不語怪神(ふごかいしん)第1巻-絵画の時間
がっちりした大男、紫を帯びた顔は円く、そこにまた円い縁の眼鏡を掛けているので、目はいよいよ細く、それはこの男の温和で話し好きな性向を窺わせる。肥満した上体に似合わず、長い脚を持て余している。首が短いからかもしれないが、どうしても猫背になってしまう。後ろ頭がぽつぽつと白いこの男の年令はどうやら四十二三か。自分の体形に合うのは和服だけであることをよく分かっている。
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