厳冬期ビバーク装備(実践編)
シーズンイン前に仮説で書いた記事がこちら。その後1月中に3回の山行。いくつかの修正点がありましたので実践編として再度まとめてみます。
■サンプル
標高1700~1800m付近のツエルトビバークを三回実践
午後からスキーで入山、幕営、翌朝2本程度の滑走、昼前に下山
いずれも強風、降雪あり、氷点下10度以下、最低気温がマイナス17度
おおむね仮説通りに行動できましたが、以下3点を修正
①ビビィは不要(マイナス10度付近だと結露が激しく使わないほうが快適)
②防寒着は化繊薄手→厚手ダウン(テント内で寒いのでやはり厚手に変更)
③食事は湯煎だけで済むコンビニ惣菜(調理が面倒、湯煎は水が最小限)
①について
非力なツエルトを使用する場合、吹込みを想定してのビビィ選択でしたが、意外と吹込みは無く、逆にビビィ内は激しく結露し寝袋は濡れました。使用しない場合でもツエルト内側で凍結した結露の飛沫で結局寝袋表面の濡れは避けられないため、使っても使わなくてもあまり変わらないか、使わないほうがやや快適。それならばと装備からは外しました。
②について
稜線に出た場合は化繊の薄手の防寒着をシェル上に重ねて使用するイメージでしたが、実際はその必要はなく、むしろテント内での快適性を重視して厚手ダウンジャケットに変更しました。そこまでハードな行動はしないので行動中の防寒着は必要なかったようです。寒さが予測できる場合は保温ベスト(フリース)の追加で対応しました。
③について
当初お湯を注ぐだけのフリーズドライ食材を考えましたが、準備が面倒。その点、山に行く途中でも簡単に手に入るコンビニ惣菜ならもっとシンプルでは?となりコンビニ調達に統一。湯煎は500ccの縦長クッカーに150cc程度の水で事足りるためパッキング時の軽量化にも繋がりました。あらかじめ用意するサーモス内のお湯のほかにプラティパスに200ccほどの水を持つだけで済みます。雪を解かす必要もなくテント内の作業も超シンプル。行動様式の簡素化にも繋がります。
■食材の選択
セブンイレブンの冷凍食品とパック惣菜から
メイン・・・チャーハンかピラフ
おかず・・・海老チリ、ロールキャベツ、豚の生姜焼き(3点ともボイル時間4分)
※自分の好みとしてはチャーハンと海老チリの組み合わせが最強です
■調理風景と手順
・ストーブをセット(カートリッジを太ももにはさむ)
・食材をパックごと鍋に入れる
・水をそそぐ
・沸騰から弱火で5分湯煎
・封をあけてそのまま食事
・鍋は汚れない
■メリット
500サイズのガス缶をあえて持参、寝袋に入ったまま足にはさんで固定すると身体をひねる必要もなく狭いツエルト内でも調理が楽にできました。ガス缶も体温で温まるので、低温下での火力低下も防げます。手で鍋を固定しながら作業するのでお湯をこぼす心配も不要です。準備~食事~片付けまで同じ姿勢で完結。
■総合判断
ビビィ不要、水は最小限となれば厚手ダウンを加えても重量増は相殺。その他細かい変更と合わせても当初のベースウェイトとほぼ変わらず6キロ台後半。個々のギアのスペック不足は多少ありますが、早急に買い替えが必要な道具もなく、今季はこちらの装備で遊べそうです。あまりまじめに滑らないのでキャンプ技術だけ参考にしてください。30リットルのザックで厳冬期ビバークを実践する場合、ウルトラライトハイキングの技術を応用すれば軽量化は容易です(上信越の2000mクラスの山域に限ります)。
■森林限界付近でのビバーク術
上信越国境付近の森林限界は1700~1800m付近。谷川周辺はもう少し低く1600~1700m。オオシラビソの樹林帯でビバーク適地を探してください。枝の下にドーム状に空間が開いた適地が見つかるはずです。風を避け、放射冷却からも非力なシェルターを守ってくれるはずです。その際に注意すべきは上部に雪の塊が無いかよく確認。ブロック状の雪の塊が風に煽られて落ちてくればテントをつぶします。樹林帯を歩く際も頭上の雪の塊に注意を払う必要があります。
■スキーの改造とツエルト設営術
3台あるスキーのトップを全て改造しました。スキーを支柱にしてツエルトを短時間で設営するためです。写真を参考にしてください。素人でもできる加工です。必要な工具はインパクト、ドリル、スチールのこぎり等。
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