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「タンヤオ確定」と「高め三色」の選び方


こんにちは!ウルトラ立直ことうるりです。


先日Twitterでいいねが多かったタンヤオと三色の選択ルール。

今回はこの2つのルールについて説明します。
(2022.12.27 テンパイ時の考慮について追記)




タンヤオを確定させるか、三色を狙うか


一向聴で平和とタンヤオ、そして三色が見える良形確定の勝負手ですね。

2mを切ってのタンヤオ確定と5mを切って1mの安めがある高め4m引きタンヤオ三色。どちらを狙えばいいかパッと判断できますか?

判断できた方!おめでとうございます。
帰っていただいて結構です。解散。

悩んだり思いつかなかった方!
次の2つのルールを意識しておけば失敗が少なくてすみます。

ルール① 三色に必要な牌が残り1種の場合は三色

ルール② 三色に必要な牌が残り2種の場合はタンヤオ


この2つだけです。
イメージしやすいように具体例を挙げると下のような牌姿です。

4m1種で三色が確定するためルール①で5mを切る


三色確定には4mと2sの2種が必要になる為ルール②で2mを切る

この2パターンです。

ほんまか?


ほんまにそんな簡単なことなんか?



では何故そうなるのかを一応、念のため、なんとなく納得してもらうため、以下で説明します。




①三色に必要な牌が残り1種の場合

完全一向聴に取る場合2mか5mの選択です。
2mを切った場合は3647m58p、5mを切った場合は1436m58pで聴牌します。36mの縦受けはどちらもタンヤオの58p待ち聴牌になり同質なので比較するのはリャンメン部分の受けです。

○リャンメン受けの比較
すべての牌を等しく引いてくるものとします。
三色に必要な牌が残り1種類の場合は5mを切ると聴牌時か和了時に1mと4mのうち4mを引くだけで三色になるので二分の一でタンピン三色になります。
言うまでもなく2mを切った場合はタンピンが確定します。

ここで和了時の打点について考えます。

三色を狙った時萬子リャンメンの聴牌時か和了時の牌が
1mの場合:リーチ平和で2000点のリーチ手
4mの場合:リーチ平和タンヤオ三色の5ハンリーチ手
また、2mを切ってタンヤオを確定させた場合
2m切:リーチ平和タンヤオ3900点のリーチ手
として考えることができます。ここからツモや一発、裏ドラが発生します。

「統計で勝つ麻雀」※1によると和了時の期待打点は
2000点リーチ:3700点
3900点リーチ:6200点
5ハンリーチ:11100点
となっています。

三色狙いは二分の一で三色が成立すると考えると平均期待打点は
(3700+11100)/2=7400点となりタンヤオ確定の6200点を上回ります。

手牌の受け部分以外にドラが含まれている場合も同様に三色狙いが上回ります。

もちろん実戦では4mよりも1mの方が圧倒的に出やすいですがそれでも影響が出るのは聴牌時に萬子受けが残って更に自分でツモらない場合、
(リャンメンリーチ和了時ツモ割合について「統計学」の麻雀戦術※2では8巡目で56%、新科学する麻雀※3では25.58待ち先制リーチの場合どの巡目でも55%を下回らずおおよそ60%強)
尚且つ他家から1mが出た場合だけです。この場合も1mが出ずに流局するよりは有利になります。
また4m引きは終盤の満貫ダマテンの選択を取ることもできます。

よってルール① 
「三色に必要な牌が残り1種の場合は三色を選択」を採用します。



②三色に必要な牌が残り2種の場合


先程と同様、完全一向聴に取る打牌は2mか5m。
但し今回の場合は三色になるのは4mと2sを両方とも引けた場合のみです。

では和了時の打点を考えます。

三色を狙った時萬子リャンメンの聴牌時か和了時の牌が
1mの場合:リーチ平和で2000点のリーチ手
4mの場合かつ索子が5sリーチ平和タンヤオ3900点のリーチ手
4mの場合かつ索子が2s:リーチ平和タンヤオ三色の5ハンリーチ手
また、2mを切ってタンヤオを確定させた場合
2m切:リーチ平和タンヤオ3900点のリーチ手
として考えることができます。ここからツモや一発、裏ドラが発生します。

萬子部分は二分の一でタンヤオが崩れ、さらに索子部分も二分の一で三色が崩れます。
萬子と索子の組み合わせは(1m,2s)(1m,5s)(4m,2s)(4m,5s)ですね。

平均期待打点はルール①の時と同様に
「統計で勝つ麻雀」※1の和了時期待打点から考えます。
2000点リーチ:3700点
3900点リーチ:6200点
5ハンリーチ:11100点

