コンプレックス

2020/06/03(水)

朝9時に歯医者で親知らずの応急処置をしてもらい、痛み止めや腫れ止め(?)を出してもらうが、なかなか効く様子がない。帰宅後急いで朝食を取り、薬を服用したものの気が遠くなるほどの痛みに耐えるので疲れすぎてしまい、寝てしまった。

昨日はあれだけ野球だ野球だと騒いでいたのに、とてもそんなことを言っている場合ではなかった。余裕がないと趣味すら蔑ろにしてしまう。自身を苦しめるものは徹底的に排除しなければならない。

バイト先で仕事をしていると、昨日自分が頼まれた仕事を他の人が担当していた。その仕事は他のアルバイトと連携を取る必要があったため、一旦見送りになったものだった。なので、自分が悪いとかいうわけではないのだろうが、つい「自分は信頼されていない、相手の方が信頼されているんだ」と卑屈になってしまった。

その相手というのは少し複雑で、年齢が一個上だけど学年は一個下、という特殊な経歴を持っている。ただ浪人したというわけではなく、社会人として働いてそれなりに稼いでいた事もあるので社会経験は豊富で、実際仕事もできる。人間性の面を見てもコミュニケーション能力もユーモアもあれば、人のことを気遣った立ち振る舞いができる。自分も普段お互いふざけたりデュエルリンクスをさせてもらったり、仲良くさせてもらっている。もっと言えばファッションセンスは抜群で、清潔感もあるし顔も整っている。かなりいい先輩だ。

ただ、その先輩に自分が勝っている面はまったくと言っていいほどない。多少理解科目ができて、ある程度(性格的な意味で)幅広い層の生徒対応ができる、という程度だ。そんな先輩がバイト先に後から現れて、自分の仕事や仲の良かった生徒を奪い、さらには自分より重い仕事を任されている。

もちろん単なる向き不向きや、タイミングなどの巡り合わせの問題もあるのだが、そんな先輩のことを自分は単純な感情で見ることが出来なかった。

さらに、「ずっと自分が片想いしている」と相談していた相手を「ごめん、俺も好きになった」と言って付き合い始めてしまい、意図しているのかどうか知らないが自分の目の前でいちゃついて見せたり、振られた自分に恋人同士の話題を振ってくる。

自分よりもその先輩の方がお似合いだという事は最初からわかっていたし、趣味嗜好もよっぽど合っているので、普通に幸せになってくれるなら応援はできたが、それをフラれたと知っている自分に見せつけて来る。いつしか、お互いの関係性を受け入れた頃の純粋な感情は何処かへ消えてしまった。


そんな面もありつつ、それでも仲が良い、人間的にも好きな先輩が、職場で躍動している。それを疎ましく思う自分に釘を刺すうちに、また少しコンプレックスが強まっていってしまった。


バイトを終え、急いで家に帰って夕食を食べ、また痛み止めを飲む。しかし、まったく効かない。患部を外から冷やそうが、ツボを押そうが何をしようが、少し和らいではまた痛んでの繰り返しで、常に眠気よりも勝ってしまった。いよいよ一睡もできないまま明け方を迎えてしまったので、少しでも痛みから気を逸らすために部屋の片付けをすることにした。

すると、今まで行方不明だった高校の吹奏楽の楽譜がまとまって出てきた。特に、下手だなんだと言われたとしても、ロミオとジュリエットは好きだったので出てきてくれて本当に良かった。


1日が終わる前になんとか良いことが一つあって良かった、そう思わないとやってられないので、自分にそう言い聞かせた。

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