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勝て、ダノンベルーガ 〜ドバイWCを控えて〜

ダノンベルーガ

共同通信杯で初めて君と対面した時、
パドックでなんて綺麗な馬なんだと感激したことを今でも覚えてる。
鹿毛の光る馬体、ほどよく引き締まったトモ、
内から漲る活力を讃えた瑞々しい瞳。

それらに違わず、稍重の東京競馬場を難なく駆け抜けた、底知れぬ実力に、
鋭く流れるようなストライドの広い末脚に、
来たる華々しい未来を思って心躍ったことを覚えてる。

2022年 共同通信杯

「勝ってくれ」
思わず溢したその言葉を恥じらい、引っ込めそうになるほどに、
君は綺麗だった 強かった。
ああ、これがG1馬の大器だと、そう思った。

……だからこそ、同期の栄達に僅差及ばなかったクラシックは、歯痒かった。
実力馬と互角に渡り合い、それでも届かなかった古馬G1は、本当にもどかしかった。

同年 日本ダービー
同年 天皇賞(秋)

期待の新星と目されながら、一歩及ばなかった直線
あの逸材すら超える、天才たちの凱旋

いつしか、周囲が彼に向ける歓声は立ち消えてしまった。
その様子を肌身で感じて、僕は悔しかった。

……僕なんかより
ただ一人の観客にすぎない僕なんかより、
陣営さんが、騎手さんが、馬主さんが、
そして何より、彼自身が一番悔しいはずなのに、
こみ上げてくるやるせなさは、今までより一層あの言葉を呟かせた。

勝て、ダノンベルーガ

あの共同通信杯で、願った最初の言葉
彼に向けた始まりの言葉

勝て、ダノンベルーガ

皐月賞も、ダービーも、秋天も、ジャパンカップも
この言葉を祈った 呟いた 叫んだ 信じた。

君が出走するならと、いつでもどこでも赴いた。
次走を何度も調べ、調教映像も必ずチェックした。
お守りを持って、食い入るように眺めてた。

敗北に泣いたあの時も、
下馬評に唇を噛んだあの時も、
絶対君が勝つって信じてた。

僕は今でも信じてる。
君が必ず勝つって 信じてる。


――来たる、2023年3月25日。
ドバイワールドカップデー第7戦目、ドバイターフ(G1)に、君が出る。

相手にはあのダービーの覇者ドウデュース 同期のエースも出走する。
強豪古豪、古今東西の優駿が一堂に会する。

それでも僕は信じてる。

日本と違って君を直接観に行くことは叶わない。
声援は当日の配信を通じて送る他ない。

それでも、僕は信じて、叫ぶんだ。

「勝て、ダノンベルーガ」

追記(3/24現在):ドバイターフに共に出走予定であった同期馬ドウデュースが、跛行により出走取消となってしまいました。彼もまたダービー含め様々な夢を与えてくれた思い入れの深い子であった分、突然の報道に驚きを隠せません……。(もっとも競走中のアクシデントを未然に防げたと考えれば、不幸中の幸いだったのでしょうか。とはいえ、残念……。)

ベルーガには尚の事勝たなければならない理由が増えたのかもしれません。

ドウデュースの分も、新コンビ モレイラ騎手と異国の芝生を駆け抜け、託された夢に邁進する彼の姿をこの目に焼き付けたいと思います。

※画像引用元※
【一枚目】https://tospo-keiba.jp/breaking_news/13526
【二枚目】https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=199728
【三枚目】https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2022/05/29/kiji/20220529s00004048508000c.html
【四枚目】https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=211662
【五枚目】筆者所有の入場券&ダノンベルーガ馬券


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