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東北学院大学お笑いサークル・みちのく初単独ライブ「未知ノ国」感想note

2023年11月19日に開催された東北学院大学お笑いサークル「みちのく」の初単独ライブ「未知ノ国」を観てきました。

ライブ終了後に感想投稿フォームに感想を投げるつもりだったのですが、思ったより感想の量が長くなりそうだったのでこちらにまとめます。
べ、別に五月雨誰何さんもnoteに書いてたから、それを真似た訳じゃないんだからねっ!!

◆OP

MCは「たつme-」「とぅるーどらごん」等で活動するみちのくのサークル代表・鈴木龍巳くんと「わんぱくしゃかりきボーイズ」「定石ピロー」等で活動する伊藤瞬くん。
彼らに限ったことではないが、みちのくではお笑いサークル内で複数のコンビを組んでいることが通常営業なので、今回のライブも同じ人が相方を変えて何度も出てくるのが面白い。というか舞台袖てんてこまいにならないのか。

開催日である11月19日は別の会場でグレープカンパニーのライブが開催されたり、新利府のイオンでハイスクールマンザイ予選が開催されたりとお笑いライブが多数開催される「仙台お笑いの日」だったらしい(かくいう僕も未知ノ国と同じ会場で数時間前にティーライズのライブに出ていた)
仙台お笑いの締めくくりが「みちのく」を冠したサークルの単独公演というのも、なんだか粋でいいじゃないか。

トークもそこそこに早速前半組の出番順が発表されるが、後半出演予定だった出演者が家の門限との兼ね合いで急遽前半に出場するとのこと。
あまりお笑いライブでは聞いたことのない理由だ。
ある意味では「学生ならでは」かもしれない。


◆前半組

※ネタタイトルは感覚で付けてます

1.わんぱくしゃかりきボーイズ 膝が喧嘩
言葉遊びに重きを置いた、良い意味で頭を使った漫才。
シンプルに台本が良く出来ていて、それでいて漫才を演じる二人のキャラにも合っていたと思う。
ふわふわした口調でのらりくらりとボケを放つワッター君に、戸惑いつつもメリハリの効いたツッコミを繰り出す伊藤君のツッコミのバランスが丁度いい。
満足度の高い内容だった。

2.もち米ロールパン 人命救助
シチュエーションをボケと共に紐解いていく構成が美しい漫才だった。
漫才が進めば進むほど漫才内の世界が徐々に広がっていく様が感じ取れて、状況が脳内に浮かんでくるようだった。
絵として浮かびやすいボケを上手くチョイスしている、塩梅のいい漫才だった。

3.ロジカルノート 会社の社長
社長役のナンセンスな言葉を楽しむコントだと思って見ていたら、最後がフワっと終わる何とも言えない後味のコントだった。
ちょっとしたズレを見せるタイプのショートホラーを見せられたような感覚と言うか…ネタ時間がそこまで長くなかったので、もう少し長い尺で見てみたい。社長の人間性を紐解いてみたい。

4.壺 大縄跳び
演者の魅力を引き出すタイプのコントだった。
鈴木君(辰巳君とは違う方)の、ゼンモンキー荻野さんをどこか彷彿とさせる小物感とコミカルさが良いよなあ…それでいてちょっと表情から小憎たらしい雰囲気すら漂っているのが良いよなぁ…。
大きな衝撃は無いけど、じんわりと聞いてくるコントだったな。
あと鈴木君(辰巳君の方)が毎回ササッと縄を飛んでいくのもなんだか面白かった。

5.日経平均株価 アキネイター
若さゆえの危うさや青さを感じられるボケが堪らなく好みだった。
己の正しさに則って振りかざす拳を器用に振り回せていない雰囲気が却って独特の味になっていたと思う。
今回はネタを飛ばしてしまったが、このちょっと不器用な感じのままで突き進んで欲しい。

6.まつもとりきや 双腕戦士ドラグレン
「地上波でやっている特撮ヒーローの日常を描いたHuluオリジナルの番外編」という設定を思いついた時点で勝ちだと思う。マジでこういうスピンオフあるもんな。
小道具の作り込みも良かった。ドラグレンのデザインはOP映像も担当したみちのくのスタッフの方が担当したらしい。多彩過ぎる。
ちなみにドラグレンは全12話なので他のライブでも続きをやるらしい。楽しみだ。


あとドラグレンステッカーも貰った。
今回ドラグレンに掛ける労力が一番大きいんじゃないんだろうか。

7.小さなソナタ そう言ってるよね?
ツッコミの発言を煙に巻くスタイルって普段はそんなになんだけど、この漫才はボケの振る舞いに強い熱量を帯びている為かズシリと響くような満足感があった。
ネタ全体の熱量はおそらくツッコミの遠藤君のエッセンスだろうか。こういう不器用さを兼ね備えた熱さは好きだなぁ。

8.回転サンダル 人間に育てられた犬
出オチのような強い絵力に反して魅力的な設定と的確なツッコミで構成されたコントだった。
見た目に頼らず、キャラクターの内面を掘り下げつつ、確実に笑いを積み上げる。こちらも設定思いついたもの勝ちな内容だったかもしれない。

9.トーマス のど自慢
「予測可能回避不可避」を体現したかのようなコント。イントロ部分でこちらの笑いを引きだす曲のチョイスが絶妙。
それでいてこちらもワッター君の演技が絶妙なんだよなぁ、こういう「なんかツイてない、パッとしない人」を演じさせると映える気がする。
まつもと君の細かい演技もグッド。

