩焼きとサバの味噌煮が半分づつ皿に乗っかったハーフハーフを頼んでしまう。やめられない。

席に着くや否や、この当たり付き札の確認が終わり、おっ今日も当たったなと気分良く待つのも束の間、すぐにご飯はやってくる。気前の良いお母ちゃん達が美味しい美味しいご飯を運んできてくれる。この瞬間が幸せだ。
サービスでおかわり自由のヒジキをご飯に乗せる。ここのヒジキは味が濃いのだ。この濃さがホクホクの米と非常に合う。米をかき込み、そして味噌汁をすする。これだけで精神と時の部屋に入った気分だ(入ったことは無いが。)そして、サバの味噌煮を一口。

うまい、うますぎる!!!!

サウナー達はサウナと水風呂、そして休憩。そしてサウナ。と、繰り返すことでやってくる至高の瞬間を「整う」と表現するが、ご飯でもその瞬間はやってくる。まさに整うのだ。米に味噌汁、そしてサバの味噌煮もしくは鮭の塩焼き。そして米。味噌汁は水風呂と言ったとこだろう。濃いヒジキの味を味噌汁がまろやかに流す。そこに味噌煮を書き込む。この繰り返しで整った状態になれば、もう箸は止まらない。食べることが幸せなのだ。味もそうだが、食べることに感謝をする。食べることはそれほど尊いことなのだ。食べる時に余計なことを考えてはならない。この魚力が出す料理の事だけを考える。雑念あらば整いはしない。ありがとう、魚力。また来たくなる味をいつもありがとう。食べることの幸せを教えてくれてありがとう。

ちなみに、魚力では米を残してはいけない。その心意気がまた好きだ。最後の最後、一粒も残さず食べきる。お腹だけでなく心も満たす。今日も腹一杯で幸せだ!

今回の飯も良かった。また行こう。

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