(3700+3700+6200+11100)/4=6175点となり極微差ですがタンヤオ確定の6200点を下回ります。

よってルール② 
「三色に必要な牌が残り2種の場合はタンヤオ」を採用します。

但し注意するのはルール①のパターンよりも差は少ないというところです。



NAGAによる解析

麻雀AI「NAGA」による牌譜解析を行いました。

ルール①と②についてNAGAの解析を載せておきます。

ルール①明確に5m。
ルール①かつドラ1枚。明確に5m。
ルール②ドラ0枚 NAGAは5m優位
ルール②ドラ1枚 微差だが2m
ドラ1赤1 明確に2m


ルール②についてはドラ0の場合5m優位と出ました
ただルール①における差よりは少ないこととドラ1枚以上の場合は2m優位と出る事から失敗しにくいルールとしてはいいかなと思います。
もともと先程示したデータ上でもルール②のドラ0は微差、ほぼ差がない状態ではあったので低打点での三色による打点上昇の強さを再確認できました。
解析図で示したようにドラが増える毎にタンヤオ優位に傾いていきます。
これは満貫以上ではハン数アップの打点上昇率に制限がかかる為と推測できます。

あえて付け加えるとルール②は
ドラ0を除き「三色に必要な牌が残り2種の場合はタンヤオ」を採用
というところでしょうか。



基準から意図的に外す場合


さてルール①と②はあくまで等しく牌を引いてくる場合について考えていますので実戦では4mが何枚か場に見えていたりすることもあるでしょう。
また平場について考えていますので確実に跳満の打点が必要になるケースもありますね。
逆に南3以降のトップ目など打点が必要ではなく和了を重視するケースもあります。

4mの見え方についてはルール①では1枚程度ならまだ三色が有利でしょうか。2枚見えになると三色成立パターンが少なくなりますのでタンヤオ確定をオススメします。ルール②の場合は1枚見えで微差なので2枚見えとなるとよりタンヤオ確定を重視。こちらはルール通りですね。
また、オーラスなど確実に跳満の打点が必要になるケースではリーチ後1mをツモって来てもツモ切って4mツモを期待するといった選択肢を持っておきましょう。
南3トップ目など打点よりも和了での局の消化が重要なときはルール①に囚われずタンヤオ確定をさせておけばどこからでも副露できるようになりますのでタンヤオに受けましょう。


テンパイ時の考察(2022.12.27 追記)


テンパイ時に選択が残ったケース

さて今までは一向聴時の選択について考察してきました。
①でも記述した通り、一向聴の段階ではタンヤオ三色が成立しない安めの牌とタンヤオ三色が成立する高めの牌をツモってくる確率が大きく変わらないはずなので先に高めが埋まってしまえばテンパイ時に考慮しなければいけない安めの出やすさを除外できたからです。
ではテンパイ時にタンヤオ確定か高めタンヤオ三色を選択する場合はどうでしょうか。

流石に安めロンあがりが多くなるから2s切りでしょうか。
NAGAさんにも聞いてみましょう。


NAGAによる解析(追記分)

ドラ0
ドラ1
ドラ1赤1
高め残り2枚
高め残り1枚(そもそも58sより枚数も少ない)でほぼ互角

すべて大差で高め三色を狙うリーチとなりました。

ドン引きです。三色おじさんじゃん。

ドラ0はまだしもドラ1以上は2s切っていいかなと思っていました。
あくまでNAGAの判断ですので別のAIはどうするか、強者の選択はどうかなど御意見頂ければうれしいです。

当然考慮すべき事項
・影響が出るのはロンの時のみ
(但し先に安めが出てしまい高めをツモできるチャンスが減る可能性がある)
・NAGAは天鳳(ラス回避麻雀)をベースにしている為そもそもロン和了は収支戦より低下する可能性がある。

~ドラ1以上の場合~
・安めの和了でも一発・裏ドラがあり7700点以上になりやすい。
・満貫以上では1ハンが無駄になり、かつ点数の増え方が減衰する。



おわりに

ざっくりとですが2つのルールの内容を説明させて頂きました。
NAGA解析を行うことで私としても改めてルールについて考える機会を得ることができました。
こういうのは実戦中に時間を使って考えることではないのである程度の基準を事前に設けてプレイに落とし込んでいけるといいですね。
今回の場合に限らず三色は残り1種で確定する場合2ハンの打点寄与が大きいため残すことがほとんどです。
他のパターンや例外について思いついたらTwitterやコメントで教えて下さいね。

ここまでご覧頂きありがとうございました。

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記事作成者
うるり/ウルトラ立直(10代目天鳳位,魂天)
記事作成協力者
pawa(天鳳十段)
本長浩斗(最高位戦日本プロ麻雀協会,天鳳九段,三麻魂天)

参考文献

  • ※1 福地誠.みーにん.「統計で勝つ麻雀」.竹書房,2015,p85

  • ※2 みーにん.「統計学」の麻雀戦術.竹書房,2017,p26

  • ※3   とつげき東北. 新科学する麻雀.ホビージャパン,2021,p47


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