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Hyperlite Mountain Gear/UltaMid2

定番とは何か?2回目の連載はシェルターをチョイスしました。現在同モデルのカタログスペックは530gになっていますが、私が購入した当時は確か498gだったと思います。キューベン素材を使用した、いわゆる超軽量フロアレスシェルターですね。こちらも2013年に購入してから8年が経過します。購入当時はローカスギアで同形状のシェルターを購入するつもりで見積もりまでお願いしていたのですが、ハイカーズデポにこちらのモデルが2張だけ入荷したと知り、新潟から高速を飛ばして現物を見に行った思い出があります。実物を触ったら最後、即決で購入しました。

購入を決めた大きな理由はサイズ感です。一人用のシェルターだと雪に埋もれた場合が致命的です。とくに上信越周辺の山々を旅する私にとっては初雪や残雪期の重たい湿雪に閉じ込められるとテントが潰されライフスペースの確保が困難になります。その点、2名用のUltamid2は理想的なサイズ感でした。短辺側にドアがあるのも実際に使ってみると超便利です(パートナーがいる方は特に)。

■設営パターン1(無雪期)
ペグダウンは4本のペグ、支柱には2本のトレッキングポールをAフレーム状にして設営します。私のポールは140cmまで伸びますが、さらに30センチほどのアダプターポールを追加すると内部スペースをフルに活用できます。

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■設営パターン2(積雪期)
ペグダウンは2ピースのトレッキングポールを使います。分割することで計4本のロングペグとして代用できます(スノーペグの類は必要ありません)。支柱には2本のスキーをAフレーム状にして設営します。190cm前後のクロカンスキーが一番相性が良いですが、160cm台のスキーでも問題なく設営が可能です。

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■設営パターン3(積雪期ベースキャンプ)
ペグダウンは雪を詰めたスタッフサックや土嚢袋を50センチ程掘った雪中に埋めてアンカーにします。支柱はトレッキングポールにアダプターポールをプラスし、Aフレーム式とします。主に4月の立山で1週間ほどの滞在を想定した設営方法です。春の大雨も想定すると、この方式が一番安全です。台風並みの暴風雨に遭遇すると、一晩で50センチ以上も雪面が融けてしまい、シェルターが吹き飛ぶことがあります。スノーペグなど何の役にも立ちません。

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■結露について
生地に通気性が無い為、当然結露はありますが、内部スペースが広いのであまり気になりません。下部からの換気も充分ですので、普段ツェルトを使用しているハイカーにとっては快適なはずです。内部の幕を伝って水滴は地面に吸収されるので、ドームテントのようにフロアが濡れることもありません。問題は強風時です。結露の飛沫がシェルター内に降り注ぐ場合はビビィとの併用が基本です。

■耐候性を上げる工夫
購入して間もないころ、残雪期の雪原に幕営した際、猛烈な地吹雪に見舞われました。シェルターの外にスノーブロックを積んでいましたが、強風で全て吹き飛ばされ、シェルター内に一晩中雪が吹き込み悲惨な体験をしています。対策は2つ、シェルター自体にスノースカートを取り付ける事、もう一つはスノーブロックはシェルター内部に積む事です。

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■快適性を上げる工夫
特にベースキャンプを張る場合の工夫ですが、シェルター内の床面は足を伸ばせるように一部を掘り下げます。その場合、2名用の広いフロア面積が有効になります。冷気は低いほうに溜まるので多少は温かく感じます。

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■夏場の使用について
キューベン素材のシェルターの難点として、日中は陽の光を通すので、めちゃくちゃ暑く感じます。おそらくキャンプには不向きな素材だと思います。それでも夏のラグジャリ―キャンプで使う場合、ドアを全て開放し、底面を極力高く設営して風通しを良くしてあげます。床面付きのバグネットやコットと組み合わせてあげると超快適ですよ。

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■番外編
イグルーとピラミッドシェルターの組み合わせ術

■類似のシェルター
この記事を読んで同じようなシェルターの購入をお考えの場合、ローカスギアのハピをお勧めします。別にキューベンじゃなくても良いですよ。同様のサイズ感と入口の向きがポイントです。価格も良心的です。

■私のシェルター考
実はタープがあまり好みでないので、現在までツェルトとこのタイプのピラミッドシェルターしか使用経験がありません。耐候性で言えばドームテントのほうが安心でしょう。それでも四季を通じて2つのタイプのシェルターで充分まかなえています。経験値で言えば「めちゃくちゃやばい状況」も何度かやり過ごしてきました。痛い目にも随分あいましたが、そのたびに知恵を絞り、ハイカーとして成長する機会を与えてくれたのも事実です。

フロアレスシェルターの利点の一つに、設営したらすぐに靴のまま入れる事が挙げられます。特に悪天時にはそのメリットは絶大です。ずぶ濡れでもスキーブーツを履いたままでもOKです。とりあえずシェルターを立てれば退避できるので、あれこれ考えるのはその後です。フロアレスシェルターに不安のあるハイカーも多いとは思いますが、一度使ってみるとその快適さに魅了されるでしょう。



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