ベストじゃないけどマスト





※流血表現、不潔な描写アリマス。苦手な方はブラウザバック。






ここ1、2年ぐらい、鼻血を出す頻度が異常なほどに増えた。

元々鼻血が出やすい体質ではあったと思う。
小学生の時分からはそれに加えて、鼻クソをほじくって指にくっ付いている濁ったオリーブのような色合いのブツを確認してから食べるというクソ不潔ガキムーブをカマすのがクセになってしまい、元々低かった鼻の毛細血管の守備力がバカになってしまった。

ちなみにこの癖はまだ抜けきっておらず、質問箱に
「無心で鼻クソほじるの止めてください」
という直訴が投稿されたことがある。
だがこれだけは信じてくれ、もう食べてはいない。

そんなわけで、小学生で身についた悪癖により鼻の毛細血管は小学校低学年の時点でさながらバーチャロンのバイパーⅡ、あるいはマジンガーのボスボロットのように、鼻に一撃でも食らえば撃破という立派な紙装甲に仕上がってしまった。

そんな状態なら鼻ほじらなきゃいいんじゃないの?と思うのは至極当然だが、人間一度身についたクセというものは27歳になっても抜けないもので。
無論、当時小学生だった僕もTPOを弁えず鼻をほじくっては鼻血を出し、担任の先生や保健室の先生、誰にでも分け隔てなく優しい女子などからティッシュを貰って鼻に詰め込むのが日常となっていた。

しかし、そんな僕でも中学校に上がり思春期を迎える頃には流石に「人前で鼻をほじくることは恥ずかしいことである」という一般常識を身に着けたことにより、あまり鼻をほじくらなくなった(指摘されなかっただけの可能性も捨てきれないが)

それに伴い鼻血を出す頻度も当然減っていったのだが、どういう訳かここ1、2年になってまた鼻血が頻繁に出るようになった。

これといった原因や理由はわかっていないのだが、おそらくは2年前から始めた一人暮らしがきっかけだろう。
推するに、一人暮らしの開始によって元の生活リズムが組み直されたことで鼻を中心に血行が促進されるような何らかの行動を無意識に取り続けていることによって、それらの行動が紙装甲の毛細血管と相乗効果を起こしたことによって鼻血噴射に至るまでの身体の限界ラインがググっと下がったのではないか…と思う。自分で書いていてよくわからないことを言っている。

一人暮らしを始めて早1年半。実家にいた頃と比べ運動量や野菜の摂取量が増えたことで体重が10キロ近く減ったり睡眠の質が上がったりといったメリットを得られたが、それと引き換えにふとした瞬間に流血を引き起こす鼻と痛風の右足を授けられてしまった。
なるほど、人生というのは良いことの後に悪いことがやってくるというのはどうやら本当だったらしい。差し引きゼロじゃないか。

さて、鼻血対策の為に色々と調べたところ、どうやら鼻血を早急に止めるコツは
「小鼻の上をつまんで抑える」「座った状態で下を向くような体制を取る」「ティッシュを詰めるのはかえって粘膜を傷つける」「つまんだ状態で5分~10分程度安静にする」
といったところらしい。

なるほど、これがベストな方法なのか、と思った。
それと同時に。

そんな悠長なことをしている時間はねえ。
とも思った。

前提として。
僕が鼻血を出しやすいシチュエーション上位3シーンは
・朝の支度中
・仕事中
・食事中
である。
ものの見事に悠長に鼻血を止めている時間などない。
小鼻抑えて5分10分ステイする時間があったらネクタイの一つでも締めたいし下を向いている間にオフィス内の他のメンバーに変な心配されてしまうしティッシュを詰めなければ飯に血が混じる。

そこで僕は毎回鼻血が出るたびに自分なりの止血術を用いてこの劇的状況をクリアーしている。
その止血術を紹介しよう。

まず、鼻血が出たとわかったらすぐに真上を向く。
流れ出る鼻血を出来る限り喉の奥へ流し込み、血の流れが落ち着くのを少し待つ。
「鼻血が胃の中に流れると気分が悪くなるので出来る限り吐き出すようにしよう」というインターネットの記述は無視する。こちとら鼻クソもぐもぐタイムを経て今に至る人間だ。今更血の醸し出す鉄分のハーモニーなど気にならない。

ある程度落ち着いたらすぐさま丸めたティッシュを鼻の奥へ押し込み毛細血管を圧迫する。
屋外であればマスクなどを用いティッシュをカモフラージュする。
そういう意味ではコロナ禍のこの状況は有難い。マスクをつけていても何も訝しく思われない。むしろつけてない方が訝しい。

この状態の時には、既に他の作業へ移れる状態なので何か他のことを進めつつ、ひと段落したくらいのタイミングで鼻に詰めたティッシュを取る。
その際に「鼻血の親分」みたいな赤黒い鼻水が出てくればほぼOK。
鼻血が垂れ流れることはないのでそそくさと鼻血付きのティッシュを他のティッシュで丸めてゴミ箱ポイポイのポイすればミッションコンプリートだ。

後は出来る限りアドレナリンが出るようなイベントを避けつつ一日を過ごすことに勤める。これが僕の止血術である。


おそらく一般的な鼻血の止血方法とはかけ離れているのだろう。
僕にとってはこの方法が一番慣れているし、必要なのは「とにかくとっとと止める」ことである。

人生においても一般的な「ベスト」が自分にとっての「マスト」にはならないことが多い。
回り道が結果として様々な発見に繋がること、幅広い考えを巡らせる機会にをこの一年でよく学んだ気がする。
その発見や考えが人生の正解に繋がるかどうかは現時点ではわからないが、とりあえず今は何においても自分にとっての「マスト」を見つけられるようにしていきたい。

とりあえず、今の僕にとってのマストは。
この記事を書き進めている間に一切止まらない鼻水の対処法を探すことだ。
毎年通っている病院に点鼻薬を貰いに行こうと思う。


最後に。
この記事を読んだ耳鼻科関係者の方々に僕の止血方法に関して怒られないことを願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?