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ハンドル操作とトロンボーンは似ている

「車の免許は取らない!」
と十年以上言い続けた、わたしが免許を取った。

きっかけは、引越し。
駅まで徒歩10分圏内に30年住み続けたわたしが、
駅までバスで30分以上という地域に移住した。
1歳の子供を持つわたしは、免許が必須になった。

学科も難しいが、何より運転が難しかった。
ハンドルをこのくらい回すと、この角度が曲がれる、みたいな明確なものが無いから。
「大回りになっちゃったね〜次は気を付けてみて〜」と言われても、何をどう気をつければいいの?もう角度でどのくらい回せばいいのか教えて!!という気持ちで50分間の技能の授業が終わる。

授業を重ね、少しずつ感覚を掴んできたとき
「あ!ハンドル操作はトロンボーンと一緒だ」と思った。

小学6年生から始めたトロンボーン。
トロンボーンはピストンの変わりにスライドがあり、スライドのポジションを変えることで音を変えていく。トロンボーンを実際に吹くまで、恥ずかしながらわたしは「カチッ」とスライドが止まる場所があると勝手に思い込んでいた。因みに○番はここだよ〜という目印も無い。ポジションも「大体このあたり」みたいな感じで、人によってはこの音は高くなるから低めに取るなど、これが難しくもありトロンボーンの魅力。

トロンボーンのポジションを掴む感覚と、車のハンドル操作の感覚が似ているように思ったとき「トロンボーンを演奏出来ていたなら、ハンドル操作も出来そう!!!」と前向きに捉え、運転が少しずつ楽しくなってきた。

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免許を取得してもうすぐ1年。
実はこの記事は昨年の6月から下書きに入ったままだった。
息子になにかあったら、事故を起こしてしまったら、色んなことを考えるとなかなか息子を連れての運転に踏み出せなかったが、この地域で車の運転なしに生活することは難しい。
近くのコンビニに行って、息子と昼食とご褒美のお菓子を買おう。支援センターに行って、息子と遊ぼう。幼稚園の親子教室に参加して、息子と遊ぼう。億劫な運転も、楽しいことがあると一歩踏み出せる。トロンボーンも最初から吹けた訳じゃない、きっと運転だって出来るようになる。


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