鉄の華(くろがねのはな)10
八日後の朝、ニレの待つ山村は、あの日藤内の様子を見に行った時よりも拓けていた。四半世紀近くもたったのだから当たり前だが、周りの森や竹林は畑に姿を変え、人の姿も増えているように思えた。村のはずれにあるニレの小屋で、改良版の気砲の使い方を説明し、最後に大きな鉄製の弓を出した。
「まだ、試作段階だが、鋼製弩弓を二つ作ってきた。平田篤胤先生が異国で使われていたという記述を教えてくれたことが発想の元だ」
それは、鉄砲の台の上に横に弓を取り付けたものだった。藤兵衛のところにあった