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山と道 UL Pad15s+ & minimalist pad

定番とは何か?黒帯ハイカーへの道。9回目の今回は山と道のマットをご紹介します。私の最新の装備リストでは、より快適性の高いマットを選択していますが、やはり王道のウルトラライトハイキングを実践するシーンでは外すことのできないアイテムと言えます。

クローズドセルマット界において、リッジレストを「オールドスクールクラシック」と位置付けるならば、山と道のマットは「ニュースクールクラシック」です。最初にUL pad 15sが出た時はその先鋭的な印象のせいで、無理に使いこなそうと躍起になったものでしたが、何度か酷い目に遭った結果、より厚みのある15s+と極薄のミニマリストパッドの組み合わせに行き着きました。この組み合わせは厳冬期の雪山を除く全てのシチュエーションに対応が可能です。残雪期の気候なら雪の上でも問題ありません。

一時期好んでクライミットのイナーシャオゾンを愛用していましたが、数年でパンク。その後、思い付きで山と道15s+をイナーシャXライトと同じ形状でくり抜きました。この使い方は自分でもお気に入りで、イナーシャと同様に、その特異な形状がもたらす保温性、そして15sと同等の軽量性が同時に手に入ります。本家のイナーシャと同じように寝袋の中に入れて使います。厚みのある15s+なら、隙間に入るダウンが潰れずに、背中側の保温性をブーストしてくれます。クライミットのマットを寝袋の中に入れて使う場合、寝袋の下に何か薄いマットを敷かないと寝袋の下部が結露で濡れる事が分かっていた為、ミニマリストパッドと組み合わせました。カットしてくり抜いた15s+が80g、ミニマリストパッドが40gで合計120gとなり、残雪期を含む3シーズンに対応します。その高い汎用性のため、より長期の歩き旅に持ち出す際にも信頼性が高いです。


山と道のオーナーである夏目さんが、UL Padを腹巻にしたエピソードは有名ですが、こちらのマットはその形状を活かし、頭からかぶる事で雨具の下に着ることもできます。私の場合は肩からへそのあたりまで覆えるため、冷たい雨に長時間打たれるようなシチュエーションでは何度か助けられました。

私はトレイル上で1日の終わりに必ず温水シャワーを浴びるのですが、minimalist padは足元のシャワーマットとしても活躍します。もちろんマット自体は濡れますが、暖かい時期ならすぐに乾きます。

両者共に半分に折りたためるように切れ目を入れてダクトテープで補強しています。ULザックの背面パッドとしてもちょうど良いサイズ感となります。

購入してから10年ほど経ちますが、問題なく使用出来ています。パンクやバルブの故障がつきまとうエアマットには無い安心感がクローズドセルマットの強みです。当初その耐久性の低さを指摘されがちだった山と道マットを結局10年も使えているわけですから、「道具は使い方次第」というULマインドを象徴するようなギアだったんじゃないかなと改めて思います。

最後に薄いクローズドセルマットを使う際の注意点を記載します
山小屋周辺の指定されたテントサイトなど、利用者が多く、踏み固められた場所での使用にはこの手のマットは不向きです。避難小屋の板の間なども論外です。草地や落ち葉の集積地など、好条件が予測できる場合やビバーク地点の選択肢が多用な場合、積極的な使用が可能です。逆に体重の軽い女性や小柄な男性なら上記の注意点はあまり気にしなくても良いかもしれません。

記憶に残るビバーク
10年程前に初めて奥多摩の長沢背稜を歩いた際、酉谷山避難小屋付近の稜線脇でビバークをしました。ちょうど窪地になっていて、乾いた落ち葉の集積地でした。ふかふかの寝心地で爆睡したのを今でもよく覚えています。日没後、雪になり朝は40センチほどの降雪でツェルトは潰れかけていました。それでも朝まで1度も目が覚めなかったので、よほど寝心地が良かったのでしょう。以降そのような視点で宿泊地を選ぶようにしています。服部文祥氏のYUTUBEでも、刈り取った草を寝床の下に敷き詰めるシーンが確認できます。ゴッサマーギアのGLEN氏も極薄のマットは草地の上で使うことを勧めています。


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