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「TON PARIS 」 茂田井武

永井さんに僕がいかに影響を受けているか今回改めて実感した。ブックレビューの本を探しているうちに思い浮かぶ本が永井さんに教えてもらったり、永井さんの本を読んで知ったものがいかに多いかわかったからだ。

今回の「TON PARIS」はその中でも僕の宝物と言っていい。
茂田井武の「 TON PARIS」のことを永井さんが本『BOOK OF LOVE』について書いていて、へえ茂田井武が好きなんだ?と意外に感じたのを覚えていた。なぜなら僕の中ではこの本に出会うまで『セロ弾きのゴーシュ』などの絵本作家だったからだ。ぼくが絵本好きでなければ、おそらくスルーしていただろう。

たまたま西荻の行きつけの本屋が茂田井武の絵本を売っているのでよく通っていた。そこになぜか既に絶版になったはずのこの本が置いてあった。どうやら、群馬県の大川美術館で企画展の際に再販してたまたま残ったので買い取ってきたとのこと、「これが最後なんでもう手に入りませんよ」お店の女の子に言われてすぐに買って帰った。3800..円だったが、こんな貴重な本、僕には安く感じた。

持ち帰ってゆっくりゆっくりページをくりながら眺めた。
画家になると決心してシベリア鉄道にのりパリを目指した、だれかに弟子入りすることもなく、皿洗いをしながら独学で絵を学んだ彼のアーチストとしての魂のようなものがにじみ出ている。

永井さんがなぜこの本を選んだのか、すごくわかる気がして嬉しくなったが、なぜか僕はこのことを結局永井さんに伝えることなく永井さんはあの世に行ってしまった。

でも永井さんに出会ったからこそこの宝物に出会うことができたし、この本こそ僕の制作活動の原点でもある。

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