ここで前半組が終了。
合間に組み込まれる「大森製粉」なる架空の企業のCMという形で流れるナンセンスな映像に思わずニヤリ。

◆企画のコーナー

コーナー名を聞いて「VS嵐」「SASUKE」等、何の番組なのかを当てるゲーム。
チョイスされる番組とコーナーが絶妙なラインを突いてきてこちらも楽しめた。
シンクロナイズドテイスティングとかはこのクイズで見るまで忘れてたかもしれない…。
答える側のチョイスも良かったなー。瞬君はSASUKE選び過ぎだし、あと稽古は地味に書くのは難しい。

あと、ふなっしーってインテリ軍団として括られるという気づきも得られました。


◆後半組

10.ケトルケトル 壁と話す趣味
以前も見たことのあるネタだったが、ボケツッコミが入れ替わったことで演者の面白みを引き出していたように思う。
加藤君はちょっと情けない雰囲気があるのがいいし、会長君(代表ではないらしい)は何というか佇まいそのものがどこか可笑しみがあって堪らない。

11.たつme- 最高のどういたしまして
溜めて溜めて放つ、という面白さを上手く活かした設定の秀逸な漫才。
システムとしてはごくシンプルで目新しさはないけど、ボケの坂本君の緩さがボケとマッチしていて思わずニンマリ。
展開が読めた上で思わず笑っちゃう、理想的な内容だったのかも。

12.オポチュニティ 天体観測
今回随一の爆発力。馬鹿馬鹿しさ特化の一発ネタ。
これ思いついたとき気持ちよかったやろなぁ…。
すっげぇ下らなくてシンプルに爆笑してました。

13.おかかがかり 水族館デートなど
二人ともシュッとした雰囲気があって、その影響もあってかネタの雰囲気もちょっと現代的と言うか冷めた視点が織り込まれている印象だった。
ボケのさとこ君の人間性が垣間見えるネタだったように思う。
いい意味で軽さを感じさせる人間味があって、それがネタに滲み出ていたと思う。

14.とぅるーどらごん いらっしゃいませ
この二人もスマートな雰囲気があって良いよなー。
特に菅野君はロジカルノートもだけど、上位存在たる雰囲気があって何やら引き込まれるような感じがある。
漫才もありふれたシチュエーションのスキマを上手く突いてくる感じで独自性が感じられた。

15.ドナ 松阪牛の修行
小道具に映像、エキストラまで使って、やりたい事を全部詰め込んだような贅沢かつ馬鹿馬鹿しい空間を見事構築していたと思う。
オチがバッドエンドで終わったのも、コント自体の味わい深さとして作用していたと思う。
なんというか、ちょっとうすた京介の漫画っぽさがあるんだよな…。
あと無意味に亀を虐めて亀から報復されるシーン、めちゃくちゃ面白かったな。

16.定石ピロー アイドル部
ボケに対して「そう!それそれ!」という丁度欲しかったツッコミが飛んでくるカタルシスを楽しめる漫才だった。
アイドルアニメに対する妙な解像度の高さも良かったな…でも風紀委員はどちらと言えば貧乳のイメージがある。

17.未知ノ組 お笑いコンテスト
全員出演のコント。
出場芸人のキャラクター、その場でしかウケないノリなど、お笑いコンテストに出場する芸人のあるあるがコミカルに描かれていて楽しく見られた。
舞台を広く使ったボケも織り込まれていて、最後を締めくくるコントとして非常に満足感のある内容でした。

ここで全組終了。
後半組も「大森製粉」のCMが随所に。
最後のCMの映像でまつもと君が鬼の形相になってたのは何だったんだ。

あと大森製粉のステッカーも貰った。
大森製粉、いつの間にか我々の生活を少しずつ侵食するディストピア企業っぽさがあってゾクゾクするね。

◆ED

エンディング映像は公園をみちのくメンバーがぐるぐる走る映像。
裏方スタッフの灯油の日が存在感バリバリで面白かった。

映像終了後は出演者と今回のライブプロデュース全体を担った鈴木さんが舞台に集合。
なんでも、今回のライブは日本デザイナー芸術学園の生徒である鈴木さんの卒業制作としてライブ制作をみちのくへ持ちかけたのがきっかけだったそうな。
ライブ全体のプロデュースからドラグレンのデザインに至るまで担当した鈴木さんのトータルプロデュース力に脱帽。


そして最後はなんと、みちのくの冠ラジオ番組放送決定のサプライズ!
これからどんどん活躍の幅を広げていく、お笑いサークルみちのくから目が離せません(地方ニュース感)


◆終わってみて

端的に言えば、めっちゃええやん
映像を用いたネタや全体コントに映像も組み込まれた、単独ライブでしか出来ない演出も随所に織り込まれていて、しっかりと満足感の残る単独ライブでした。
初開催が故のオペレーションの失敗とかグダグダ感も全く感じられず、彼らとしても完璧に終えられてライブだったのではないでしょうか。
ひとえにみちのくの面々の力がこもったネタの数々、そして鈴木さんのプロデュース力が揃ったからこそ成し得た結果だと思います。
僕自身、来年も単独ライブを開催予定としているので、非常に刺激になるライブでした。俺も頑張らねえとな…。

ぜひとも第二回があればまた観に行きたいと思います!
改めて、みちのくの皆様、鈴木さん、お疲れでした!
よしなに!


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