見出し画像

観劇記録 星組「BIG FISH」

なんの媒体にも記録されない幻の傑作ミュージカル「BIGFISH」をなんとか2回、観劇できました!媒体に残らないからこその感想を、忘れないうちに書き留めておきたいと思います。

1.礼真琴の人間性

星組トップ男役の礼真琴さんが如何に素晴らしいスターかは言うまでもないだろうけど、本公演でよりそのスター性を自覚しました。
彼女は本当に様々なキャラクターを魅力的に演じて、その類稀なるダンスと歌唱の才能を惜しみなく発揮する万能なスターに見られがちだが、彼女の本当の魅力は「礼真琴自身」にあると思う。
何を言っているのかと思われるだろうが、
そもそも彼女の演じる魅力的な人物たちは
礼真琴という圧倒的な下地がありその上に
形成されている。以前ネット記事で礼真琴さんの語ったこの言葉を思い出した。

「私は“優等生”なんかじゃない。稽古場ではいつだってダメな自分と戦っている」

https://marisol.hpplus.jp/article/49262

彼女はいつも自身のプレッシャーと闘っている。それはきっと私なんかには想像がつかないほど怖いことなのだろうけど、それを愛するファンの前では見せないよう気丈に振る舞う。そんな彼女の姿勢が本作の主人公である
エドワードブルームと強く重なり、涙が止まらなくなった。版権の都合でスカステ放送も
円盤発売もないと知ったときは何故選んだのかと疑問だったが、今ならわかる。
この作品は今の礼真琴が率いる星組でやる
べき作品だと。

2.普通だからこそ見えてくる星組生の技術

本作は過去の本公演「RRR」「1789」の様な
壮大なスペクタクル物語ではなく、どこにでも
ある様な家庭のよくある話を取り出したに過ぎないが、だからこそそれぞれのスターの
魅力が惜しみなく発揮されているように思う

主演礼真琴は老人役と青年役との巧みな演じ分けに驚き、派手なアクションはなくとも
細かな言い回しやしぐさで観客を虜にした。

二番手の極美慎は初日付近は歌に不安定さがあったり、セリフを噛む場面も見られたものの日程を重ねるにつれみるみる成長していった。これまでの殻を破り、演技派スターとして
の成長が楽しみでになった。

詩ちづる/小桜ほのかによるヒロインも安定の演技。ただ冒頭の詩ちづるが妻を演じる場面ではどうしても妻には見えず、勿体なさを
感じた。小桜ほのかは別格娘役として圧倒的な存在感で礼真琴とのコンビを演じきった。

大希颯は新公主演の経験を経て歌がかなり安定し、都優奈演じる魔女の高音の安定、碧海さりお演じるサーカス団団長もコミカルでありながら狼男というギャップを見事に表現。

本当にどのキャストも素敵な演技をしており、
星組としての演技力の高さを実感することになった。

3.それでもやはり舞空瞳とのコンビで見たい

星組のトップ礼真琴×舞空瞳コンビはファン
から「ことなこコンビ」として長年愛され、
見守られ続けてきた。そんな思いとは裏腹に最近の別箱公演ではそのコンビを離され続けてきた。だからこそ私は、礼真琴による盛大な人生讃歌の隣に舞空瞳もいてほしかったのだ
何故なら舞空瞳の隣が1番似合うのは、他の
誰でもない礼真琴だからである。
確かに彼女は誰にでも合わせられる万能な
スターだけれど、そんな彼女だからこそ
礼真琴の隣にいて欲しい。これは明らかに
外野のエゴだけれど、本作が退団の迫る
礼真琴の残り少ない別箱期間なら数少ない
機会を彩る相手は舞空瞳であって欲しい。

総評

このような素晴らしい作品が映像に残らない
のは本当に寂しいけれど、それでも礼真琴が
エドワードブルームを演じたという事実は一生私の心に花を咲かせ続けるだろう


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?